ハリー・ポッターは今や、ディズニーや任天堂、ソニーと並ぶ大人気キッズ・ブランドに成長した。
書物から人気に火が付いたというのは珍しいケースではあるが、書物から誕生したヒーローが、コンピューター ゲーム、インターネット、インタラクティブ テレビ、携帯電話の勢いを退け、子供達を惹きつけたというのは素晴らしいことである。しかし、一方で、その勢いにも陰りが見え始め、ブランド神話が揺らぐのではないかとの見方もある。
私は昨日、午前9時〜午後9時までの間に、ハリー・ポッターを20回以上も見かけた。新聞や雑誌、スーパーマーケット、ハンバーガー ショップ、キオスク、ガソリン スタンド、歯医者、銀行、美容院、おもちゃ屋、本屋など――ハリー・ポッターが至る所に蔓延している。
私はブランディング ビジネスに10年以上も従事しているが、その私でさえこれほど早く、かつ徹底的に展開されたブランドを見たことがない。コカコーラ、ディズニー、マイクロソフトでさえ、世界中の小売店にこれほど露出されたことはなかった。ハリー・ポッターはあまりにも宣伝過剰ではあるまいか。はたまた、ハリーの栄華は一瞬にして終わってしまうのではないだろうか。
私は、組み立てブロックである「LEGO」の創設者が LEGO を人気玩具にしたくはなかったということを思い出した。ヒット商品になれば、飽きられるのも早い。ポケットモンスターやその他のブランドが一瞬のうちに人気を博し、そして簡単に忘れ去られていったことを思い出してほしい。ところが、皮肉なことに、LEGO はハリー・ポッターブランド玩具製造メーカーの1つになっている。
ハリー・ポッターは世界中で大成功を収めたが、ブランドの浸透が一転して悲劇に向かわせる可能性もあるのだ。
Warner Bros. がハリー・ポッターのブランド版権を獲得すると、あらゆるところにハリー・ポッターブランドが利用され始めた。ハリー・ポッターの著者J.K.ローリング氏は、コカコーラ社との多額なスポンサーシップ契約の中で、子供達に読書を推奨するという条件を出した。しかし、実際には、コカコーラのボトルにハリーの顔はなく、ブランド名だけが記載されていて、あたかもハリーの顔がそこにあるかように錯覚させる有様だ。これがブランディング効果と言えるだろうか。
ハリー・ポッターブランドは、最も適した方法で、パブリシティやプロモーションに利用されているのだろうか。第四弾の映画製作までにブランドが飽きられたり、廃れてしまうことはないのだろうか。
ハリー・ポッターブランドが長続きするためには、ブランド展開をゆっくりと行うべきではないだろうか。冷静なブランド戦略こそ、ミッキー・マウスやドナルド・ダックなどの数十年も親しまれるブランドを確立する。それとも、現在の収入の流れは2年で枯渇し、ハリー・ポッターは次なるブランドに取って代わるのだろうか。
どうやら私は、このブランドが自ら消滅していく道を選択し始めているような気がしてならない。今日でも明日でもなく、2年先にはブランドが消滅しているかもしれないのだ。