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情報源としてのネットオークション やはりというか、予想通りというか、痛ましい事故で墜落したスペースシャトルの破片がネットオークションに出品され、マスコミにも大きく取り上げられた。一昨年の同時多発テロの直後にも、被害者がオフィスで使用していたものと思われる「拾得物」が出品されて大騒ぎになったこともあるので、別に驚くことではないのかもしれない。
スペースシャトルの破片は悪ふざけがすぎるにしても、通常では入手するどころか、めったにお目にかかれないモノが売られていることはネットオークションの醍醐味である。 たとえば、勾玉や隕石などはその典型だろう。もっとも、勾玉は出土した場所を特定できないと本来の価値は大きく損なわれるし、真偽の判定も難しい。隕石は一般に貴重と思われているかもしれないが、アメリカで大量に見つかっている鉄隕石やタイ・中国などから輸入されたガラス質のテクタイトなどは意外に安く取引されている。一方、火星から飛来したとされるSNC(スニック)隕石と呼ばれるものは、一見すると普通の石に見えるが目が飛び出るほど高値がつく。 ネットオークションが活況を呈している理由の一つは、個人でも気軽に出品できること。伝統的なオークションと違い、出品物の提示や鑑定も求められない。気まぐれでオークションを途中でキャンセルすることが許されているし、ほとんどのケースで落札者が先に代金を支払うことが条件になっている。だからこそ売りたい人が集まってくる。正直なところ、買い専門の私としては、売り手が優遇されすぎているのではないかと思われるルールに不満がないわけではない。それでもネットオークションを好んで利用しているのは、単にモノを購入するだけでなく、情報源としても利用価値が大きいと感じているからである。 一例として、私がよく参考にするのが、海外旅行などで現地で購入したモノの商品説明の欄である。現地で購入したことを強調するために、どの都市のどの店で買ったかを記載する例も少なくない。これらの情報は、仕入先や売込先の候補リストになりうる。先ほどちょっと触れたが、テクタイトを出品していた人が「中国に旅行した際、広州の公設隕石マーケットで購入した」と説明しているのを見て、私は広州にそのような場所が存在するのを初めて知った。次回香港へ行く機会には、ぜひ広州まで足を延ばしてみたい。 オークションの出品リストや落札状況を定点観測していると、人気商品のトレンドがだいたいわかる。しかし、基本的には「中古市場」だし、参加者の層が一般消費者に比べるとかなり偏っているので、そのトレンドに代表性、普遍性を求めるのは難しいだろう。 それよりも、ネットオークションで楽しくて、かつ有益なのが出品者とのコミュニケーションである。出品者のプロフィールをよく読むと業者だった、というケースも少なくないが、ネットオークションの出品者の多くは個人、すなわち消費者である。しかし、普通の消費者と違うのは、「持っているモノを売りたいと願っている」消費者であるという点。できるだけ高く売りたくてオークションに出品しているのだから、うまく聞けばいろいろな情報を得ることができる。 あくまでも仮定の話であるが、自社製品を新品同様として出品している人がいれば、なぜ数回の使用で不要になったのか理由を聞いてみる。買い替えが理由だとすれば、どのような視点でどの商品を選択したのかを聞いてみる。 少し前のことだが、アメリカのネットオークションで面白い出品物を見つけた。戦艦ミズーリで行われた、太平洋戦争の降伏調印式を撮影したネガティブのセットである。価格が価格なのでセットで入札する気はなかったが、不落札となった場合、バラ売りの交渉に応じてもらえるかなどを出品者に打診してみた。すると、丁重な返事がすぐに届き、その後メールでやりとりをして、ネガを入手した経緯からはじまって、戦争モノの専門業者を紹介してもらったり、アメリカのマーケットに関する最新情報を得ることができた。 ひやかしは、度を過ぎなければ買い手(入札する側)の権利なのだから、知りたいことは堂々と聞けばいいのである。
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