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マーケティング自動化の誘惑 ウェブマスターの業務は広範囲に及ぶうえに、サイトへの集客に力を入れれば入れるほど、業務量が増えて一層忙しくなるというジレンマを抱えている。たとえば、メールマガジンの発行一つをとってみても、魅力のある誌面を作るために HTML 版を作るとなると編集作業が倍になるし、読者からの注文や問い合わせが増える分、メール対応の時間がかさむ。業務を効率化するために、できるだけ自動化できないかと考えるのは当然のことだろう。
インターネットマーケティングの進化の歴史は、おそらく「自動化」への挑戦だったのではないかと思う。いち早く実用化された手法の一つは、クッキーで得られた行動履歴に基づいて、利用者がもっとも興味を示すだろうと思われる広告を表示するバナー広告ネットワークである。その後、購買履歴や行動履歴を他の人々のパターンと照らし合わせて利用者の好みを類推するレコメンデーションが書籍や音楽 CD 販売サイトに採用されるなど、ウェブ上でのマーケティングの一部は自動化されるに至っている。 日本では、用語としてあまり引用されることはなかったが、1998年頃からアメリカでは EMA (Enterprise Marketing Automation) と呼ばれるソフトウェアが相次いで登場した。簡単に説明すると、データベースと連携して、キャンペーンの設計、セグメンテーション、顧客プロフィール収集、リードマネジメント、コミュニケーション、追跡、分析・評価、報告などを効率的に設計、実行するウェブサーバ用のツールである。顧客のプロフィールや行動履歴に基づき、パーソナライズされたホームページや電子メールを自動生成するなど「ワン・トゥ・ワン」の対応を行うことが基本になっている。 当時、Annuncio 社の EMA ツールがネットスケープのポータル「ネットセンター」に採用されたり、Rubric 社はヒューレット・パッカードと共同で、顧客コールセンターにも対応した EMA ツールを開発するなど、業界として盛り上がりを見せていたものである。 これらのソフトウェアは、最近では CRM ツールの一部として組み込まれていて、EMA という言葉はアメリカでもあまり聞かれなくなった。それでも一時は盛んに日本に紹介されていたが、期待していたほど日本企業には導入されなかったようだ。理由は、ローカライズが遅れたことや、ライセンス料が安くないことなどがあげられるが、やはりどのように使いこなせばいいのかわかりにくかったのだろう。今後、日本でも幅広く利用されるようになる可能性はある。 完全に自動化することは無理にしても、インターネットマーケティングを効率化することはウェブマスターの大きな課題である。ただし、これを導入すればすべて解決する、という夢のようなシステムは期待すべきではない。ハードウェアやソフトウェア、つまりシステムありきの発想ではなく、どの工程が自動化できるかという「プロセスの効率化」という視点で考えるといい。 比較的自動化しやすいプロセスとしては、資料請求者に対するメールのフォローや、メールマガジン配信などエラーで戻ってきたメールの整理およびデータベースへの反映、などがあげられるだろう。 将来的に高度な自動化システムを導入するにしても、プロセスを処理するノウハウが不足していると、運転未経験者がいきなり大型トラックを操縦するような事態になりかねないので注意が必要だ。
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