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SaaS で行こう!!――「ガルーン 2」サービス開始でサイボウズ&フィードパス にインタビューサイボウズが同社のグループウェア主力製品のひとつである「ガルーン 2」SaaS 化を発表、SaaS 事業拡大を宣言したのは、2008年6月12日。その6日後の18日、サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏、およびフィードパス代表取締役社長の津幡靖久氏に、インタビュー取材を行った。
■SaaS が流行っている 現れた青野氏は開口一番、「SaaS が流行ってますね。本格的にブームになってきましたね」。 サイボウズの SaaS に対する取り組みは早く2002年の初めから、同社の中小規模向けグループウェア「サイボウズ Office」の ASP サービスを開始した。 しかし、ASP サービス自体はその後数年、あまり振るわず、自然消滅状態だった観がある。 青野氏は当時を振り返って、「これからは自社でサーバーを持たない形が増えていくと思って、みんなが参入したんですけれど、あまり盛り上がりませんでした。しかし、これは世の中一般の見方で、私たち自身は違う感触を持っていました。というのも、サイボウズ Office の ASP ライセンス売上はその後も右肩上がりで伸びていたからです」と言う。 世の中にはいまひとつだめだと思われていた ASP だが、それにも関わらず、顧客のニーズは着々と伸びて、技術的にも成熟し、もう一度インターネットサービスとしてやれるようになった、というのが現在の流れだ、と青野氏は語る。 さらに青野氏は、今、これまでと違う流れが出てきている、と続ける。大企業も SaaS に注目し始めたのだ。 「これまで、ASP、SaaS と言えば中小企業向け、というのが大半の見方でした。サーバーを持てない、システムを自分たちで管理できない企業にとって、便利なサービスだからです。でも、この半年で、大企業にも、アウトソースとしてソフトウェアを使いたい、というニーズが高まってきているのを感じます」 というわけで、サイボウズがガルーン の SaaS による提供を開始するのだ。 しかも、サイボウズが企業ユーザーに新たに提案するというより、顧客からの要求を受けてサービスを開始する意味合いが強い、という。 ところで、サイボウズ自体はソフトウェアを開発してそのライセンスを販売するが、SaaS サービスを実際に行うのはグループ会社のフィードパスである。 「サイボウズが販売するのは、基本的にはパッケージ。われわれはサイボウズからライセンスを購入して、われわれが運用するサーバーでサービスをご提供します」と、津幡氏。 「サイボウズでは、簡単に言うとソフトウェアしか作りません。ソフトウェアをデータセンターで運用管理するサービスを行うのは、フィードパスという役割分担です」と青野氏も付け加える。 ■SaaS サービスは下から上に流れる 「元来グループウェアを導入する際には、パッケージで購入するのが当たり前でした。サイボウズにしようか、マイクロソフトにしようか、IBM にしようか、という選択肢はありましたが。今は、サイボウズガルーンを導入するにしても、それ自体をアウトソーシングする選択肢も出てきたのです」(津幡氏) つまり、アプリケーションだけではなく運用も含めた形で外注化することを、中堅、大企業クラスでも選択肢として考え始めたのだ。 「SaaS の流れが、どんどん速くなってきていますね」という青野氏だが、ガルーンでも SaaS によるサービスを行うという構想は、Office の ASP 開始当時からすでにあったのだろうか。 「どうだったかな。いつかやる日が来る、その程度にしか考えていなかった気がしますね。というのは、私たちは ASPやSaaS でほとんど実績がありませんでしたし、サイボウズのソフトウェアを使ってくださっている会社のほとんどが中小企業で、大企業からの注文は、あっても年に数件という感じでしたしね」(青野氏) ところが、この半年くらいの急激な SaaS の伸びによって、ソフトウェアサービスも一般的になってきた。また、サイボウズによるグループウェア ASP サービスも、登場から4、5年経過した現在信頼度も高まっており、自然、大企業からも注目されるようになってきた。 津幡氏は、SaaS の伸びを、コンシューマユーザーの動向からも解析する。 「SaaS はオンラインサービスで、インターネット経由でのサービスは、ビジネスでは一般的でなかったとしても、コンシューマレベルでは当たり前のサービス形態です。顧客企業の社員の方も、プライベートでは Yahoo! メールや Hotmail、Gmail などの Web メールを使っているでしょうし、インターネット経由でサービスを利用することに関しては、それほど危惧感を抱いているわけではない」 したがって、「SaaS によるサービスが根本的に使える、使えないとか、パフォーマンスは大丈夫なのか、という問い合わせはほとんどない」そうだ。 それに、フィードパスもそうだが、たいていの SaaS 事業者はサービスお試し期間を設けており、仮登録後、実際に1か月とか1か月半とかの間に試用してから契約する、という手順をとっている。お試し期間中にサービス品質などを確認できるので、基本的な点での抵抗はないのだろう、というのが、津幡氏の見方だ。 しかも、ここ数年 ADSL や FTTH の普及でインターネットの足回り回線は太くなってきており、20人、30人規模の企業では、厳格なセキュリティを重視したシステムよりも、初期コストがかからない SaaS サービスを選ぶのは当然と言えるだろう。 従来の情報サービスは、大企業導入が先で、それから中小企業も導入する、という上から降りてくるものが多かった。ところが SaaS に関しては、コンシューマレベルでのオンラインサービスの経験がすでにあるので、中小企業での広がりも速い、と津幡氏は考えている。 ■SaaS と言えば salesforce.com だが… SaaS と言えば salesforce.com が有名だが、ライセンス料金はかなり高額だ、と青野氏は指摘する。 「Enterprise Edition」だと1ユーザーあたり月額1万5,000円、「Professional Edition」はこれよりは安いが7,500円。「これは直感的に高い」と青野氏は言う。SaaS サービスはこの価格帯ではあまり普及しない、もう少し大衆的な価格、1ユーザー1,500円程度が望ましいというのが青野氏の意見だ。 ちなみに、「サイボウズ Office だと、基本ワークフローまで11個のアプリケーションが入って約1,500円」(青野氏)。 津幡氏もまた、「salesforce の場合の価格帯は、SaaS サービスを全社員で使うという発想ではない」と指摘する。なぜなら社員1,000人の会社だと月に1,500万円の費用が発生するからだ。したがって「営業部門などに限定して使用するケースがほとんど」ということになる。 サイボウズの SaaS サービスは、そもそもの発想が全社員で使わないと意味がないというものなので、当然価格付けも違ってくる、と津幡氏。 とはいえ、「グローバルビジネスとしてみると、ここ数年間のビジネス向けアプリケーション市場で salesforce がもっともインパクトのある企業であることは間違いありません。一昔前は Microsoft、Oracle、SAP でしたが、これに続くプレーヤは、間違いなく salesforce.com です。サイボウズは、日本市場では彼らよりも認知度は高いし、ユーザー数も多いですが、グローバルではまだ勝負になりません」、と津幡氏は語る。 salesforce.com は サイボウズにとって、ライバルというよりは、ひとつの目標であり、ビジネスモデルもターゲットユーザーも売り方も違うが、ビジネス向けアプリケーション市場では成功しているプレーヤとして意識せざるを得ない、というのが現実のようだ。 しかし、日本でサイボウズの SaaS サービスユーザー向けに、salesforce と同じような機能を追加していくのかというと、それはまた別の問題だ、と津幡氏は言う。 ■SaaS の可能性はグループウェアにあり SaaS サービスは、それを提供する側にも、サービス利用料として毎月一定額が入ってくるので、ある程度サービスがブレイクすれば、収益が安定化するというメリットがある。 また、サービスのバージョンアップやサービスを追加する際にも、パッケージ製品とは異なり、メーカー側の修正のみですむ。ユーザーが最新の機能を使えるサイクルが速くなると、その分、ビジネスサイクルを速くできるので、よりよい機能を顧客に速く提供できるようになる、と津幡氏は指摘する。 しかし、また、「現在の SaaS は、もともと存在するアプリケーションソフトウェアを SaaS 化したものです。salesforce は SFA というパッケージでもあるものを SaaS 化しているだけです。われわれもサイボウズという、もともとパッケージで買えるグループウェアを SaaS 化しているだけ」なので、「SaaS ならではの機能やメリットを提供していかないと、パッケージより強い製品は生まれてこないが、それがどういうものになるか、今はわからない」と津幡氏。 青野氏は、「実は、グループウェアを中心にした低価格サービスに SaaS の本命があるのではないでしょうか。salesforce のサービスはまだまだ伸びていますが、salesforce だけがやっている間は SaaS の伸びには限界がある。次の SaaS の波を作っていくのは、低価格のグループウェアサービスではないでしょうか」と続ける。 青野氏は、「サイボウズ デヂエは Web のデータベースですが、社内的にはこれもグループウェアだとみなされています。グループがあって、そこで使うソフトウェアであれば、それはグループウェア」と再定義し、「デヂエは SaaS モデルだとすごく面白くなる」と語る。 現在は SaaS とはいっても、社内にあるシステムを外側に持っていっているに過ぎない。デヂエになってくると少し違う、というのが、青野氏の意見だ。 「デヂエは Web DB ソフトウェアなので、社内から出て社外に置かれた瞬間に、社外の人にも使ってもらう、という発想が生まれるのです。社外の人との情報共有の場として使おうとすると SaaS でないとだめなのです。社内に置いたら、社外の人はアクセスできないのですから」 流通系の会社で行き先参照 DB として、デヂエを実際に SaaS で使っているそうだ。 データ自体は基幹系 DB システムにあるので、それを直接取引先に見せるわけにはいかない。これまで、必要な場合は、部分的な情報だけを Excel などに落としてメールに添付して渡す、という面倒なことをしていた。 しかし、基幹系 DB から CSV に落としてデヂエに読み込ませると、取引先もデヂエにアクセスしてその情報を得ることができるようになる。非常に安いコストで、しかも手間をかけずに、社外の取引先と情報を共有できるようになるのだ。 「デヂエのようなものはイントラネットの仕組みだとまったく意味がないです。SaaS じゃないとできない、そういう例がたくさん出てくると、SaaS の普及につながります」(青野氏)。
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