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2003年7月24日 00:00

なますを吹かない

3月後半に始まった日本の株式市場の上昇と同時に、インターネット関連株式も非常に強い地合を継続してきました。japan.internet.com が発表する同セクターの株価動向を示す指数である JISDEX は3月には20台で推移していたのですが、7月の下旬には約1.5倍以上の40台中盤で推移しています。同セクターの代表格と言えばソフトバンクですが、こちらはなんと3月の1,300円台から約2.5倍の3,000円台中盤で推移しています。

財務や業績内容から株価を完全に説明しきれるとは思いませんが、それでも複数のネット企業の決算を見て思うことは「内容はいい!」ということです。割安・割高は、人気をベースとして市場参加者が相互に影響し合い決まりますので、ストレートなレベルの是非についての議論には第三者的な観客の立場がベストです。そして今のマーケットの見解を総合すると、同セクターの上昇が行き過ぎているというニュアンスは薄いように感じます。市場は意外と冷静で、むしろ過度に売られた反動の側面が大きいという見方に勢いがあるようです。

昨今のマーケット全般の上昇も、金融不安やデフレへの警戒を背景に過度に売られすぎたことへの反動の色合いが濃く、過熱感はありません。過度に株価が行き過ぎると、短期でも長期でも株価は元の場所に戻ろうとする「リターン リバーサル」という現象が起こります。大衆心理の普遍性を背景にした現象です。「羊の群れ」の心理ですから、一旦動いた方に全体がどっと流れます。

インターネットセクターについても、バブル崩壊とともに過度に売られ過ぎていたと考える資金が登場したのでしょう。3月の好調な決算を見てインターネットセクターにもリターン リバーサルが起きたと考えます。つまり、昨今のインターネット関連の株価は過度に売り込まれた後に、市場が考える“本来あるべき水準”に回帰するステップだったと考えるのが自然です。

急激な上昇を示したソフトバンクですが、依然会社を解散した価値よりも株価は3から4割ほど安値に放置されているという状態です。きっと将来の事業展開への不安感が割り引かれているのでしょう。不安感が市場の大勢を占めているうちは、ショートポジション(空売り)が膨れやすくなります。そうやって膨らんでいったショートポジションが耐え切れなくなったとき、本当に僅かなポジティブサプライズで一気に買いに回ってくるのが常です。

「あつものに懲りて、なますを吹く」というのが一般的な行動パターンですが、そうでない資金は常に冷静で、過去の体験に基づいた過度の教訓に縛られたり、マイナスの潜在意識をベースに無条件反射的に態度を決めたりはしません。リターン リバーサルの餌食になるのが目に見えているからです。マーケットのことばかりでなく、いろんな場面で「なます」を吹いていないか―― 昨今のインターネットセクターの回復は我々にそう語りかけているように感じます。(記事執筆:桜井信一郎)

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