居住国を選ぶ水や空気のように非常に身近すぎて、
その存在を深く考えないものがあります。
そうしたものの一つに居住国があります。
まったく意識のない赤ん坊の時に自動的に決められた居住国が永続しているわけですから、
自分の居住国について真剣に考えてみなくても、
特段不思議なことではないでしょう。
一昔前では考えられなかったことに、「水を買う」、 「空気清浄機を買う」というのがあります。 しかし今ではこうしたことはごくごく当たり前のことになっています。 水や空気が健康にとってとても大切であることが認識されてきたことや、 年々進む水質や大気汚染の悪化がその背景となっています。 同じようなレトリックで、 今後は居住国も深く意識される問題となっていくことでしょう。 日本人が日本で暮らす大きな理由の一つは日本語の壁があります。 日本の英語教育が貧弱で海外でそのまま使えないことは、 もしかしたら日本人が海外に逃げ出さないような特別の配慮の結果かもしれません。 あとは「食」の問題です。 生の魚をふんだんに使った寿司や四季折々の料理などは、 なかなか海外では食べられないものです。 しかし、現状をよくよく観察してみますと、 海外の主要都市では本格的な日本食レストランがいっぱいありますし、 空輸の発展で、 自分で日本から食材を取り寄せて自宅で「あんこう鍋」などの舌鼓を打つことも簡単です。 問題は言葉の壁ですが、 筆者の率直な感想では、 英語が特技となる時代は終わったように感じます。 少なくとも筆者の周りで英語に困る人はあまりいません。 そうなると、ミュージシャンや作家、投資家など、 別に国内に束縛されない立場であれば、 日本に居住する理由を真剣に考える必要が出てきます。 本当はもっと素晴らしい環境に居住する「機会の損失」を被っている可能性があるからです。 環境と一口に言っても、 住宅環境や自然環境といった物理的な環境だけではなく、生活、福祉、 税制、法律、司法など、 国家の福祉サービスに関わる環境も見逃すことはできません。 日本の財政にとっては悪いことに、 最近富裕層を中心に国外へと移住する例が増えているようです。 先般、食事をしながら40代のとある富裕層の方とお話したところ、 日本が冬のときにはニュージーランド、 逆に夏の時にはカナダに居住する計画を練っているとのことでした。 綿密な現地視察までしてきたとのことです。 ちょっと昔に、 大橋巨泉氏がこのスタイルを実践されていたと聞きました。 インターネットが普及して情報のやり取りが簡単になり、 衛星の電波を受信して日本のテレビがタイムリーに見られ、 物流の発展で日本から物資を調達するのが簡単になり、 言葉の壁が乗り越えられないほど巨大なものでなくなった現在、 こうした居住地を越えようとする発想の裏には、 積み上げられた巨大な富と才能の流出があることでしょう。 こうした現象は、日本が直面している国家としての競争力の、 相対的な低下が背景にあるように感じます。 特に最近の才能溢れるプロ野球選手やミュージシャンの国外流出といった富の流出などは、 富の流出現象の氷山の一角なのかもしれません。 いずれにしても、 状況から判断する限り、 居住国としての日本の国際競争力が低下しているのは、 間違いないように感じます。 このニュアンスの延長線上で、 海外で活躍するプロ達の映像を見て「日本人もやるなあー」と手放しに喜んでいるのは、どうも危機感に欠けたしっくり来ない議論のようにも思います。 (記事執筆:桜井信一郎) 本情報は、投資判断の参考情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的にしたものではありません。銘柄の売買判断は必ず自己責任において行ってください。 最新トップニュース
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