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2004年6月23日 00:00

中国経済の弱点

ここのところ中国経済の行方が気になっている。原因は物価である。先週発表された5月分の消費者物価上昇率は前年同月比+4.4%に達し、いよいよ人民銀行による利上げが確実になってきた。その前の月が+3.8%で、そこから更に加速しているから、もう待ったなしだろう。こうなるとすべての前提が壊れてしまう可能性がある。

中国経済についてはかねてから様々なリスクが懸念されてきた。近いところでは人民元の切り上げ問題があったし、不良債権問題はもう取り返しがつかないところまで来ているという人もいた。元々、会計基準も資本主義と異なるため中身を見たら驚愕したという話も聞いている。悲観的な見方は古くからあり、その根は深い。

しかし中国は世界最大の発展途上国である。そのため、負債が多いことは発展の前段階としてはやむを得ない話だ。かつての日本同様、通貨の交換比率を低く保ち、安価で良質な労働力を武器に輸出競争力を高め、外貨を獲得し、高い成長力を維持していくほかに発展の道はない。だからこれらは本質的な問題ではなかったのである。

しかし物価が上昇し、国家全体に広がるインフレーションが発生すると、事態は一変する。まず安価な労働力を維持するのが難しくなり、企業の生産性が低下する。この時、労働者の実質所得が低下すれば、国全体に不平不満が蔓延することになるだろう。よって、中国人民銀行は社会不安が起きるのを防ぐためにも、速やかに金利を引き上げる。だがこれがなかなか効いてこない。

中国にはまだ債券市場が整備されていないのである。だから中央銀行は売りオペが行えず、量的な引き締めができない。つまり、マネーサプライをコントロールできないのだ。

仕方がないので公定歩合をひたすら上げることで対応するしか手はないのだが、今は海外からの投資がひっきりなしに押し寄せる、いわばオーバーファイナンスの時代である。そんな時に公定歩合だけでマネーサプライを低下させようとしたら一体どこまで上げることになるのか、考えただけでも気が遠くなる。

発展途上国では景気のスローダウンは難しく、失速させることでインフレの低下を図る、いわゆるハードランディングしかないのだ。実際、1993年から95年にかけて中国は2桁インフレを経験し、公定歩合はこの時10%台まで引き上げられ、インフレが低下するまで3年間維持されたのである。

まだまだ中国の GDP は日本の4分の1ぐらいで、輸出相手国としても同じく米国の4分の1ぐらいだから、中国がくしゃみをして日本が風邪を引く、というようなことは杞憂に他ならない。しかし金利が大幅に上がる時には資本市場に変調をきたすのは必至である。

長期的に見た中国の経済発展シナリオに異を唱えるつもりは毛頭ないが、循環的に見た場合、ここしばらくは要注意である。(記事執筆:岡崎良介)

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