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ファイナンス2004年8月18日 00:00
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当世ヘッジファンド事情

この記事のURLhttp://japan.internet.com/finanews/20040818/7.html
著者:岡崎良介
国内internet.com発の記事
今年度になってからヘッジファンドのパフォーマンスがさえないらしい。格付け会社 Standard & Poor’s(SP)のヘッジファンドインデックスによると、彼らの平均的なパフォーマンスは7月が-0.54%で、もうこれでかれこれ4か月連続のマイナスとなってしまった。

理由としては、4月からの金利の上昇や米国株の低迷が挙げられるが、最大の打撃は予想に反して日本株が上がらず、円高にならなかったことであろう。

保険会社を隠れ蓑にして今ではすっかりヘッジファンドの総元締めとなってしまった米国の大富豪、ウォーレン バフェット氏のポートフォリオにいたっては為替投機の失敗により前年同期比-42%である。お得意の株式運用ならじっとこらえて値が戻るのを待てばよいのだろうが、為替はそうはいかない。下請けに雇ったヘッジファンドもいくつかは解約を余儀なくされることになるだろう。

しかしこうした失敗談の話は、かつての LTCM(Long Term Capital Management)の破綻のようによく耳にするのだが、なぜか一般に公開されているヘッジファンドのパフォーマンスはすこぶるいいものばかりである。どのブローカーが持参する資料でも、掲載されているヘッジファンドのパフォーマンスは年率20%など当たり前で、それらに比べてれば一般の年金や投資信託がウスノロに見えてしまう。

しかしこれにはもちろんカラクリがある。ヘッジファンドはパフォーマンスが悪ければ顧客からすぐ解約され、あっという間に解散に追い込まれてしまう。トラックレコードも実際にはバックテストした試算をつなげたもので長いものなどありはしない。つまりいいものしか残らず、おまけに目にする資料はそうした生き残った一握りの勝ち組の数字を大げさに誇張したものばかりなのだ。

現実にはもっと多くの、それこそあまねく星の数ほどのヘッジファンドが勃興し、そして消えて行く。その結果、悪いパフォーマンスのトラックレコードも一緒に消滅し、一握りの勝ち組のものだけが残るという仕組みである。この勝ち組の数字を見て人々はヘッジファンドという商品に過大な期待を寄せてしまうのだ。

実際、バフェット氏のような高齢のファンドマネージャーの場合、自分で為替投機をすることはまずありえない。下請けのヘッジファンドたちにお金を渡して相場を晴らせ、儲けた分をいただこうという魂胆だ。そして悪ければすぐ解約をする。

また当のヘッジファンドもかつてのような単純なロング/ショートだけではなく、最近その品数はどんどん増えている。バフェット氏の保険会社だけでなく日本の年金・生保の運用においてもオルタナティブと名を変えて急激に残高を増やしているのが実情だ。

裏を返せばそれだけお金が世界中で余っているということなのだろう。本当ならばこれが南北問題の解決にでも一役買ってくれれば、もっと世界経済は安定的に成長するのだが。

昔、Bankers Trust という米国の銀行にアンディ クルーガーと言う伝説の為替ディーラーがいた。オプションを駆使し莫大な金額を為替相場に打ち込み続け、彼が辞意を表明した時には何があったのかと半日相場が動かなかったほどである。あれは1988年の2月のことだった。

それからしばらくして彼が設立したヘッジファンドを訪ねたことがある。その頃、アンディは有名なヘッジファンドの総帥であるジョージ ソロス氏の下請けでポンド急落を演出していたのだが、彼の小さなディーリングルームの片隅に日本の商店によくある神棚が飾られてあった。聞けばわざわざ浅草まで行って買ってきたそうである。

“これが一番ご利益があるんだ”と言って、彼は笑っていた。  (記事執筆:岡崎良介)

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