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2008年10月7日
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Webファイナンス2004年10月6日 00:00

世代間の不均衡

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高齢者層に資産があり中年・若年層には負債がある。タブーとされている問題なのか世の中にはこれを合理的な行動として分析しているレポートがない。

結論を先に言えば、恐らく高齢者層は資産を手元に残すことで子供や孫の世代の関心を引きとめようとしているのだろう。年をとり権威も権力もなくなれば頼みの綱は金である。手元に資産がありその配分権を高齢者が持てば、金のない若い世代は従う。いい子にしていないと財産がもらえないという仕組みである。

言い換えれば、そうでもしないとこの国の高齢者達はいつ捨てられるか分からないような不安に苛まれているのである。国が躍起になって介護保険制度を作ったが、そのサービスを受ける需要側がこのようにして自衛策をすでに取っているというのはなんとも皮肉な話である。

しかしなぜこのような世代間のアンバランスが生じたのか。原因は相続税が高すぎると言う点に求められているようだが、それだけではない。愛憎半ばする複雑な情緒の問題と、限定された中での合理的行動があるはずだ。

先ず間違いなく戦前と戦後では考え方に大きな違いがある。資産を持っている戦前の人間は軍国主義の時代に育ち、考え方の基本は封建主義である。封建主義の基本は上から下への領土を中心とした既得権益の配分にあり、更にそれは世襲制度で支えられる。世襲制度は、個々の家族における長子相続で守られており、そこに競争原理が入り込む余地はない。

従って社会の最小単位である家族において、家長の権力は絶大でありこれに逆らうことは死を意味する。だから何をするにも家長が決めるし、食事も一番、風呂も一番、挙句の果てには結婚相手も家長が勝手に決めてしまう。しかし裏を返せば長子にとってはそれを黙って受け入れることが最も合理的な選択であり、自分の番になってその権利を謳歌すればいいだけの話である。残念ながらこれが古き良き日本の実態だ。

遡ればこうした考え方は孔子に始まる儒教から派生しており、我々が属する東アジアの近代化を妨げる最大の要因になった。儒教主義、封建主義、世襲制度、長子相続といった競争原理を否定した社会では生産性の上昇は望めず、領土の拡大がない限り経済の発展はありえなかった。そして、案の定敗戦によってこのシステムは崩壊した。

しかし個々人の段階においては、戦争はまだ終わっていなかった。一族の長と呼ばれる人にはありがたいシステムであり、国としてそれが亡んでも自分の身の回りには残しておきたい。だからこそ当時の生活は美化されドラマや映画、小説などでいいところだけが繰り返し紹介され伝承されていく。

国にわざわざ頼らずとも家族が福祉を受け持ってくれるのだから、現代においても出来る事なら誰でもそうしたいところだろう。それ故、色んなお話の中で美意識として広く世間に広めつつ、その一方で手元に金を蓄えて、自ら金の力でそれを実現しようとする。これが今の時代の世代間不均衡問題の本質ではないだろうか。

最近、高齢者層の消費が静かなブームとなってきた。ただこれは戦前の人間によるものではなく、団塊の世代が退職し手元に余裕資金が出来たことによるものであり、世代間不均衡問題が解決に向かい始めたわけではない。

世の中には狭量で強欲な老人が大勢いる。それこそ不寛容な態度で頑なに金を蓄えこんでいる。郵便貯金に積み上げられた彼らのお金がどこにも誰にも渡ることなく本人の死を迎える時、果たして喜ぶのは誰なのか。

青春を国家に捧げた人々が、死に臨んでもまた蓄えたお金を莫大な相続税として国家に捧げると言うのはなんとも悲しい話である。(記事執筆:岡崎良介)

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