Webファイナンス 2005年1月7日 00:00

踊るチャイナ・マネー

著者: 岡崎良介
2005年1月7日 00:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

日本と中国は違う。こんな当たり前の話だが、経済発展のパターンを考える時、かつての日本のそれをあてはめて中国経済を語る人のなんと多いことか。

同じ東アジア圏に属し、漢字文化を共通に持っているとはいえ、地理的条件も、歴史的背景も異なる2国である。ましてやイデオロギーの違いは言うに及ばず、こちらは敗戦国、向こうは戦勝国であったのだ。ビジネスと言う名の戦争においても、思考回路は似ても似つかぬものである。

日本は敗戦の後、一から出直した国である。米国の指導の下、せっせとモノ作りにはげみ、ひたすら外貨獲得に専念してきたのだ。その結果、気が付けば世界に冠たる加工組立型貿易立国が出来上がり、いまだに先進国の中では突出した設備投資水準を誇っている。ありあまる生産力をさらに拡張しているのだから、貿易黒字は湯水のごとく増え続ける。内需拡大が叫ばれて早20年が経とうとしているが、構造は変わらない。せっせとモノを作り、外貨を獲得し、貯金する。そして工場を立て、またモノを作る。

一方、中国は良かれ悪しかれ我が道を進む。中華思想がそうさせるのか戦勝国のプライドがそうさせるのか、あらゆる矛盾を抱えながら資本主義と共産主義を両立させてしまった。有識者がどう喚こうが存在するものは存在する。開き直りと言えばそれまでだが、それでみんなが Yes と言えば社会は成り立ってしまうのだ。

甘く見てはいけない。昔から、華僑、印僑、アルメニア、といって貿易の世界では中国人、インド人、アルメニア人のビジネスパワーはとんでもないものがあり、広く世界中で恐れられてきた。中でも神をも恐れぬ中国人の拝金主義は、ウォールストリートの連中の比ではない。宗教以上の強力な拘束力を持つ共産主義をもってしても、彼らの家族主義、個人主義の生き方は結局変えることが出来なかった。人間の個性というものは体制が決めるものではない、ということを中国の友人達は身をもって教えてくれる。

かくして歴史上類を見ない、とんでもない大きさの発展途上国が Take off してしまった。後10年もすれば世界の GDP は米国、日本、ドイツ、中国の順に変わるだろう。すでに始まっている米中主導の経済成長は、2005年も続く。相変わらずモノ作りにはげむ日本は、この2つの国の景気が順調に拡大することを祈るばかりである。

2004年の暮れ、中国のレノボという会社が天下のIBMからPC部門を買収した、と言う話を聞いたときには驚いた。12.5億ドルというから日本円にして約1,400億円だ。これでデル、ヒューレット・パッカードに続いて世界第3位の PC メーカーが中国企業になった。

日本の富士通、NEC、東芝は後塵を拝し、もはや日本人向けの小さな市場で共食いしていくことになるだろう。批判する人も多いが、安価で良質な労働力を武器に短期間のうちに世界No.1が手の届くところまで躍進したその積極果敢な経営戦略は賞賛に値する。

それもつかの間、今度は意外な数字に目を奪われた。12月20日から24日までの週、いわゆるクリスマス休暇のシーズンに日本の株を1,776億円も買い越した外国人投資家がいたのである。欧米のキリスト教圏の投資家でないことは間違いない。オイルマネーも欧米のファンドマネジャー達に委託して運用しているのが実態だからありえない。

穏やかな物腰ながら、決して目だけは笑っていない、彼らの顔が目に浮かんだ。
(記事執筆:岡崎良介)

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