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2008年6月19日 09:00

iPhone を侮ることなかれ

ソフトバンクモバイルによる iPhone 発売の話題は各方面で取りざたされているが、今一度、その意味については説明が必要であろう。

以前、MacBook Air の解説でも触れたが、iPhone 自体も Apple の戦略を象徴するものだということを忘れてはならない。

つまり、個別の機能を他社と比較して○×をつけていっても、Apple の目指すものは見えてこないということだ。また、価格が安いとか、キャリアに対して物申すことが画期的とかの指摘もあるが、それも表面的な事象である。製品自体が力を付け、影響力が高まれば、ビジネスとして、価格をコントロールし、キャリアと交渉をするのは当たり前だろう。

そのようなことで驚いていては、iPhone の本質を見失うことになる。それよりも Apple が如何に力を付け、iPhone にまでいたったかを理解することが重要なのだ。

当然のことではあるが、携帯電話は当初、電話機能のモビリティを実現できればよいと考えられていた。

ところが、1990年代に入り、デジタル化やインターネット網への接続が可能となってくると、電話以外のサービスが充実しはじめた。その結果、ユーザーの使い方や楽しみ方に変化が出てきた。

そして液晶画面が搭載されると、今まで PC と縁のなかった人たちも、知らず知らず、いや、率先して IT の恩恵を受けるにいたった。着メロ、着うた、電子メール、ゲーム、テレビ、ショートメッセージ、掲示板、SNS、ビデオ、携帯小説などなど、一気にさまざまなサービスを利用することになった。

現在の主な携帯端末メーカーは、世界規模では、Nokia(フィンランド)、SAMSUNG、LG Electronics(いずれも韓国)、Motorola(米国)、Sony Ericsson(スウェーデン)が5強と言われ、その他も入れると、毎年約10億台の携帯を出荷していることになる。

国内では、その5%ほど、約5,000万台の出荷台数と見られており、そのシェアをパナソニック、NEC、シャープなど約10社で食い合っている。上位のシェアに食い込めないメーカーでは、すでに撤退を表明するところも出てきた。

このような流れからは、なぜ、このタイミングで Apple の iPhone が登場し、しかも話題となるのかはわからない。つまり、状況だけを見ていても、Apple の携帯端末市場への参入について、合理的な理由や要件は見えてこない。その点に注目する必要がある。

当然のことながら、Apple から見ると、突然 iPhone となったわけではない。ルーツとしては、まず、携帯音楽プレーヤー「iPod」を想定するのが普通だろう。iPod は、2001年の発売以来、全世界ですでに1億2,000万台を出荷した。その集大成が Wi-Fi 機能を備えたタッチスクリーン式の携帯音楽プレーヤー「iPod Touch」である。

iPod Touch は、iPhone から電話とカメラ機能を除いたものだという見方もあるわけだが、いずれにしても、iPod の延長線上に iPhone があると捉えるべきであろう。つまり、iPhone とiPod は無縁の製品ではない。ここがポイントだ。

iPhone は、昨年6月の北米での発売開始以来、累計540万台以上が出荷された。北米に続き、昨年、ドイツ、イギリス、フランスで発売開始、今年に入り、中南米、インド、オーストラリア、南アフリカなどで発表が相次ぎ、遂に日本でも発売されることになったという経緯がある。全世界規模で、2008年末までに1,000万台以上の出荷を見込んでいる。このような背景において、日本の潜在ユーザーが iPhone を心待ちにしているのは確実と言えるだろう。

今後を占う上で、日本のユーザーの受け入れ状況がどのように推移していくのかは見守る必要がある。つまり、片手でブラインドタッチするのが得意な日本の携帯ユーザーが、iPhone のタッチスクリーン型のユーザーインターフェイスをどこまで受け入れるのか、あるいは別の潜在ユーザーが一気に iPhone に流れるのか、そこが興味深い。

もし、タッチスクリーンが受け入れられれば、今までの携帯にはない、オープンなアプリケーション開発プラットフォームが威力を発揮することになる。あなたが優秀なエンジニアを自負するなら、さっそく iPhone 向けプログラムを開発し、完成させることをお勧めする。製品として、Apple が、iTunes を通し、全世界に向け販売してくれるからだ。

そしてGoogle による Android の進展にも目が離せない。つまり、携帯端末のサービスプラットフォーム化が一気に進む可能性があるのだ。単なる試金石か、あるいは、iPhone がその序章となるのであろうか。


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