ネットに香りの DigiScents がライバル企業を買収2000年9月7日――「調査分析会社 Kamikaze Communications の予測によると、2005年まで
にオンラインコンテンツを引っ掻いたりにおいををかいだりしたくなる人の数が、全消費
者の半数にまでのぼることになり、数十億ドル規模のデジタル香料技術産業が……」とい
うのは、私の考えた作り話。しかし6日に、オークランドに本拠を置く
DigiScents が、イスラエルの SenseIT
Technologies というライバル企業を、条件は明かされていないが株式交換で買収する計画
を発表したのは、間違いなく現実の話だ。
芳香発散技術に着目した DigiScents は、手始めにウェブ上で香りをかぐことができる方 法の開発を最終目標とするビジネスに取り組んでいる。このアイデアはそもそも、スタン フォード大学の卒業生で、それぞれ分子生物学の心得と起業家の夢を持つ2人の組み合わせ が思いついたものだった。昨年の、市場全体を覆っていた熱狂的なドットコムブームの 中、たしかにオリジナルコンセプトとしては、的を射たものだったと言えよう。そして予 想通り、DigiScents は最初の資金調達で、熱狂的な投資家たちから、1000万ドル以上の資 金をがっちりとつかみ取ったのだった。 画期的なテクノロジーブームとして消費者ははしゃいでいるが、インターネットと実際の 体験とは遠くかけ離れている。人間の五感のうち、ハイテク産業がもたらすのは、いまの ところ視覚と聴覚だけだ。触覚については議論の余地があるものの、かなり離されて第3位 といったところだろう。DigiScents が取り組んでいるのは、あなたのインターネットの 日々に、甘酸っぱい香りを提供し、願わくばより豊かなウェブサーフィン体験を実現させ ることだ。 DigiScents の香りの仕掛けは、ありきたりの洒落ではあるが、iSmell と呼ばれている。 大きさとしては、普通のパソコン用のスピーカーくらいで、パソコンのシリアルポートに 接続する。2人の起業家たちの特許による、ScentStream 技術を使った香りデータを iSmell が受け取ると、小さなファンが回って、あなたの所まで香りを運んで来てくれて、 香水から松まで、様々な香りが鼻をくすぐってくれる、という具合だ。 とまあ、表面的にはまるで iSmell は「あなたが選ぶ、今月の香りランキング」に、いき なりランクインしそうな感じだが、DigiScents は、発表から優に1年以上過ぎているの に、その技術をまだ商品化に漕ぎ着けていない。その技術は完全に現実のものなのだが、 製品を市場に問うことは、「言うは易し、行うは難し」だった。当初、市場小売り価格は 200ドルを予定していた。それから約1年が過ぎた現在、商品はまだデビューを果たしてい ないが、小売り価格は今のところ、よりリーズナブルな100ドルに落ち着いており、来年に は市販する予定らしい。 はたして DigiScents は、十分な見込みを持って事業を軌道に乗せられるだろうか? はっきり言ってしまえば、無理だろう。コンセプトはたしかに素晴らしいが、移り気な消 費者が、一時の流行のために、なけなしの100ドルを喜んで手放す、とは考えにくいから だ。そしてそのコンセプトをパソコンユーザーたちに、ちゃんと売り出したいのであれ ば、言葉だけではだめだろう。投機の時代だから、新しいアイデアというだけで、個人投 資家からなら多額の資金を集められるが、iSmell は大衆市場でそのアイデアの是非を問う のに必要な資金を、懐疑的なベンチャーキャピタルから引き出すことは、おそらくできな いだろう。 最新トップニュース
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