![]() ![]() ![]() ![]() 「Apache Harmony」プロジェクトはいかにして生まれたか――2この記事のURLhttp://japan.internet.com/linuxtoday/20060317/5.html
著者:Maria Winslow
海外internet.com発の記事
Harmony の衝撃
(前回からの続き) LinuxPlanet:なぜオープンソースの Java インプリメンテーションが重要だと思われるのですか。 Topic:Java は、 誕生から10年で最も人気の高いプログラミング言語のひとつになりました。 Java プログラミング言語を使って膨大な数のフリーソフトウェアが書かれました。 今では、フリーソフトウェアのサポートライブラリや、 フリーソフトウェア OS 上で動作する完全なフリーソフトウェア J2EE スタックも複数あります。 これらのスタックにはプロプライエタリな部分がひとつだけ残っています。 それが Java インプリメンテーションなのです。 私は、フリーソフトウェアを利用したり他人と共有する場合には、 プロプライエタリなソフトウェアの使用を余儀なくされるべきではないと考えています。 残念ながら、 Mark Wielaard 氏率いる GNU Classpath プロジェクトが本格的に稼働開始する数年前までは、 ソフトウェアの実行にはほとんどの場合、 プロプライエタリな Java インプリメンテーションが必須でした。 ここまでプロプライエタリなコードと密接に結びついたフリーソフトウェアがあるために、 Java で書かれたフリーソフトウェアには、 ユーザーや開発者にとって本来の便利さがありませんでした。 たとえば、コストをかけてプロプライエタリなインプリメンテーションを移植するビジネスニーズを会社が感じないプラットフォームでは、 Java で書かれたソフトウェアはひとつも動作しません。 Kaffe プロジェクトが発足した1996年には GNU/Linux もその中に含まれていました。 今日では、Eclipse、Azureus、あるいは JOnAS など、 Java で書かれた最新フリーソフトウェアを GNU Classpath のフリーランタイムで実行できるケースが増えています。 われわれは、Java で書かれたフリーソフトウェアが、 確実にフリーのランタイムとパッケージ(ビルド/機能)されるよう、 ディストリビュータとも協力しています。 今では、Ubuntu、Fedora、Debian などの各種ディストリビューションが、 gcj や GNU Classpath 上で動作する Eclipse や OpenOffice.org を出荷しており、 数百万行のコードを実行するフリーソフトウェアユーザーや開発者が、 プロプライエタリなバーチャルマシンの利用を余儀なくされることは、 もはやなくなりました。 さらに、GNU Classpath 周辺のフリーソフトウェアランタイムが、 Java 分野のいくつかの技術革新につながりつつあります。 IKVM は Java のコードが無修正で .NET 上で動くようにするもので、 JCVM や gcj は Java のバイトコードを先読み変換してネイティブコードを高速化するもので、 JNode などのプロジェクトはネイティブ Java OS の概念実現に向けて取り組んでいます。 LinuxPlanet:Harmony は現在 Apache Software Foundation のなかでどのような状況にありますか。 Topic:Apache Harmony プロジェクトには豊富な数のコントリビューションが集まっています。 Archie Cobbs 氏と Dan Lyddick 氏はそれぞれランタイムエンジンを提供し、 IBM と Intel はクラスライブラリのソースコードを提供してくれました。 現在は、Archie と、ほかの Apache Harmony の開発者が、 ここ9か月間の開発の成果を一部公開すべく準備を進めています。 LinuxPlanet:もし Sun が Java をオープンソースとしてリリースしたり、 Linux 上での配布を許可したら、Harmony の将来にはどのような影響が出てきますか。 Topic:Sun がある日突然、 J2SE インプリメンテーションのソースコードを OSI 認定のオープンソースソフトウェアライセンスでリリースするようなことになれば、それは喜ばしいことです。 Harmony は、 ほかのフリーランタイムプロジェクトと同じように、コードを詳しく調査し、 再利用できる部分を判断します。 オープンソース化実現の暁には、 Apache Harmony プロジェクトや、 そのほかのプロジェクトへの協力を Sun に期待します。 しかし残念ながら、Sun にはさまざまなビジネス上の理由があり、 このようなことが近い将来実現することはないと思います。 ただ、このような期待がわずかながら高まっていることは確かです。 Sun は、数年前にその好機を逃したと思います。 多くの人はそのとき、適切な対応を待ちきれなくなって、 われわれのプロジェクトに参加し、将来、 同プラットフォームの最高のインプリメンテーションを確実にフリーソフトウェアにすることで問題を回避しようと取り組み始めたのです。 Sun のプロプライエタリなソフトウェアに、 別のプロプライエタリなライセンスが出てきても何も変わりません。 開発者やユーザーは、 フリーソフトウェアの代替案が同等かそれ以上に機能するのであれば、 プロプライエタリなソフトウェアを出すベンダーの奇妙な行動に、 時間や労力を費やすのをますます嫌がるようになっています。 私は、Kaffe、gcj、あるいは Cacao などの GNU Classpath ファミリのフリーソフトウェアランタイムが、 今後3年以内にはシームレスな後継技術として、 プロプライエタリなインプリメンテーションに取って代わり、 フリーソフトウェアを使いたいときは、 プロプライエタリなインプリメンテーションを気にする必要がなくなる、 と予想しています。 LinuxPlanet:IBM と Harmony の関係はいかがでしょうか。 Topic: IBM では、 フルタイムで Apache Harmony の開発を行う人間が働いています。 同社はコアクラスライブラリのインプリメンテーションの一部を提供しています。 LinuxPlanet:ターゲットにしている Java はどのバージョンですか。 Topic:Apache Harmony は J2SE 1.5をターゲットにしています。 LinuxPlanet:Harmony には今後何が期待できますか。 Topic:異なるソースの異なるコンポーネントがうまく適合し続けられるよう、 Apache Harmony は今年を調査と統合のフェーズにする予定です。 来年には Apache Harmony で Eclipse が動くようになるとうれしいですし、 互換性テストスイートを実行して仕様への準拠を引き続き改善できるよう、 プロジェクトが節目に来れば TCK も申請すると思います。 また、コンポーネントを貢献してくれる企業の獲得数にもよりますが、 Apache Harmony は今後3〜5年で普及すると思います。 Apache Harmony は意図的に GNU Classpath を使用していないため、 クラスライブラリをすべて書く必要があります。 GNU Classpath はこれに約10年かかっていますので、 Harmony では、すべてが順調に行けばこれを5年に短縮できると予想しています。 Apache Harmony はすでに主要な部分の開発に成功しています。 大半の Java 開発者は、 フリーソフトウェア Java ランタイムをもはや心配する必要がありません。 LinuxPlanet:Harmony プロジェクトについてお話しいただき、 どうもありがとうございました。 Maria Winslow はオープンソース戦略コンサルタントで、 オープンソースソフトウェアが各社のコンピューティング環境に与える影響について、 技術面や予算面からクライアントを支援している。 近著のThePractical Manager’s Guide to Open Sourceは、 IT 幹部やシステム管理者が、 既存のインフラにシームレスに統合されるオープンソースの実用的な利用方法を探し出したり、 コストや節約部分を理解するときの手引きになる。 |