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2009年7月4日
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LinuxToday2008年8月29日 10:00

Manbo コアで Atom と踊るか、Turbolinux

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"ターボリナックス代表取締役社長 矢野広一氏"
ターボリナックス代表取締役社長
矢野広一氏
8月29日にリリース予定のターボリナックス次期クライアント OS「Turbolinux Client 2008」だが、リリースに先立ち、ターボリナックス代表取締役社長、矢野広一氏にインタビューを行った。

以下は、その概要である。

デスクトップ Linux を出し続けるということ

Turbolinux Client 2008 発表の場で、「今回の製品は、Turbolinux として、われわれがわれわれであることを示す製品だ」と発言したことについて、矢野氏は「感情論で言ったのではない」と、 Linux ディストリビュータとしての立場を説明する。

Red Hat や SUSE(Novell)など、著名なディストリビュータは、合理的なビジネスから、いわゆるコンシューマ向け Linux デスクトップ市場から脱却している。

ターボリナックスにとっても、デスクトップ市場からの撤退は現実的なテーマではあるが、矢野氏は、「ビジネスとしては厳しくとも、Linux を育ててくれたユーザーコミュニティのために、コンシューマ向けデスクトップ Linux OS を提供し続けることが重要だ」と考えている。

また、「多くのユーザーに Linux OS を知ってもらうためにも、コンシューマ向けのディストリビューションは配布し続けなければならない。これは、Linux ディストリビュータとしてのアイデンティティを維持する上で、意味のあることだ」、と語る。

Magny-Cours

今回発表されたライブ CD 版の Turbolinux Client 2008、開発コード名 Magny-Cours は、無料で使用できるものだ。

以前、ソースネクストの協力を得て、1,980円シリーズでも出していたデスクトップ Linux は、まったくの無料ではなかった。「Turbolinux FUJI」以前の古いバージョンをディスカウントで出したこともあり、最新のハードウェアでは動きづらかった。

今回は、最新の Magny-Cours、Turbolinux 2008 を無料で提供するわけだが、企業としての課題は、それをいかに有償版の、つまりサポート付きの Magny-Cours に誘導していくか、ということだ。できれば、そこから新しいビジネスモデルを作り出したい、というのが、矢野氏の考えだ。

たとえば、メディアや紙媒体、法人などが会員企業に広告付きで Magny-Cours を配布する、あるいは、起動すると、クライアントの広告がしばらく流れる、などのアイデアも考えている。

共同プロジェクト Manbo-Labs とは

ところで、今回のディストリビューションのコアとなったものは、フランスの Linux ディストリビュータ、Mandriva との共同プロジェクトである「Manbo-Labs」で開発されたものだ。

ターボリナックスと Mandriva は、デスクトップに力を入れながらも同時にサーバーも開発しているなど、企業としての類似点が多数あり、企業文化も非常によく似ている。矢野氏は、今回の Manbo-Labs プロジェクトでもそれを実感したそうである。

さて、Manbo-Labs で共同開発した OS コア部分に関しては、Mandriva とターボリナックスはあらゆる権利を共有しているそうだ。

最終的な決定は両社のトップ、つまり矢野氏と Mandriva CEO が行うが、技術的な意思決定機関として運営委員会があり、この運営委員会は、ターボリナックスと Mandriva の CTO および技術本部長の各2名、合計4名で構成されている。Linux カーネルやライブラリ(glibc)、コンパイラ(gcc)、パッケージ管理システム(rpm)など基本要素部分は、ここで決定される。

Mandriva やターボリナックスでは、これらの基本要素に加えて、例えば日本語フォントなどのモジュールを採用して、それぞれのディストリビューションを構成していく仕組みだ。

今回は開発場所が地理的にはフランスだったので、全体で見ると Mandriva のエンジニアが多かったが、ターボリナックスからも交代で、常時2人程度参加していた。役割分担をしてどちらかが何かをする、と言うのではなく、共同でスクラッチから新しいコアを作ったそうだ。

組み込みへの新しい流れ

現在のデスクトップ Linux には一時の興隆感はなく、踊り場に来ている状態だが、その一方で、形を変えた新しい動きも出てきた。

「組み込み系や新しいネット端末に、今 Linux が静かに潜入しつつある」と、矢野氏は語る。ターボリナックスも力を入れているセキュリティ分野で、企業がセキュリティ対策としてシンクライアントを採用する動きがあり、OS には Linux が考えられている。

今話題となっているネット端末用 Intel Atom チップだが、これにも、ターボリナックスはいち早く Magny-Cours と同系のシステムで対応している。実際、Intel Atom プロセッサに対応する OS として、米国 Intel 本社でTurbolinux のデモが行われている。また、モバイル機器用 Linux の開発を推進する Intel の Moblin プロジェクトにも、ターボリナックスは参加している。

今年の後半から来年初頭にかけて、Atom 搭載のハードウェアが続々出てくるはすで、携帯電話よりは多機能なスマートフォンがブームになるだろう、と、矢野氏は予言する。

wizpy はこれからどうなる?

ところで、同社が2007年に発売した wizpy はノート PC よりも小さくて軽い。持ち歩いて適当な PC に差すと、ユーザー専用の OS 環境に変えてくれる。

「いわゆる“ユビキタス社会”とは、少し前までは、ノート PC を持ち運び、Wi-Fi でインターネットに接続するものだ、と思っていたが、実は、ハードウェア端末はあらゆるところにあって、ユーザーは個人認証ツールを持ち運ぶだけ、という世界ではないか」というのが、矢野氏の予想だ。

wizpy は、同社がボードから設計してハードウェアデバイスまで作った、そのようなセキュリティツールとなるものだった。

「たとえば、昨日見た YouTube などの動画を友人に見せるのに、わざわざネットに接続するより、あらかじめダウンロードしておいて、それをオフラインで見せたほうがいい。企業には完全なシンクライアントが必要だが、個人ユーザーの場合は、ある程度オフラインで操作できたほうが便利だ」というのが、矢野氏の意見だ。

YouTube や芸能、プロモーションビデオをダウンロードするには、Windows よりも wizpy のほうが便利だし、こういう便利なシーンが増えれば増えるほど、Windows から Linux への切り替えはたやすくなる。

しかし、ターボリナックスはハードウェアベンダーではないので、今後 wizpy に資金を投入することはないし、ハードウェアを作ることもない、と矢野氏は言う。

OEM で行くか、もしくはベンダーに OS を提供して、そのベンダーが新しい wizpy 製品を売り出すか、あるいは、ターボリナックスがハードウェアを購入して製品化するか、どれになるかわからないが、ともかく自らボードを設計して、デバイスを作っていくことは、もうしないそうだ。

パートナーと組んで、Turbolinux Client 2008 を wizpy 型で納めたものをデバイスとして販売するかもしれない。今後の wizpy に乞うご期待だ。

OSS 系 SI としてのターボリナックス

これから、ターボリナックスはどこに向かうのだろうか。

「方向性は基本的には変わらない。ひとつの柱は OS だ。Linux OS をデスクトップとサーバー、組み込み系で提供する。2つめは、コアの OS と密接に関連したサーバーソリューション。ここで製品の幅を広げていく」と矢野氏は語る。

これらのソリューションとしては、IP 電話ソリューション「Infinitalk」、シンクライアントソリューション、指紋認証システム、クラスタなどが入るだろう。

ターボリナックスにとってもサーバーソリューション分野は非常に重要だ。サーバー分野から同社の収益の大部分があがっており、ヘラクレスに上場した2006年9月でも、半々かそれ以上だった、という。現在でも、サーバー事業に依存する度合いは七三程度だそうだ。

「2009年にはさらにこれが進み、八二程度の割合になるのではないか」と矢野氏は語る。

さらに3つめの柱として、オープンソース系の SI がある。

SI 系が充実してきた、という矢野氏だが、これは、2006年に行った Zend Japan 買収によるシナジー効果だ。買収と同時に PHP スペシャリストの集団を獲得した。

PHP 開発が同社の SI 事業のかなりの部分を占めていることから、これは大きな買収効果だろう。

Java と異なり、PHP は、同じソースプログラムで PC クライアントも携帯クライアントも動くので、携帯オンラインゲームサイトの開発とか、管理系開発などの受託業務が増えてきている。

ところで、PHP は急性長期を経て、現在は安定期に入っているが、Java と違ってあまりにも習得が簡単で、使用用途もインターネット系のサーバーアプリケーションが多いせいか、問題が多い、と矢野氏は指摘する。

システムを構築する際に、セキュリティを考えた設計になっていない、あるいは将来のメンテナンスを考慮した設計になっていない場合が多く、後にトラブルの原因になりやすいそうだ。

同社は、PHP 専業会社を子会社に持つことで、SI 分野で強みを発揮していく。
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