![]() ![]() ![]() ![]() MeeGo は IT 業界を変える――Linux Foundation Jim Zemlin 氏にインタビューこの記事のURLhttp://japan.internet.com/linuxtoday/20100416/5.html
著者:山形直子
国内internet.com発の記事
米国 Apple はここ数年、携帯端末でめざましい動きを見せている。
まずは、iPod、それに続く iPhone、そして今年4月の iPad のリリースだ。出す端からことごとく IT 業界の話題をさらっており、一昔前のソニーを思わせる勢いだ。 一方では、Nokia と Intel が、それぞれ別個に開発していた Lunix ベースの携帯端末向け OS を「MeeGo」に統一(2月発表)、Linux Foundation のプロジェクトとなった。来る4月21日には、初めての MeeGo セミナーが東京で開催される。 このセミナーには、MeeGo に賛同する Wind River、Novell、ターボリナックス、ミラクル・リナックスなど、国内外の主要 Linux ディストリビュータ、および Intel および Nokia が参加するとあって、話題を呼んでいる。 そこで、MeeGo とはいったいどういうプロジェクトか、セミナー開催を前に来日した Linux Foundtion の Executive Director、Jim Zemlin 氏にインタビューを行った。インタビューには Linux Foundation ジャパンディレクタの福安徳晃氏も同席した。 ■MeeGo、Android、Symbian ――MeeGo は Intel の Moblin と Nokia の Maemo を融合させたものとのことだが、MeeGo の登場で Android の位置づけはどうなるか。 Jim Zemlin 氏(以下 Zemlin)――これまで Lunix Foundation では Android などをサポートしてきた。Android は携帯電話用のプラットフォームとして設計されているが、MeeGo は さらに幅広い規模の端末をカバーするものだ。タブレットやネットブック、テレビ、車載製品、モバイルハンドセットのプラットフォームとして利用できる設計になっている。 ――そうすると、Android は Nokia が今後オープンソースとしてリリースする Symbian と同じポジションにあると考えていいか。Nokia はローエンド端末向けの OS として、Symbian を残しておきたいそうだが。 Zemlin――Android はスマートフォン向けの OS だが、Symbian ではなく iPhone と競合するだろう。Symbian のアーキテクチャは android や iPhone より古いものだと思う。 さらに MeeGo の機能は Android や iPhone より洗練されたもので、どちらかというと、 iPad と競合するようになるだろう。 ――Intel と Nokia が Moblin と Maemo の2つの OS を統合して Linux Foundation に管理を委託した経緯は? Zemlin――それは、Intel と Nokia が真のオープンソースのプラットフォームを作りたかったからだ。MeeGo が真にフリーの OS となり、MeeGo を使って誰でも どんなデバイスでも作れるようにしたい、と Intel や Nokia が望んだからだと思う。 MeeGo に搭載されるソフトウェアはすべて、オープンソースソフトウェアのライセンスで開発され、開発プロセスは Web サイトやメールで公開される。プロジェクトにはどんな企業も参加できる。 Linux Foundation は世界中でただひとつ、そういうことができる場所だ。複数の企業が大きなプロジェクトに関して共同で作業できる。現在 Intel Nokia が支援する MeeGo プロジェクトも、Linux 同様、数年後には数百の企業が支援するプロジェクトになるだろう。 2000年の時点では、Linux を支援していたのは、IBM やHP、 Red Hat、それに小さな企業群だったが、今日は4,000もの企業が支援しているからだ。 ■MeeGo 対 iPad ――iPad と競争できる製品を、ハードウェアメーカーは MeeGo 搭載機器で作れるだろうか。 Zemlin――もちろんだ。 アイデアからそれを製品化して市場に投入するまで、通常は長い時間が必要だ。ハードウェアを設計し、それから搭載するソフトウェアを設計しなければならない。それからさらにまた、ソフトウェアのテスト期間も必要だ。 ところが MeeGo 搭載であれば、ソフトウェアの開発やテスト期間を短縮できるので、代わりに製品をもっと魅力的にする時間的余裕ができる。OS やソフトウェアの開発コストも削減できるので、これまでよりも低価格で製品を市場に投入できるのだ。 Apple が、MeeGo 製品の市場投入までの期間の短さ、価格の安さに対抗するのはかなり難しいだろう。 また、Meego はネット接続テレビ、Web カメラ、ビデオカンファレンスソフトウェア、車載など、さまざまな製品を作り出せる。Apple にはできないことだ。 ソニーを例にとって、少し補足説明したい。 ソニー製品には、ウオークマン、PC、テレビ、プレイステーション、デジタルビデオレコーダなど多数あり、ソニーはまた、80年代、90年代に非常に成功した企業だ。そのころは、ソニーのハードウェア自体が他社のものと異なっていた。 ところが、現在ではハードウェアは各市場ごとに専門化されており、ソフトウェアのみがメーカーごとの製品の差異を生み出せるものとなっている。 MeeGo では、Nokia などとたとえ Nokia と競合するメーカーであってもソフトウェア開発コストを共有できる。削減されたソフトウェア開発コストと時間は、製品をユニークなものにする他のソフトウェア開発に振り向けることができる。 ■業界を変えてしまう MeeGo ――MeeGo に対する国内ハードウェアベンダーの反応はどうだろうか。 福安徳晃氏(以下福安)――MeeGo プロジェクトはまだ立ち上がったばかりなので、はっきりしたことは言えないが…。 ただ、4月21日に東京で開催する MeeGo セミナーには、いわゆる日本の主要ハードウェアメーカーのほとんどが登録している。当初の募集は100名の予定だったが、1日で150名以上の応募があったので、急遽受け付ける参加者を増加した。最終的には300名くらいになるだろうか。(4月15日時点では、プレス関係者を除いた登録者数は340名程度とのことだ) ――年内に MeeGo 搭載製品がリリースされるか。 Zemlin――年内に1社、あるいは複数メーカーから製品がワールドワイドの市場に向け、リリースされるだろう。名前は言えないが世界市場を持つ携帯電話メーカーから出るはずだ。 MeeGo についてひとつ言えるのは、MeeGo 製品の登場によって、クライアントコンピューティング業界はまったく変わってしまう、ということだ。 20年間、人々は Microsoft の Windows によりコンピュータを使ってきた。現在人々は、携帯電話、ネット接続テレビ、車載機器、デジタルフレーム、などさまざまな機器からインターネットに接続できるようになった。 今後2年以内に、まったく新しい方法でインターネットに接続できるようになると思うが、しかしそれは Windows を使ってではない、と思う。なぜなら、Windows は車載機器やデジタルフレーム向けのプラットフォームとしては、アーキテクシャやライセンス形態なども含めて適切ではないだろう。 ところが、MeeGo は OS 以上のものだ。たった1社ではなく複数の企業が開発するので、それを搭載する製品はより速くインターネットに接続でき、価格もより安くなるだろう。MeeGo 製品は単なるメールクライアント機、携帯電話、テレビ、デジタルフレームをはるかに超えたものになるだろう。 そうなると、IT 業界は古めかしい PC モデルを離れ、こぞって新しいモデルに移動するだろう。 福安――今回われわれが開催する MeeGo セミナーは、世界で初めてのものだ。そういう意味でも話題になる。 MeeGo のバージョン1はまだ出ていない。5月初めころだと言われている。2月15日、スペインバルセロナでのカンファレンスで発表されて以来、MeeGo に関するいろんな情報が出ているが、日本国内では、MeeGo とはいったい何か、MeeGo で何ができるのか、まだよく理解されていないと思う。 今回のセミナーでは、そういったことをしっかりと伝えたいと思う。 以前は、マーケティングというと、いかに競合他社に勝つか、というものだった。しかし、最近少しこれが変化してきたのではないか。いかに自社の周囲にエコシステムを形成するか、いかに自社製品をプラットフォーム化するか、それが、ある意味最近のマーケティングの傾向ではないか、と思う。 それが今後 MeeGo が提供していくものだ。
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