オープンソースコマースの光と影:パート2の2矛盾した市場
情報技術業界全体において圧倒的なシェアを持つ技術製品サプライヤーは、 Microsoft だ。 Microsoft はインストール済みサーバー市場の約60%のマーケットシェアを持ち、 デスクトップ OS 市場では約90%のシェアを持つ。 しかも、これより高い数値を示す分野もある。 Microsoft の業務用サーバー技術の中心となっているのが、 Microsoft Active Directory と呼ばれる、 分散ネットワークディレクトリサービスだ。 ネットワークディレクトリサービスを重視しているところと、 実際にこれを必要とするサイトの数を比較すると、 市場全体のニーズに対して、 この技術への偏重が過剰ではないかとの疑問が湧く。 つまり、ディレクトリサービスが必要と思われる顧客が全体の0.18%であるのに対し、 Microsoft のサーバー技術は100%この使用を前提にしている。 なぜなのか? 技術者は新しい技術にすぐに胸躍らせ、 それが複雑であるほど高い関心を示し、混乱も拡大する。 IT 業界は不要な複雑性により、 あえて脱線しているのだろうか? Linux は市場の99.8%のニーズを満たすのに、 ディレクトリサービスを必要としない。 それなのに、 なぜ Microsoft Windows にはこれが必要なのだろう? 本題からはずれた疑問だが、極めて重要な疑問には変わらない。 表1を見ると 顧客全体の0.18%(500人以上の従業員がいる企業の割合)が、 販売されるサーバーの7.67%を占めている。 ここから、エンタープライズ市場の競争が激しいことは理解できる。 しかし、それが、 この市場セグメントから Linux ベンダー各社をここまで排除する理由にはならない。 IT 業界のニーズの大半は、シンプルで、 複雑でない IT ソリューションによって対応できる。 立派な城を建てる前に、まずは土台が必要ではないだろうか? 業界は、Linux がエンタープライズ対応を果たすには、 その前にハイエンドサーバー市場を独占するという試練を受ける必要がある、 という考えでいっぱいだ。 Linux がエンタープライズ(ユーザー500人以上の大企業)市場で成熟すれば、 自動的に市場全体にも対応できるという論理だ。 これは、小規模サイトにはエンタープライズ市場ほど複雑なニーズがない、 という事実を明らかに無視している。 エンタープライズ、つまり大企業クラスの企業は世界に約5万社ある。 これらのうちの多くには複雑な情報技術ニーズがあるが、 そのようなところがすべてではない。 成功した IT 企業に関する IT 系の報道を信じるならば、 すべての市場セグメントにおける主要 IT ベンダー各社の開発目的は、 大企業の複雑なニーズによって決まるという。 もちろん実際には、 IBM や HP などの企業が具体的な市場セグメントのニーズに合わせて、 慎重にデザインした製品を作っている。 たとえば、HP の OfficeJet 複合機製品ラインアップはその証しだ。 1998年から2000年にかけて、 Red Hat Software、 SuSE、Caldera、Novell、TurboLinux、LinuxCare などの各社は、 どこもがエンタープライズ市場での信頼性獲得に重点を置いていた。 どの主要 IT 企業も同じ所に主眼を置いている、というのが悲しいかな現実だ。 IBM、HP、Dell、Intel、AMD、そして Gateway は、 利益の大きいビジネスの大半が、 中小規模の法人(SMB)や中小規模の企業(SME)のローエンド市場から得られるものであることを十分承知している。 大きな利益を得られるのがエンタープライズ市場だけであれば、 競争の集中を予想できるはずだ。 現在の大失態についてもう少し理解を深めるには、 おそらく、いくつかの要因を考慮する必要があるかもしれない。 もしかしたら、 われわれがまだ最も利益の大きい市場に参入していないことが分かるかもしれない。 次へ スリングショット効果 »
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