オープンソースコマースの光と影:パート4の1競合情勢
このシリーズでは、 成長を続ける巨大な IT 市場の存在を例証してきた。 Linux のビジネスチャンスは、その大半が SMB/SME 市場にあることは明らかだ。 現在、Linux ベンダーはこの市場に十分対応できていない。 これまで(パート1、 パート2、 パート3)は市場全体の特性について説明してきたが、 シリーズの最後となる今回は、 競合情勢について簡単に説明し、 成功の法則を理解する企業にとって、 今こそ極めて利益の大きい Linux ビジネスを展開するチャンスだ、 という結論を出したい。 真剣にマーケットシェアを拡大したいと考えている企業は、 すばやく製品が受け入れられ、スケールメリットがあり、再購入サイクルが短く、 多様な販売チャネルがあり、 既存の競合各社から報復措置があっても適切に対応できる防御策のある市場を選択する。 世界には、5万の国際企業のほか、3,000万社以上の SMB/SME がある。 既存のライバルは小規模の機動力を生かし、 この5万社の顧客サイトで自己防衛ができる。 だが、世界最大級の企業でも、 長期にわたって大規模な顧客ベースで応酬できる余裕はない。 Microsoft の顧客が、 購入した製品に満足していない可能性はあるだろうか? ウイルス、ワーム、スパムが、 定評のある MS Windows ベース製品市場に被害を与えている可能性がある。 もしそうであるなら、Microsoft は、 顧客を縛り付け、 長期のソフトウェアサービス契約で身動きがとれないようにする製品を出すための時間との戦いを余儀なくされる。 さらに、Microsoft が Linux に過剰反応しすぎているのも確かかもしれない。 一方で、エンタープライズ市場での Linux への逆襲の試みが、 Microsoft がその大半の利益を稼ぎ出す SMB/SME 市場での時間稼ぎのための計画にすぎない可能性もある。 もしこれが本当であるなら、 Linux に対抗して同社が展開する「Get the Facts」戦略には、 Linux ベンダー各社が大企業以外の市場の存在に気付く前に、 自社のビジネスを定着させるための土台作りをカムフラージュする目的があることになる。 Microsoft は SMB/SME 市場ほどの地位をエンタープライズ市場では築いていない。 エンタープライズ市場は UNIX ベンダー各社が得意とする分野だ。 エンタープライズ市場における Microsoft の足場は、 大企業の IT スタッフの技術力によって徐々にむしばまれている。 一方の SMB 市場には、オンサイトの専門知識が全く、もしくはわずかしかない。 これらのサイトでは、情報システムの運用に必要な技術サポートの提供を、 外部の請負業者と付加価値販売代理店(VAR)に頼っている。 従来の Windows VAR は、 これまでの技術コンサルタントと同レベルでは Linux に取り組んでいない。 Novell は、2年前から自社のルーツを再発見し始めている。 Novell は、 1980年代後半から1990年代前半にかけ、 NetWare ファイル/プリントサービス製品関連で、 販売代理店とサポートの強力なネットワークを構築して有名になった。 Novell は定期的にパートナーと話し合い、 VAR 各社にサービスビジネスの構築/管理方法を伝えた。 この戦略が何年もの間成功してきたのだ。 しかし、NetWare 4.0 がリリースされると、 Novell は一からの再トレーニングと再認定を要求し、 献身的になっていた VAR チャネルを搾取する判断を下してきた。 同社はそれと同時に、 NetWare をプレインストールしたサーバーを販売できるよう、 主要ハードウェアベンダー各社と直販契約も結び始めた。 Novell は、 自社のビジネス確立を支援したチャネル VA と突然競合するようになった。 この競争(というより、正確にはチャネルとの衝突)では、大きな犠牲が出た。 ハードウェアベンダー各社が、 ネットワークインストレーション/管理の専門サービスを提供すべく、 サポート契約の獲得に取り乗りだしたため、 VAR 各社はサポート関連の大きな収益を失ってしまったのだ。 この措置に対し、多くの NetWare VAR は強い不満を抱いた。 しかも、Microsoft Windows NT4 が市場で勢いに乗り始める時期でもあり、 Novell にとってはタイミングが悪かった。 Microsoft はこのチャンスを見逃さず、 Novell がチャネルとの衝突によって作ってしまった突破口を切り開いていった。 ただ、Microsoft もほどなく、 同じような形で VAR チャネルを不当に扱うようになった。 彼らもトレーニングや認定で利益を得ようともくろみ、 先の Novell と同じようなチャネルとの衝突を引き起こした。 チャネルとの衝突が引き起こす結果を示すもう1つの例が、 昔の Santa Cruz Operation (SCO)にもある。 同社も Novell と同じように、 トレーニング/再販 VAR にとって不利益な要求をチャネルに出し、 予想通りの結果を招いた。 事実上、SCO では自社のビジネスが台無しになったが、 同社はその責任を Linux に転嫁した。 自分たちが当初からの成長を助けた企業に受けた仕打ちを考えれば、 SCO の VAR 各社が Linux に積極的に取り組んでいるのは不思議ではない。 SCO は、UNIXWare 2 を代理店向けに発表した際、 正規 VAR でいるためにはトレーニングを最初から受け直し、 再認定を受けるよう VAR に勧告した。 販売代理店らに強制するこの手法は、 前述の各社固有のことではなく、業界ではあまりにも有名なものなのだ。 次へ 流通経路 »
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