網の目の構築が災害時にはものを言う! 我が国において「インターネット」という単語が認知されたのはいつであったか、覚えているだろう か?
93年に米国で商用化がスタートし、 我が国においても一部の先進的な企業が社員への電子メールアドレスの配布とホームページを活用し た情報発信が始まったのが94年頃であった。 この時点では、プロバイダの数も少なく(もちろんアクセスポイントも大都市のみ)、パソコンの設 定も複雑で、現在のような一般市民がインターネットを手軽に利用できる状況とは程遠いものであっ た。 しかし、95年1月17日に発生した阪神淡路大震災の後から、局面は急展開する。日本を代表する国際都市:神戸の状況が、震災発生から半日経っても誰も判らない。通信網は寸断され、生き残った通信回線は安否確認の問い合わせが集中し、パンク状態。政府の対応も、状況が判らなければ意思決定のしようがない。 世界有数の技術大国:日本の情報システムのもろさを自他共に認識し、この情報システムのもろさが 戦後最大級の被害に繋がったことは疑う余地は無いだろう。ところが、この時被災地で最も活躍した ネットワークが、ボランティアの方々が利用した「インターネット」であった。 自宅の電話・公衆電話・携帯電話、とにかくネットワーク接続環境を確保すれば、テキストレベルで はあるが安否情報を送受信できる。音声通信のようなリアルタイム通信ではなく、かつメールの通信 内容は受信側のサーバに蓄積されるので、回線へのアクセスを分散できる。 さらに、全世界共通フォーマットであるため、海外から・災害時のアクセスに対応できる。本当のと ころ、当時のインターネットの技術レベルでどの位の効果があったかについては意見が分かれるとこ ろであるが、インターネットの可能性を全国民に擦り込むには充分すぎる事件であった。 その後のインターネットの浸透については言うまでもないが、ここまでインターネットが社会に浸透 した今だからこそ、日本のインターネットの原点に立ち返り、インターネットを活用した災害発生時 の総合情報提供システムの確立を、各自治体にお願いしたい。 天災発生時に必ず問題となるのが、外部との通信遮断により発生する「噂」の害である。天災が発生 し、不安な状況下で正しい情報が得られないとなると、つい口に出してしまった憶測が拡大し、大き な人災に繋がることは関東大震災で経験済みである。 この際に、家族の安否を確認できる(テキストレベルで充分)だけで、被災者に安堵感を与え、噂に よるパニックを防止することができる。 東京都が導入を検討している安否確認のシステムは、インターフェースの機能面で見れば、ID認証機 能と現在の状況確認機能のみであり、極めてシンプルかつローコストに実現できるものである。 阪神大震災当時(95年)から比較すれば、インターネット関連の技術・市場が比べ物にならない程成 熟した現在、サーバ・通信回線・ソフトウェアは、ますます高機能化・低価格化が進行する。 そこで、公立学校や庁舎等の公共施設にサーバを設置し、リスク回避のために安否データを分散・バ ックアップさせるような、震災に強い「分散型システム」として構築してもらいたい。さらに、デフ ァクト・スタンダードであるインターネットを活用したシステムであれば、1自治体だけでなく、隣 接する自治体や遠く離れた自治体の同様のシステムと、データ分散・バックアップの連携を取ること も可能となる。 民間企業と異なり、行政機関は地域の中に、あまねく何らかの施設を有して住民に公共サービスを提 供している。最近では、これら既存施設の有効活用を目指し、小中学校の夜間解放なども広く行われ るようになった。どの自治体も財政が逼迫していることは想像に難くないが、住民の安全はどの公共 事業・公共サービスより優先されるべきものである。 国も、無駄な公共事業の削減とITをはじめとする重点7分野への投資を掲げている。21世紀最初の 予算案の中で「既存施設の有効活用」「ローコスト・高効果」「住民の安全確保」をキーワードとし た、分散型安否確認システム構築を是非検討していただきたい。
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