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インターネットは日本の寄付文化を変えるか

NPO(Non Profit Organization、民間非営利組織) やボランティア団体を支援するために寄付をしたことがありますか? NHK等では歳末助け合いや義援金を募集するお知らせを流していますが、 「少しでも寄付をしようかな」と思っても、郵便局や銀行に振込みに行かなくてはならないので、 いつのまにか機会を逸してしまったりします。

また、毎年恒例の共同募金のシーズンになると、駅や商店街で子ども達が 「赤い羽根の共同募金にご協力をお願いしま〜す!」と声をはりあげている前を素通りできずに、 善意なのか世間体を取繕うためなのか動機が不明なままに、幾ばくかのお金を募金箱に入れたりします。 でも、そのときに、「自分の寄付したお金は結局ちゃんと使われているのだろうか?」とか 「自分が気に入った団体に寄付するんなら、もう少し出してもいいのにな」、 などと思ったりすることはないでしょうか。このように考えていくと、日本では、まだまだ、 社会貢献している団体に、手軽に寄付をするといった環境にないことがわかります。

しかし、最近では、ITを活用して、これまでの寄付の方法を変えていこうとする動きがあります。 インターネットを通じて小口の寄付をすることができるサイトが出始めているのです。

NPO応援ポータルサイトのGambaNPO.netでは、 サイトの運営者が寄付先として安心であると判断したNPOが行っているプロジェクトが紹介されています。 寄付をしたい人は、プロジェクトや実施団体についての情報を得ることができ、 1口1,000円からの小口寄付をオンラインですることができます。資金決済は、 VISA等のクレジットカードを使う方法と、ジャパンネット銀行の口座からネット振込みをする方法が利用できます。

寄付者は、このサイトに自分の寄付履歴を登録することができ、ネットショッピングをするような感覚で、 お気に入りの団体への支援を行うことができます。もちろん、 寄付したプロジェクトの経過や事後報告をWebページや電子メールで知ることができるという、 インターネットならではのアフターフォローがあります。

また、あたかも、お気に入りの役者をひいきにするような感覚でNPOへの支援ができる「投げ銭システム」 も稼動しています。市民コンピュータコミュニケーション研究会が窓口になっている「 ViVa!」というボランティア情報サイトでは、 気に入った団体に、100円、500円、1,000円という単位でカンパができます。 「拍手ボタン」や「掛け声ボタン」も用意されていて、お金だけでなく、 声援を送ることができるという遊び心が工夫されています。投げ銭の資金決済は、 大手プロバイダーのBIGLOBEのものを利用しており、会員であれば寄付金は会費と一緒に決済されます。 非会員はクレジットカードで決済することができます。

GambaNPO.net の運営者であるアースセクター株式会社(東京都渋谷区)では、 インターネットで書籍を購入すると、その書籍代金の1%がNPOへ寄付されるというサービスも提供しています。GambaNPO.net のサイトに、日販アイ・ピーエス株式会社の運営する書籍販売支援サイト boople と提携して、 チャリティブックストアをオープンしています。

このように寄付の手法にインターネットを活用するということには、大きく2つの意味があります。 一つは、寄付者に対して、寄付に必要な情報がわかりやすい形で提供できることです。 寄付に必要な情報とは、寄付先としてどのような団体がいいのか(どこの団体だったら、 寄付したお金を有効に使ってくれるのか)、その団体はどんな活動をしているのか、 寄付金はどのように使われているのかということです。

人が社会貢献意識を高める→どこかの団体に寄付をする(寄付をし続ける)という行為に至るには、 必要な情報がしっかりと提供されているという環境が重要です。もう一つは、 寄付者の都合を優先できる手軽さがあるということです。郵便局や銀行まで出かけて振り込み手続きをしたり、 現金を郵送したりする手間がなく、 時間のあるときにいつでも、どこの団体がいいかをじっくり比較して納得したうえで寄付をすることができます。

NPOへの寄付が盛んなアメリカでは、NPOが自分のホームページに営利企業のチャリティモールをつくって 売上の一定割合を寄付として受け取る、ドネーション・ポータルのサイトでクレジットカードを使って寄付をする、NPOが自前のホームページでクレジットカードによる寄付を受け取るといった手法が既に行われています。 アメリカにおいても、個人の寄付金のうちインターネットを経由した寄付金の割合は0.1% (約2億ドル、1998年)とまだまだ低いのですが、今後は、 インターネット利用に抵抗のない層が増えていくことによって、 この割合が増加していくことが見込まれています。

わが国でもNPOへの社会的な支援の必要性が言われていますが、 NPOが最も大きな課題としている資金不足への解決策の一つとして、 ITの活用が大きなヒントとなるのかもしれません。




矢ケ崎 紀子(やがさき のりこ)

株式会社 日本総合研究所 研究事業本部
新社会創造クラスター 主任研究員

専門分野: NPO・市民活動、福祉など
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