自治体への統合型 GIS 導入について■「三重県における GIS への取り組みと今後の展望」
続いて、三重県地域振興部情報政策チーム主事 小林哲也氏より、三重県の GIS 導入に関するプレゼンテーションが行われた。 小林氏によると、三重県では、市町村、地元企業、地元大学などと連携をはかり、「GIS マスタープラン」を粛々と実行している段階だという。この「GIS マスタープラン」は、GIS のビジョン、目的、計画を示したもので、三重県の GIS 整備・推進のシナリオとなっているもの。 小林氏は、このマスタープランの作成過程での成果として、下記のような空間コンテンツ流通マトリックス(Excel ファイル)を紹介した。このマトリックスを作成したことで、(1)流通やニーズの多い空間コンテンツの抽出、(2)どの課のどのような業務がどのような空間コンテンツを使っているかの特定、(3)GIS導入前と導入後での空間コンテンツ利用の変化の測定、といったことが簡単に出来るようになったという。 また、実際、このマトリックスの中で「●」印の多い、ニーズが高いとされている地図に関しては、優先的に GIS 化するなどの措置が取られているという。
三重県では、以上のようなマスタープランに基づき、クリック程度の簡単な操作で、様々な三重県の空間情報を得ることが出来る「Mie Click Maps (ミエクリックマップス)」を開発し、庁内のイントラネットで共有するとともに、一部をインターネット版の「Mie Click Maps (ミエクリックマップス)」にミラーリングし、一般市民に公開している。そのインターネット版で一般に公開されている行政コンテンツは、観光情報(施設、レジャー・スポーツ、温泉情報など)、公園、病院、文化財、避難場所、主要渋滞ポイントなど、70ジャンル、13000件以上に上っているという。
小林氏は、このような地図をキーとした行政情報の活用に関し、「過去の情報、現在の情報、未来の情報を地図の上に載せることによって、行政業務は変わらざるを得ず、GIS は行政改革のツールそのものであり、それを三重県は市民にオープンにしている」と語った。 さらに、今後の三重県のGIS活用に関しては、以下のような構想を明らかにした。
■「浦安市における GIS の推進経過と課題」
最後に、浦安市経営企画部情報政策課副主査の醍醐恵二氏より、千葉県浦安市における共用空間データベースの整備と活用に関する説明が行われた。 浦安市では、従来、固定資産用の GIS、都市計画の GIS、道路管理の GIS を個々に整備してきたが、それらを一本化して、共用空間データベース「e-まっぷ」として整備することにより、二重・三重の投資がいらなくなったという。 また、市民に「e-まっぷ」を公開することにより、様々な活用例が生まれている。例えば、浦安市内の小中学生が「e-まっぷ」を活用して、駅前の放置自転車の調査を行ったり、市内のバリアフリーマップを作成したりと、行政と学校の連携によるデータ整備が実現したり、生徒達のまちづくりに対する意識向上につながったという。 さらに、浦安市は総務省の実証実験として、「e-まっぷ・ひろば(地図付き電子会議室)」を開設したところ、浦安市に寄せられる市民からの要望や苦情、意見に変化が見られるようになったという。 例えば、地図を用いて説明する場合、場所を言葉で説明する必要が無いため、「●●町▲▲丁目■■番地…」という表現が、「ここ」、あるいは、「この場所」という表現に変化したり、また、市民はある一つの地点だけを見るのではなく、地図情報を参照し、ある一定のエリアを想像できるようになったため、「この場所は道路整備が良くないが、南側のこの部分はよく整備されている。なぜ、こういう風に整備できないのか?」といった、より建設的な意見が市民から出されるようになったという。
醍醐氏は、「地図だけを提供するのではなく、関連する属性データを同時にたくさん掲載する必要がある。もともと役所はたくさんデータを持っているが、なかなか出さないため、市民は街のことがよくわからない。市民が街の状況をよく理解し、話すことによって、今までケンカになっていたことも、そうでなくなる可能性もある」と語った。 また、醍醐氏は、その一例として、「家の前が一方通行となっており、すぐ右に出れば大通りに出られるのに、一方通行のため、左に曲がって大回りしなくてはならない。一方通行を解除して欲しい」といった要望に対し、「昔からそうなっていたから仕方がない」というような回答ではなく、「その道路は昔、堰(せき)となっていたのを埋めて作ったため、陥没の恐れがあり、一方通行で車の重量制限をしている」といった情報を事前に GIS 上に載せておくことにより、そのようなケンカが回避できることを紹介した。 浦安市の今後の GIS 展開に関しては、共用空間データベース「e-まっぷ」を地域に還元し、地域活性化のためのツールとして活用してもらうことが予定されている。具体的には、以下のような4つのサービスが考えられている。
浦安市では、情報の改ざん、プライバシーの保護などといったセキュリティに留意しつつ、共用空間データベースを地域と行政のプラットフォームとして相互利用していきたいというビジョンを掲げている。
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