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『日経パソコン』編集長
渡辺洋之氏
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アクセシビリティの確保
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大和市企画部情報政策課
小林隆氏
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個人が「国家」や「市場」に、財やサービスを得るためにお金を払っているのにもかかわらず、「国家」と「市場」は「個人」に対して十分な対価を提供できなくなってきている。(クリックで別ウインドウで拡大)
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| 「国家」や「市場」にのみ頼るのではなく、「地域」の中で、「個人」同士が相互に助け合うモデルを、地域電子会議室や電子地域通貨「LOVES」などの情報技術システムを通じて、大和市は実現しようと試みている。(クリックで別ウインドウで拡大) |
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「大和市市民ICカード」の年齢別申請率。若年層、中年層よりも、60歳代から80歳代にいたるまでの高齢者層の申請率が高くなっている。(クリックで別ウインドウで拡大)
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| 行政だけが財・サービスを提供するのではなく、市民もそれらを提供するのが、電子自治体のあるべき姿と提言している。(クリックで別ウインドウで拡大) |
アジア最大規模のデジタル総合展 WPC EXPO 2002 と併催された、WPC FORUM 2002「電子自治体構築ソリューション会議」が、10月18日、東京ビックサイトで開催された。
「e都市ランキング」を毎年発表している『日経パソコン』編集長・渡辺洋之氏、慶應義塾大学環境情報学部長・熊坂賢次氏に加え、神奈川県大和市企画部情報政策課・小林隆氏や千葉県市川市企画部情報システム課参事・井堀幹夫氏といった先進自治体の情報政策担当者が講演を行った。
以下では、この中から、渡辺氏の講演概要と、神奈川県大和市の小林氏の講演概要を紹介する。
■ 「e都市ランキング2002」と自治体情報化のポイント
『日経パソコン』編集長 渡辺洋之氏
渡辺氏は、冒頭、「e都市ランキング」の概要、算出方法などを説明した後、2002年度の同ランキングの傾向に言及した。
「都市別ランキング」では、特に地域や人口規模などによる傾向はないが、「都道府県別ランキング」では、ランキング下位に、福岡県を除いた九州の各県が軒並みランクインしており、「割と、九州では県同士ライバル意識があって、それゆえ進んでいると思ったら、こと情報化に関しては、競争原理が働かなくて、残念ながら下の方にとどまっている」と指摘した。
さらに、渡辺氏は、自治体の情報化では、ウエブサイトのアクセシビリティ改善とメール対応のルール化が重要なポイントであると述べた。例えば、視覚障害者の場合、画像に代替テキストがないと、読み上げソフトで内容を把握できない。また、PDFが濫用されがちであるが、「(役所の書類を)なんでもかんでもPDFにすると、読み上げソフトが対応できない」と述べ、詳細資料をPDFで提供する場合でも、その概要は、テキストで提供するといった工夫が必要なことを指摘した。
また、市民からの問い合わせメールの増加に対し、「公文書として処理すべきか、電話として処理すべきか?」あるいは「届いた質問は全部回答すべきか?」といった迷いが現場担当者の間で発生しており、メール対応のルール化が迫られていると指摘した。
メール対応のルール化に関し、渡辺氏は、大和市、藤沢市、市川市の例を挙げ、例えば、大和市では、「庁内合意内容であれば自由に答えて良いという規則を設け、該当するかどうかは担当者が判断」し、藤沢市では、「返事が欲しいメールには必ず住所、氏名を明記という規則を設け、該当するメールにのみ回答義務を負う」ようにし、さらに、市川市では、「原則的に公文書として処理し、最長でも5日以内に回答という規則を設け、電子決済で素早く処理」していることを紹介した。
■ 新しい電子自治体像の構築 「市民=顧客」発想からの脱却-神奈川県大和市-
大和市企画部情報政策課 小林隆氏
続いて、小林氏から、市民参加を重視した電子自治体の構築に関し講演が行われた。
冒頭、小林氏は、ビジネスの世界で採用されているITによる業務効率化・顧客管理の改善モデルを、そのまま地域行政に持ち込むことに関し、以下のような疑問を述べた。
「市民というのは背広を着ていらっしゃらない人達なんですね。たぶん、みなさん、電子自治体というと、つい数年前まで、あるいは、今でもそうかもしれませんが、企業コミュニティーの概念でドーッと走ってくる。今、BPR(Business
Process Reengineering、業務改革)なんていうのをやってますよね。経営方法をそのまま、自治体にもちこんでこようと。すぐに、市民=顧客だと言うんですね。顧客だということで、市民のみなさんは、サービスのコンシューマーだというんですね。本当にそうなんでしょうか?
行政がサービスを出し、市民はお上から流れてくるサービスを受けてやり、行政はCRMをやって、行政のおまえ達が改善しろ。これ、行政と市民が、全然別々なんですよね。そういうモデルを、特に経営コンサルタントの方なんかは、行政の経営改善のためにやっている。本当にそれで大丈夫なんでしょうか?ビジネスの顧客じゃないんですから、地域の人達が期待しているのは、実はそんなことじゃない。確かに、行政の効率化も期待されていますが、それが全てではない。
市民というのは、単なる財・サービスのコンシューマーではないと思うんです。どういうことかというと、市民のみなさんも、財・サービスの提供者ではないかと思うんです。企業コミュニティーの中にいると、上からの命令系統絶対で、会社の中の製品をいっぱい売るぞーというコミュニティーにいる訳ですよね。みなさんの奥さんどうでしょう?毎日毎日、子育てのルーティンワークの中で暮らしていらっしゃって、地域の中に困った人がいると助けて、別に何にもそこでビジネスないんですよ。そういう社会が地域社会ではないんでしょうかね。そこで展開するサービスに対して、ビジネスモデルを適用して、それで全て正しいというのは、どうもいいのかなって感じがしちゃうんですよね。」
小林氏は、ここ数十年、個人が国のサービスあるいは民間のサービスに頼っていれば、地域に目を向けなくても生活できるという考えが存在していたことを指摘した上で、最近では、個人の所得が減少する一方で、国や民間のサービスの縮小、あるいは、それらサービスへの対価の上昇といった傾向があり、そういった考えも通用しなくなってきたと述べた。
小林氏は、そういった国家と市場という二元論の社会ではなく、地域の中でもっと地域のやりとりが出来る、国、市場、地域といった三元論の社会を大和市で構築しようとしたという。そして、既に、ぐちゃぐちゃに壊れた地域のつながりの回復・強化のためのツールとしてITを利用したと述べた。
具体的には、市民の行政に対する声に耳を傾けるため、ウエブ上で地域電子会議システムを構築・運用したり、地域活性化のため、電子地域通貨サービス「LOVES(ラブス)」を導入し、それを誰もが利用できるよう、「大和市市民ICカード」を希望者に発行しているという。
小林氏は、この電子会議システムにおいても、また、市民ICカードの申請者においても、一般のインターネット利用者の年齢別分布とは異なり、中高齢者の利用率や申請率が最も高い結果となったことを指摘し、「地域社会の人達を馬鹿にしてはいけない。お年寄り達は、本当に真剣にITに取り組むんですよ。女性もそうです」と述べ、地域には、高齢者を主体とした公共的な仕事を積極的にやろうとする人達がたくさんいて、「市民=顧客」ではなく、市民が立派なサービス提供主体になりうることを強調した。
そして、「電子自治体は、e-government 政策だけではなく、e-community 政策も必要であり、行政だけでサービスをやる時代は終わり、これからは、市民の方と協調して、サービスを一緒に生産していくというのが地域社会のあり方であり、そのためのツールを提供するのが電子自治体のありようである」と述べ、講演を締めくくった。
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