米下院は、先週、「国境警備強化・ビザ入国改正法案(Enhanced Border
Security and Visa Entry Reform Act of 2001)」を可決した。この法案は、2003年10月までに、日本を含むビザ免除プログラム加盟国に対し、バイオメトリクス認証が可能なパスポートの発行を求めている。
この法案は、これまで数々の問題を指摘されながら、9月にテロ事件が発生するまで放置されてきた米国の出入国管理システムの改善を目的としている。テロ事件の犯人グループの中に、学生ビザで入国したにもかかわらず、実際には学校に在籍せず、不当に米国に滞在していた者がいたことから、潜在的危険人物を入国前、または入国後に割り出すため、ITを駆使した出入国管理を求める声が、テロ事件直後から議員の間で高まっていた。(関連記事)
この法案では、国境警備強化のための技術開発、さらに、入国審査や通関手続きの効率化などに、1億5000万ドルを充当することが明記されている。
この法案の主な内容は以下の通り。
■ 留学生追跡システムの強化
米教育機関による外国人の入学許可、外国人留学生に対するビザの発行、外国人留学生の入国許可、米教育機関に対する外国人留学生入国許可の通知状況、米教育機関における外国人留学生の在籍状況を追跡する。
■ 捜査当局と移民帰化局(INS)との間での外国人入国者に関するデータ交換
- FBI や CIA などの捜査当局のデータベースに、移民帰化局の担当官、ビザを発給する領事館員、連邦捜査官がアクセスできるようにする。
- 移民帰化局は、外国人入国者に関するデータベース、データシステムを統合し、捜査当局のデータベースと相互運用できるようにする。また、これら相互運用が可能なデータベースは、様々な国の名前に対応した、高度な人名検索機能を備える。
■ 入出国書類の改善
- 国務省は外国人入国者に対し、バイオメトリクス認証を用い、偽造防止処置を施した、機械読み取り方式のビザや他の渡航書類を発行する。この改善策は、2003年10月26日までに実施する。
- ビザ免除プログラム加盟国から米国に入国する外国人は、上記の機能を持ったパスポートを所持していない場合、入国が出来ない。(ただし、2003年10月26日以後に発行されたパスポートに関してのみ適用)
- 移民帰化局は、全ての入国管理所で、バイオメトリクス認証対応の書類を読みとるためのスキャナーを設置する。また、これら書類から得られる出入国データを含んだ、統合出入国データシステムを移民帰化局は導入する。
■ テロ支援国家の国民に対し、その人物の安全が確認されない限り、短期ビザを発給しない。
■ 移民帰化局の調査員を増員する。また、移民帰化局職員の給与や教育を改善し、米国の在外公館の領事部を増強する。
この法案の下院通過に関し、下院司法委員会委員長の F. James Sensenbrenner 氏は、「9月11日のテロリスト攻撃は、我々の入国システムが、米国民に危害を加えようとする外国人らの悪用に対し、いかに脆弱であるかを明らかにした。この法案は、我々の入国管理法に必要な変更を行うものであり、新しいバイオメトリクスビザの導入を求め、また、外国人留学生の追跡システムを強化するものである。このような努力こそが、テロリズムと戦う上で、また、入国管理法の悪用を防ぐ上で、真にインパクトのあるものだと言える」と語っている。
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