公正取引委員会は、20日、ソフトウェアの取引に関する独占禁止法上の考え方をまとめた中間報告書を公表した。
公取委は、これまで、学識経験者、および、実務家からなる「ソフトウェアと独占禁止法に関する研究会」を開催してきたが、今回、研究会での検討結果を中間報告書としてまとめ、公開に踏み切った。公取委は、今後、この中間報告書を独禁法の運用において積極的に活用していくと共に、中間報告書で検討されている事項に関し、関係各方面から意見を求めていく。
この中間報告書では、プラットフォームソフト(基本ソフト、あるいは、OS)の技術情報の提供に関する制限と、ソフトウェアライセンス契約における制限といった、2つの種類の制限に関する独禁法上の考え方が示されており、以下の行為は、独禁法上、問題があるものとして今回明確化された。
■ プラットフォームソフト(基本ソフト、あるいは、OS)の技術情報の提供に関する制限
- 技術情報の提供に関する差別的取り扱い・取引拒絶
基本ソフトのメーカーが、競合する他社の基本ソフトに対応した製品を供給しているハードメーカーやアプリケーションソフトのメーカー、さらには、自らが提供するアプリケーションソフトと競合する製品を供給しているアプリケーションソフトのメーカーに対して、技術情報を提供する時期を遅らせるなど差別的取扱いしたり、技術情報を提供しないこと。
- 新機能の追加(機能的抱き合わせ)の際の技術情報の提供の拒絶
基本ソフトのメーカーが、バージョンアップ等により、既存の基本ソフトに新機能を追加した場合において、競合するアプリケーションソフトのメーカーが、当該新機能と競合するアプリケーションソフトを提供するためには、当該基本ソフトメーカーから技術情報の提供を受けることが必要であるにもかかわらず、他のアプリケーションソフトのメーカーに対して、当該技術情報を提供しない、又は、提供の時期を遅らせること。
- ハードメーカーやアプリケーションソフトのメーカーが独自に開発した技術の不当な集積
基本ソフトのメーカーが、ハードウェアやアプリケーションソフトのメーカーに対して技術情報を提供し、ハードウェアやアプリケーションソフトのメーカーが当該基本ソフトに対応した製品の開発の際に得た技術情報について、基本ソフトのメーカーにフィードバックさせるだけでなく、ハードメーカーやアプリケーションソフトのメーカーが独自に開発した技術に関する権利・ノウハウを当該基本ソフトのメーカーに帰属させるよう義務付けたり、競合する基本ソフトに対応した製品の開発に利用することを禁止すること。
- 秘密保持義務の不当な拡張
基本ソフトのメーカーが、ハードメーカーやアプリケーションソフトのメーカーに対して、自社の基本ソフトに対応した製品を開発するために必要な技術情報を提供する際、当該技術情報についての秘密保持義務を不当に拡張し、秘密性を持たない技術情報や、ハードメーカーやアプリケーションソフトのメーカーが独自に開発した技術情報まで秘密保持義務の対象に含めること。
■ ソフトウェアライセンス契約における制限
- 複製に関する制限
複製に関して以下のような制限を課すこと。
- 契約に係るソフトウェアを複製した製品だけでなく、他のソフトウェアを複製した製品も含めた出荷実績をライセンス料の算定根拠として用いること。
- 複製回数の不当な上限又は下限の設定。
- 改変の制限
ライセンシー(ライセンスを受ける者)が、ソフトウェアの効果的な利用を目的として、自ら又は第三者(システムインテグレータなど)に委託して、
- 当該ソフトウェアについてデバッグ(誤りの修正)やカスタマイズをしたり、
- 当該ソフトウェアを他のソフトウェアやハードウ ェアに接続したり組み込んだりすることを
制限すること。
- 改変の成果に係る権利・ノウハウの譲渡、独占的な利用の許諾
ライセンシー(ライセンスを受ける者)がライセンサー(ライセンスを与える者)から許諾を得てソフトウェアを改変する場合において、ライセンサーがライセンシーに対して、ライセンシーが当該契約に係るソフトウェアを改変した場合に、改変の成果に係る権利・ノウハウをライセンサーに譲渡する義務又は独占的な利用を許諾する義務を課すこと。
- リバースエンジニアリング(既存の製品を調査・解析してその構造や製造方法などの技術を探知すること)の禁止
ライセンス契約に係るソフトウェアとインターオペラビリティを持つソフトウェアやハードウェアを開発するために、
- 当該ソフトウェアのインターフェース情報が必要であり、
- ライセンサー(ライセンスを与える者)がインターフェイス情報を提供しておらず、ライセンシー(ライセンスを受ける者)にとって、リバースエンジニアリングを行うことが、当該ソフトウェア向けにソフトウェアやハードウェアを開発するために必要不可欠な手段となっているような場合に、
ライセンサーがライセンシーに対して、リバースエンジニアリングを行うことを禁止すること。
- 他の製品との抱き合わせ販売
- ソフトメーカーが、ハードメーカーとのプレインストール契約において、当該契約に係るソフトウェアに加えて、当該ソフトメーカーの他のソフトウェアについてもプレインストールして、抱き合わせてエンドユーザーに販売することを義務付けること。
- ソフトメーカーが、流通業者との販売代理店契約において、当該契約に係るソフ トウェアに加えて、当該ソフトメーカーの他のソフトウェアについても、抱き合わせてエンドユーザーに販売することを義務付けること。
- 競争品の取扱い制限
- ソフトメーカーが、ハードメーカーとのプレインストール契約において、当該ソフトメーカーと競合するソフトメーカーの製品の取扱いを禁止すること。
- ソフトメーカーが、流通業者との販売代理店契約において、当該ソフトメーカーと競合するソフトメーカーの製品の取扱いを禁止すること。