政府のIT戦略本部は、昨年3月に策定された「e-Japan
重点計画」の改訂版となる「e-Japan
重点計画−2002」(PDFファイル)を策定した。諸外国のIT化のスピードが加速する中、世界の頂点を目指すためには、日本は、「相当のスピード感と施策の厚みで対応する必要がある」との危機意識がにじみ出たものとなっている。
昨年3月の「e-Japan 重点計画」 では、220の具体的施策が盛り込まれ、昨年度中に予定された103施策は全て実施済みとなっている。しかしながら、政府内では、各国がこぞってIT化を最優先課題の一つとしているため、現状のペースでは、「2005年までに世界最先端のIT国家となる」という目標達成が困難であるとの認識が高まっている。
新たに策定された「e-Japan 重点計画−2002」では、317の具体的施策の他、諸外国と比較した現在の日本の位置付けや、これまでの成果の評価が盛り込まれた。また、高度情報通信ネットワーク社会の実現のために、特に重点的に施策を講ずべき以下の5分野が指定された。
- 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成: ダークファイバの開放、IPv6の普及促進、集合住宅における高速インターネットアクセスの円滑化、新たな無線アクセスシステムの導入、超高速ネットワーク実現のための研究開発の推進など。
- 教育及び学習の振興並びに人材の育成: 学校教育の情報化、障害者・高齢者の利用促進、電子政府等のサービス利用の促進、IT分野における高度な専門家の育成、高度な外国人IT人材の受け入れ、IT技能向上のための環境整備など。
- 電子商取引等の促進: 電子商取引の円滑化のための刑事法見直し、著作権等の権利処理の円滑化のためのシステム・ルールの整備、不正コピー・不正利用防止のための技術・システムの確立支援、海賊版の取り締まりの強化、中小企業のIT化支援、消費者保護対策の実施など。
- 行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進: 申請・届出等手続きに関するオンライン化の前倒し実施、電子自治体構築のための共通基盤の整備支援、ITS、GIS
の本格的な普及、デジタルアーカイブ化の推進など。
- 高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保: サイバーテロ対策、情報セキュリティに関する国際的な連携・協力の推進、情報セキュリティに係る国内の人的・技術的基盤の整備、個人情報保護法などに基づく個人情報の保護など。
また、これら重点政策5分野に加え、横断的課題として、以下の5点が挙げられた。
- 研究開発の推進: IT国家の実現に必要な基盤技術等に関する研究開発を進めるため、産学官連携の強化、研究開発システムの改革などを実施。
- 国際的な協調・貢献の推進: 世界の情報拠点(ハブ)を目指して、アジア地域内の次世代高速インターネット網の整備、アジア発の次世代技術の確立、アジアのIT人材の育成・流動化を、アジア諸国と連携して戦略的に推進。
- デジタル・ディバイドの是正: 地理的な制約、年齢・身体的な条件等により情報通信技術の利用機会及び活用能力の格差が生じないよう、各種施策を推進。
- 雇用問題等への対応: IT分野における雇用機会の創出及び人材の円滑な移動の促進。青少年の健全育成並びに違法行為及び違法・有害情報の流通への対応など。
- 国民の理解を深める措置: 国民のITに関する理解の増進、最先端技術の実用化等を図るため、広報活動を充実させるとともに、世界最先端のIT国家の姿を広く提示するための「e!プロジェクト」を推進。
これら、「e-Japan 重点計画−2002」に掲げられた施策を確実に実行するため、政府のIT戦略本部は、遅くとも1年以内に、この重点計画の見直しを行うとともに、毎年春と秋に施策の推進状況の調査を行い、その結果を随時公表することとなっている。