総務省は2003年3月28日、アジア域内の情報流通の活性化および、アジアを世界の情報拠点にすることを目標とした「アジア・ブロードバンド計画」を策定した。
これは、昨年6月にIT戦略本部が
決定した「e-Japan 重点計画―2002」において、「世界的に均衡の取れたIT社会の実現」のための具体的施策の一つとして策定が求められていたもの。
アジア地域では、経済・文化など各分野における各国間の関係密接化や、ブロードバンド環境の普及が進んでいる。しかしその一方で、各国間や都市―地方間における著しい情報格差の発生、ブロードバンド利用に対する需要の不足、また欧州・北米地域内と比較した場合のアジア地域内における情報流通量の少なさ、といった課題も存在している。
こうしたアジア地域を取り巻く課題を踏まえ、「アジア・ブロードバンド計画」では2010年を目標年次に、以下の7項目の実現を目指す。
- ブロードバンドアクセス環境の普及:アジアのすべての人々が、各種公共施設からのアクセスを含め、ブロードバンドにアクセスでき、ブロードバンドの特性を十分活用したアプリケーションやコンテンツを利用できるようになること
- 各国間の広帯域ネットワーク整備:アジアの各国の間を直接つなぐ十分な帯域を持った国際ネットワークが整備されるとともに、アジア・北米間、アジア・欧州間の情報流通量が北米・欧州間の情報流通量と同等のレベルになること
- 次世代通信技術の積極的導入:アジアのネットワークがIPv6を備えたものとなるとともに、IPv6、次世代移動通信などの情報通信技術について、アジアが世界をリードする存在となること
- 情報セキュリティの確保:アジアの人々が安心して安全に情報通信技術を利用できる環境が整備されること
- アジア地域からの文化発信:アジアの主な文化的財産等のコンテンツがデジタル・アーカイブに蓄積され、ブロードバンドを通じてアジア域内での共有、世界への発信が図られること
- 主要言語間の翻訳技術実用化:アジアの主要言語間において実用に耐える機械翻訳技術が開発・実用化されること
- 情報通信技術者・研究者の育成:アジアにおける情報通信分野の技術者・研究者を大幅に増加させること
また「計画」では、上記の目標達成に向け取り組むべき施策を「ブロードバンドに係るネットワーク・インフラの整備のための施策」「ブロードバンド普及のための関連施策」の2つとして、これらの具体的施策を以下の通り定めた。
■ブロードバンドに係るネットワーク・インフラの整備のための施策
- 開発途上国などのネットワーク・インフラ整備の支援
- アジア域内の国際ネットワーク・インフラの整備の推進
- アジアに適したネットワーク・インフラ技術の開発・実用化
- ネットワーク・インフラに係る研究開発・標準化の推進
- ネットワーク・インフラに係る人材育成・人材交流
■ブロードバンド普及のための関連施策
- 共通的基盤の整備
- ネットワーク・セキュリティの確保等
- アジアにおける知的財産権のルール整備および運用適正化
- 電気通信に係る技術基準等の調和
- IPv6 の普及推進への協力・支援
- ブロードバンドの利用の促進
- ブロードバンドを利用したアプリケーションの推進
- デジタル・コンテンツの流通促進
- 多言語翻訳技術の開発等
- デジタル・アーカイブの推進
- 国家戦略、政策・制度の整備等への支援等
- 国家戦略策定などのための政策対話などを通じた支援、知識などの共有
- ブロードバンド普及に関する調査
- 開発途上国に対する支援
- 情報通信技術を活用した案件の推進
- 我が国からの積極的な各国との政策対話などを通じた案件形成の推進
- 複数国を対象とする案件の実施
総務省および関係府省は、これら具体的施策を2005年度までに重点的に講ずるとともに、国内施策の成果を国際会議等を通じてアジア各国に普及させることを目指す。
なおこの計画は、今後のアジア地域でのブロードバンド普及状況や施策実施状況やなどを踏まえ、2005年度末までに見直しが行われることとなっている。
○「アジア・ブロードバンド計画」(PDFファイル)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/pdf/030328_7_1.pdf