PUB 2001年8月24日 00:00

お役所の掟:ネット篇

著者: japan.internet.com 田中秀東
2001年8月24日 00:00 付の記事
国内internet.com発の記事


「お役所の掟(おきて)」といっても、故宮本政於さんが指摘されていたような、30℃でも冷房禁止とか、お役人同士の同情残業というような「不合理な慣習」ではなく、本来的意味での、「お役所で、これをやったらマズイだろう」という事を、今回はとりあげてみようかと。

先週ご紹介した、「米国司法省職員ネットべからず集」にも、省内ネットワークに接続したパソコンに、グヌテラやナップスターを入れるべからずといった掟がありましたが、省庁の枠組みを超えて適用されるべきものとして、アメリカには、「お役所の掟:ネット篇」みたいなガイドラインが存在しています。

それは、99年5月に、アメリカの CIO 評議会が策定した、『ITを含む政府のオフィス機器の個人使用制限に関する推奨方針と推奨指導内容』という長いタイトルのガイドラインで、その中では、以下のような場合が、「不適切な個人使用」と記されています。

  • サービスの混雑、遅延、中断を、政府のシステムや機器にもたらすような個人使用。例えば、グリーティングカード、動画、音声、その他、大きな添付ファイルは、ネットワーク全体のパフォーマンスを低下させる恐れがある。また、「プッシュ」技術やストリーミングも、ネットワーク全体のパフォーマンスを低下させる恐れがあり、不適切な使用に当たると考えられる。

  • 政府のシステムを、他のシステムへの不正アクセスのための足場として使うこと。

  • 内容の如何に関わらず、チェーンレターや、許可されていない大量メールの作成、コピー、送信、再送信。

  • 政府のオフィス機器を、同僚の職員や一般市民に対する、違法で、不適切、あるいは、侮辱的な行為に使用すること。そのような行為には、憎悪発言や、人種、信条、宗教、肌の色、性別、障害、国籍、あるいは、性的指向に基づいて、他者を嘲笑する行為も含まれる。

  • 性的な内容のデータの作成、ダウンロード、閲覧、保存、コピー、あるいは、送信。

  • 違法なギャンブル、違法な武器、テロ活動、その他、違法行為や禁止行為に関連したデータの作成、ダウンロード、閲覧、保存、コピー、あるいは、送信。

  • 商用目的での使用、営利活動の支援、または、第三者の雇用やビジネス活動を支援。例えば、有料コンサルティング、ビジネス取引の販売や管理、物品やサービスの販売。

  • 外部の基金調達活動、商品やサービスの承認、ロビー活動、禁止されている超党派政治活動などへの参加。

  • 所属機関の情報を、許可なく、外部のニュースグループ、掲示板、その他の公的場所に掲載すること。また、それら情報掲載が、連邦政府職員によって、政府内部から行われたかのように認識される行為も禁止される。ただし、所属機関の許可を得るか、あるいは、所属機関の使命や立場と反しない場合は、その限りではない。

  • 最低限の追加費用を超えるような出費を、政府に強いる使い方。

  • ソフトウエアやデータなど、所属機関が管理している情報の不正な取得、使用、複製、送信、あるいは、配信。

さて、これら「不適切な個人使用」を防ぐために、連邦政府はどういった対策をとるのか? 

それは、ずばり、ネットを利用する個々人の監視です。このガイドラインには、連邦政府は四六時中、個人のネット使用を監視できると明言しています。それどころか、「政府のオフィス機器を使用する際は常に、職員にプライバシーの権利はなく、また、そのようなプライバシーを期待すべきではない」と明言しています。もし、プライベートな行為をプライベートにしたいというのであれば、「所属機関のコンピューターやインターネットやメールの利用を避ければよい」と、プライバシー保護論者を突き放しています。さらに、システム管理者に対し、不正使用を発見するために、監視ソフトを走らせることを強く勧めています。

また、掟破りの不正使用者に対しては、インターネットやコンピューターの使用制限や禁止、さらには、懲戒処分や刑罰適用、不正使用分に対する損害賠償請求を行うことも記しています。

なんか、こう書くと、かなり厳しいルールのような気もするのですが、実は、連邦政府職員の個人使用に関しては、以下のような緩やかな原則が定められています。

「連邦職員は、政府のオフィス機器の個人使用が、公的業務の邪魔にならない限り、また、政府に対し、最低限の追加費用以上の出費を強いらない限り、個人使用が認められる。ただし、この限定的な個人使用は、就業時間外にのみ認められる。」

公務員の「同情残業」は、就業時間内なのか就業時間外か微妙なところですが、いずれにせよ、テレビだけでなく、ネットでも暇つぶしが出来そうです。といっても、アメリカのお役所に「同情残業」という概念や慣習があるのかどうかはわかりませんが…。むしろ、競争社会アメリカでは、以下の一文に書かれているような、「同情残業」ではなく、「野心的副業」の方が、公務員の間では関心が高いのかもしれません…。

「連邦職員は、政府のオフィス機器を、個人の私的ビジネスの運営のために使用することを、特に禁じる。例えば、政府のコンピューターとネット接続を利用して、旅行会社や投資サービスを運営することを禁じる。また、それら私的ビジネスに従事する親戚や、友人などを、政府のオフィス機器を利用して援助することも禁じる。」

就業中に、公務員がサイドビジネスに熱をあげることに対する、この警戒感。公務員という比較的安定した立場に安穏としてしまうのも困りますが、公務員の枠組みを超える野望を持ち過ぎるのも、困りもののようで…。



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