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2002年4月5日 00:00
2つの説明責任〜国会議員サイトの要件(下) PUB・バックナンバー
著者: japan.internet.com 田中秀東 | プリント用画面 | メールで記事を転送する
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鈴木宗男議員のサイト。更新が1月で止まっている。黙して語らずとは、ある意味、潔い。日本で最も更新が期待されているサイトであると思われるが、いまだ、冬眠中。
辻元清美議員のサイト。本人ではなく事務所の声明であること、しかも、文体がプレスリリースっぽい感じがするなど、全体によそよそしい感じがする。辻元議員の庶民派といったイメージとのギャップが如実に出てしまっている。

加藤紘一議員のサイト。まずは、「私」が「私」自身を責めるという潔さを示し、その後、ほのかに自らを正当化し、その正当性に読者を引き込んでしまうという、ネットオーディエンスの反感を買いにくい「田口ランディ・メソッド」をベースに、政治家としての誠実さを感じさせるオーソドックスな語り口とワーディングを用いた、絶妙な文章。

前回、国会議員が説明責任を果たすため、衆議院や参議院がウエブホスティングのサービスを国会議員に提供すべきと書いたのですが、少し、考えなおすところもありました。

というのも、日本の議員は、最も説明責任を果たさなければならない時に、国会議員を辞職してしまうことが多く、仮に衆議院や参議院がホスティングをする場合、辞職後、サービス提供が中止され、その議員のサイトが消滅してしまう可能性があるからです。サイトの消滅とともに、説明責任も消滅みたいな流れはインパクでも見られましたが、そういうスタイルを政界にも確立してしまうのは、やはり、マズイと思います。

個人的には、国会議員になった方々には、生涯、ホスティングサービスを提供しても良いのではないかと思うのですが、国会議員でなくなった人の言論または政治活動を、税金で延々とサポートしていくことには問題があるのかもしれません。

かといって、国会議員が民間のホスティングサービスを利用する場合も、前回指摘したような問題が存在します。このあたり、まだまだ難しい問題をクリアーしていかなければならないのですが、インフラを官民どちらに依存するにせよ、最終的には、その議員の意欲と倫理と責任感が、説明責任の果たし方を最も左右することは間違いありません。

例えば、最近、説明責任を求められた3人の国会議員のウエブサイトを見てみると、サイトでの対応に、かなり差が出ていることに気づきます。

疑惑後、全く更新がなく、沈黙したままの鈴木宗男議員のサイト

疑惑後、事務所からの謝罪文と、マスコミ向け記者会見の内容がそのまま掲載されたままの辻元清美議員のサイト

疑惑後、「私」といった一人称を使い、ウエブサイトの読者に語りかけるような文体で書かれたお詫び文をサイトに掲載した加藤紘一議員のサイト

それぞれの疑惑の軽重や真偽はともかく、サイトに何をどう載せるかで、サイト訪問者がそれぞれの国会議員に抱く印象は、かなり違うのではないかと思われます。

前回は、国会議員サイトの要件の中でも、インフラ関連に注目したのですが、今回は、インフラよりも重要度が高い、国会議員サイトのコンテンツについて考えてみたいと思います。

米議会オンラインプロジェクト(Congress Online Project)が今年1月に発表した報告書「米議会ウエブサイトの評価と改善(Congress Online Assessing and Improving Capitol Hill Web Sites)」は、議員サイトや各種委員会のサイトコンテンツで、以下のような問題が多く見られると指摘しています。

問題点
具体例
政策に関する情報を与えることよりも、議員自身の宣伝がメインになっている。 議員の成果や貢献を誇る記述がメインで、政策や法案そのものに関する情報が少ない。
政策や法案に関する基本的情報や、意見を表明する機会、法案の進展状況など、サイト訪問者が欲しがっているものをオンラインで提供していない。 有権者や報道関係者からの電話などによる要求には対応するが、サイトにアップロードする情報の内容が不適切であったり、遅すぎたりする。
ブラウザーで閲覧することを考慮していない。 冗長な文章や報告書をそのまま掲載することで、探している情報のありかがわかりにくい。
画像やテキストの読み込みに長い時間がかかる。 Java のポップアップ、Active X、Flash ビデオなど、ナローバンド接続を無視した作りとなっている。
余計な情報や不必要な機能がある。 議員サイトで掲載される必然性のない情報や機能が存在する。
コンテンツの見せ方やサイト運営に関する、最新の機能や技術を使いこなせていない。 映像や音声の配信を始めたのは良いが、更新に人手と手間がかかることに気づき、途中でそれらの更新をあきらめてしまう。また、デザインや最新機能などの運用をベンダーに任せただけで満足してしまい、最も重要なコンテンツそのものの更新に関しては、無頓着なままとなる。
非常時の重要な情報の通達手段としての意識が希薄。 米同時多発テロや炭疽菌事件により、議会が閉鎖される事態になってはじめて、適時に正確な情報を流すことができるというウエブの機能に注目するようになった。

この報告書は、米国の議会議員のサイトに加え、議会委員会のサイトも考慮に入れた分析なのですが、それでも、日本の国会議員のサイトの主な問題を指摘しているかと思います。

特に最初と二番目の問題点に関しては、日本だと、それが問題であるとさえ認識されないのではないかと思います。自分も、政策に関する情報をネット上で集める場合は、省庁や衆参議院のサイト、与野党のサイト、マスコミやNGOのサイトなどにアクセスするものの、議員のサイトを参照するということはほとんどしませんし…。というのも、議員のサイトで、たとえ政策や法案に関する言及があっても、情報としては短すぎるか、古すぎるか、バイアスがかかっているかで、使い物にならない場合が多いからです。

説明責任は、さきほど指摘した、議員個人のスキャンダルや疑惑に対してのもの以外に、議員自ら現在進行形で係っている政策・法案に関して、国民に情報を提供するというものがあるかと思います。議員は、党の勉強会や、官僚や専門家からのブリーフィング、政策の利害関係者との調整の中で、国民生活全般にかかわる重要な情報を、最も新鮮な時期に多く抱えているにもかかわらず、そのほとんどを、国民の目が届くところに公開していないのが実情です。

  • 開かれたIT社会の実現は、ITの発展、国民のニーズに合わせていかに政府が透明性と説明責任を高めていくかという民主主義の本質の問題だと思います。この観点がない限り、真のIT社会の実現はあり得ません。(辻元清美議員)

  • eジャパン構想には、お役所仕事の電子化なども含まれている。書類の申請や行政の承認を役所に行かずとも手続きできる。こうした流れは社会に浸透していくだろうし、対面によるお役所仕事もなくなっていくだろう。だが、政治の現場でどう使われるかというのは、いまだ模索状態にあるようだ。 (加藤紘一議員)

国会議員(あるいは、元国会議員)の方々も、政治におけるIT活用に関し、問題意識を多々持っていらっしゃるようなのですが、まずは、議員が持っている現在進行形の情報を、国民とフェアにシェアすることから始めていただけないだろうか。確かに、多くの議員のサイトで、国民と情報をシェアしようとする努力が垣間見られるのだが、議員と国民とが真剣かつ対等に政策を論じるには、あまりにも議員から提供される情報が少なく断片的であり、また、遅きに失する場合が多い。

それらオンラインでの政策情報の提供は、大きな負担を議員や議員スタッフに強いるものとなる。インフラでのサポートに加え、議員活動や政策情報の報告に対しても、人員や予算面でのサポートがあってもよいのではないかと思うのだが、まずはその前に、議員スタッフの間での「ワークシェアリング」(資金流用)の実態が明らかにされないと、国民との「インフォシェアリング」(情報共有)を実現するための建設的で冷静な議論は始められないであろう。

 



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