自治体所有の遊休不動産の有効活用
今週から3回にわたって、「不動産」にまつわる話題を提供したい。
第1回目である今週は「自治体が所有する遊休不動産の有効活用」である。
「遊休不動産の有効活用」などというと、移転や廃止によって生じた 工場跡地のようなスペースにマンションやオフィスを建設する民間の開発をイメージしがちだが、 自治体も「遊休不動産」を持っている。 ■土地開発公社 一時期話題に上ったのでご記憶の方もいると思うが、現在、話題となっている構造改革では 改革の対象となる「特殊法人」の一つである。 都道府県や市町村が全額出資して設立する外郭団体であり、自治体が計画する開発事業 (学校・公園など)の対象となる敷地を先行的に取得し、 スムーズに事業を推進させるために存在する。 先行取得した事業用地は本来、事業着手時に「親」である自治体が買い取ることになっている わけだが、バブル崩壊後、地方財政の悪化に伴い新規の事業に着手できるわけもなく、 「子」である公社が保有したままになっている「塩漬け」状態が問題視されている。 ■無くならない遊休不動産 この土地公社はどのくらいの「不動産」を保有しているのか? 平成12年9月時点の旧自治省の調査によれば、土地開発公社の数は全部で1,594、 保有している土地は簿価ベースで8兆2,948億円、面積ベースで32,620haとなっている。 もちろん事業が実施されるまでには時間がかかる場合も多いため、 土地公社が購入した土地がすぐに日の目を見るわけではない。 ただ、このご時世で頓挫した事業も多い中、眠ったまま、つまり、 遊休化している土地も増えていることは間違いない。 ちなみに、10年以上公社が保有したままの土地は1兆1,123億円、約5,400haにのぼる。
■遊休不動産の候補 さて、何も自治体の持つ「遊休不動産」は土地開発公社が保有する土地だけに限られるわけではない。 自治体は様々な不動産を持っている。住宅や浄水場、ごみ処理場、公民館などの公共施設 (厳密には公営企業が保有しているものも多い)などは全て自治体の保有する不動産である。 これらの公共施設の中で近年、「小・中学校」の遊休不動産化が進んでいる。 少子高齢化や住宅地の郊外化、都心居住者の高齢化に伴い、そもそも、 児童の数が減少しているのに加え、以前は児童の多かった周辺環境で高齢化が進み、 子供を抱える世帯が少なくなるなど、教室にあまりが出たり、 あるいは廃校したりしてしまうという事態が増えてきているからである。 文部科学省では、これらの余った教室を「余裕教室」と呼び、対策を打ち出している。 旧文部省の調査によれば、平成11年5月〜12年4月までに廃校した小中学校は61校 (前1年間で139校)、他の用途で活用された教室数は10,295学校8,658教室 (同4,855学校13,227教室)である。 「廃校」となった場合、校舎をそのまま使用し、 他の用途で活用するケースと校舎を取り壊し他の施設を整備する事が考えられる。 施設をそのまま生かすのであればまだ良いが、取り壊すとなるとその取り扱いが難しい。 そもそも小・中学校は住宅地の中や隣接するエリアにつくられる場合がほとんどであり、 また、我が子が通学し、あるいは卒業生が近辺に住むなどで、周辺住民との結びつきが強い。 このため、全く性格の異なる施設を整備する事は周辺住民の理解を得にくいからである。 今後、自治体がその取り扱いに頭を悩ます、遊休不動産候補の一つであるといえよう。 次回は、自治体が保有する遊休不動産を有効活用する上での課題を考えてみる。
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