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パブリック - レポート2002年2月20日 00:00
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子育て支援社会の構築に向けた視点(3)

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著者:日本総合研究所 前田恵美
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第3回 子育てのネットワークづくり

 前回は、 在宅での子育ても対象に含めたさまざまな子育て支援の資源を地域に用意することの必要性を指摘しました。 ただし、子育てというのは極めて日常的な営みです。それゆえ、 既存の制度において行政が提供するサービスでは、 どうしても業務のボリュームが多すぎて行き渡らないという状況が生じます。

 それを補充するためには、子育て支援の担い手が地域の中から生まれ、 自主解決の体制での新たな子育てコミュニティが形成されることが望ましいといえるでしょう。 具体的には、子育ての当事者や経験者がグループをつくりネットワークを組んで、 親子で気軽に参加できて情報交換をしたり、 同じ年頃の子どもを持つ親として悩みを解消しあえる場をつくりだすという活動が、 有効な方法として期待できます。

 こうした活動によって、親同士の仲間づくりができ育児不安が解消できるとともに、 いろいろな親子が出会うことで子どもとのかかわり方が自然に学べることにもつながります。

また、子どもが乳幼児の頃にできた親子同士のつながりは、 子どもが中学生など成長したあとも顔のわかる関係が継続され、 いじめや非行などに対する地域の問題解決能力が高まるという効果もあると考えられます。 加えて、子育てを卒業した母親がその経験を活かして、 地域の子育て支援の担い手として活躍できるようなボランティアによる子育ての輪づくりを進めるなど、 地域の持つ子育ての力が引き出されるという効果も期待できるでしょう。

かつて地域コミュニティが有していたであろう相互援助的な子育ての知恵を現代に 蘇らせる新しい方法として全国的に広がりつつある活動だといえます。

 一緒に子育てをしながら、親が子育てに関する知識や技術や経験を学び、子育てをする力を身につけたり、 さらに高めたりすることができる仲間と出会う場・機会をつくり出すことが重要なカギを握る時代を迎えています。こうした当事者による組織が主体となって行う子育て支援に対し、 行政や専門職が側面的に支えるというスタイルの地域の問題解決システムが必要ではないかと考えます。

 しかしながら、子育ての問題は親の第一義的責任が問われてきた時代が長く、 特に子育てグループのような活動に対しては、「なぜ、母親が子どもと遊ぶためのお遊びグループに、 社会的な支援をしなければならないのか」といった反発もありました。それが、 少子社会を迎えた今日では、子育てに伴う負担感を軽減・除去し、 家庭や子育てに夢や希望をもつことができる支援をしていくことに、 徐々にではありますがコンセンサスが得られつつあります。

たとえば、厚生労働省は2001年8月末に、2002年度予算の政府案作成に向け、 財務省に対して新規事業の一つである「つどいの広場事業」の予算化を求めています。 子育て中の親が気軽に集う場の必要性が喫緊の課題と認識されされたことは、 政策としてプラスの評価ができるでしょう。

 ただし、こうした制度が、自分達が必要とする新しい子育て環境を地域につくろうとする、 小さくはあっても自発的な動きを損なうものであってはなりません。 子育てについて学び合い考え合う集団を自ら創り出し運営していくことを通じて、 親が親としての力を蓄え、子育ての楽しさを満喫できるように支援していくこともまた、 子育て支援社会を構築するための重要な要素なのです。


前田恵美(まえだえみ)

株式会社 日本総合研究所 研究事業本部
新社会創造クラスター 主任研究員

専門分野: 福祉、教育
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