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2002年2月27日 00:00

日本におけるPFI市場の現状と今後の展望(1)

■はじめに

 国および地方自治体を取り巻く経済環境は依然として厳しい状況にある。 先行きの見えない景気低迷のなか、税収が伸び悩む一方、 これまでに整備してきた公共施設の維持管理が大きな財政負担となっており、 新たな都市基盤整備に向けた財源の確保が非常に困難となっている。

 その中で、公共施設をはじめとする社会資本の新たな整備手法として、 PFI(Private Finance Initiative)が注目されている。これは、 民間の資金やノウハウを活用して公共サービスを効率的に提供しようというものであり、 英国における行財政改革の手法として開発された経緯がある。日本においては、 主に公共サービスの提供に関するコストの削減と、公共サービス水準の向上の2つが期待されている。

 最近は、公共サービス分野へのPFI導入が全国各地で進みつつあるが、 発注者である行政側において、PFIの導入意義に関する理解の浸透、 PFI事業の推進に関する支援体制の確立は必ずしも十分とは言えない。

 一方、 PFIの普及はこれまで行政が自ら実施してきた公共サービス分野のマーケットを広く民間に開放することになり、 民間企業にとっては新たなビジネスチャンスの創出につながる。 ゆえにPFI事業への参入を試みている民間企業は数多く存在するが、 現在は各社ともPFI事業への参画方法を模索している段階にあり、 本格的な「PFI市場」の形成には至っていない。

 こうした問題意識のもと、本稿では3回にわたって、 日本のPFI市場の現状と課題をそれぞれ解説したうえで、今後の展望を試みることにする。

■ PFI市場の現状

 一般的に、PFIは公共サービスと名の付く分野であれば、 あらゆる分野に適用可能である。従って、ここでいう「PFI市場」とは、 特定の分野に限定されるものではなく、都市基盤、庁舎、廃棄物系プラント、 病院、情報システムなど、多岐にわたる(PFIの適用対象分野については図表を参照)。 PFI事業の担い手である民間企業も、建設会社、プラントメーカー、システムベンダー、 商社など、幅広い業種の企業が該当する。

 日本における現在のPFI導入状況を見ると、 平成11年に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」 (いわゆる「PFI法」)が制定されて以来、 公表ベースで約200件の事業がPFIの導入対象として位置付けられている。 未公表のものを含めれば、これを上回る数の事業がPFIの導入検討の対象になっていると考えられる。

 PFI市場の規模に関する明確な根拠は今のところ見あたらないが、 仮に上記の約200件が全て事業化にこぎつけた場合には数千億円規模に、 今後さらにPFIが普及した場合には1兆円を超す大型市場に成長するものと思われる。

 こうした状況を見据え、金融機関もPFI市場に新たなビジネスチャンスを見いだそうとしている。 PFI事業においては「プロジェクトファイナンス」と呼ばれる資金調達手法が用いられることが多い。これは従来のように企業の信用力や資産を担保とする資金調達手法と異なり、 プロジェクトが生み出すキャッシュフローを主な返済原資とする、 いわば「ハイリスク・ハイリターン型」の新たな金融商品である。 現在は都市銀行を中心に、プロジェクトファイナンスに関する取り組みが進んでいる。

 このように、PFI市場においては数多くのプレーヤーの存在が確認できるが、 現在はPFI普及の初期段階にあり、明確な市場が形成されているわけではない。 PFI市場における競争と住み分けは、むしろこれから本格的に進んでいくであろう。

図表 PFIの対象施設
公共施設 道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等
公用施設 庁舎、宿舎等
公益的施設等 公営住宅、教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、
社会福祉施設、更生保護施設、駐車場、地下街等
その他の施設 情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、
リサイクル施設、観光施設、研究施設

資料:内閣府民間資金等活用事業推進室「 PFIホームページ

 次回はPFI市場の課題について解説する。


小松 啓吾(こまつ けいご)

株式会社 日本総合研究所 研究事業本部
新社会創造クラスター 研究員

専門分野: PFI、市町村合併、地域振興ほか
プリンター用
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