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日本におけるPFI市場の現状と今後の展望(2)
前回は日本におけるPFI市場の現状を中心に解説した。
今回は引き続き、PFI市場という側面から、官民双方の主な課題について述べる。
■PFIに対する行政側の認識 PFIのなかで最も重要な概念の一つに VFM(Value for Money)がある。 これは「行政の支出たる税金(Money)に対して最も高い価値(Value)を提供する」 というものであり、公共サービスの効率化を目指すうえで欠くことのできない要素である。 両者が揃ってはじめて効率化が実現されるわけだが、現在は国や地方自治体の財政状況が 非常に厳しいこともあり、サービス水準の向上よりもコストの削減が大きくクローズアップされている。 基本的に、PFIを導入した場合の公共サービス水準が従来方式と同様で、 かつコストの削減が図られるのであれば、PFIの導入によってVFMが 達成されると判断できる。しかし、ここで注意しなければならないのは、 「PFIを導入すれば必ずコストが下がる」という安易な発想に陥るべきではない、 ということである。この発想に基づく限り、従来の請負工事の入札における価格競争と 何ら変わらない。事業の仕組みに柔軟性を持たせることで民間の自由な創意工夫を促し、 コストの削減とサービス水準の向上を同時に達成する− これが本来のPFI導入の意義である。 また、市場原理に対する行政側の理解も求められるところである。今後PFIの普及が進めば、「需要と供給」の原則に応じて、民間企業は参入対象事業を選別するようになる。現に一部の業種では「数億円規模のPFI事業では参入リスクに見合ったリターンが得られないので、応募は得策ではない」と判断するような動きも見られるし、「民間側に不利な条件の多い事業は極力敬遠したい」という声も聞かれる。これでは発注者がいくらPFI導入の意向を固めたとしても、蓋を開けてみると「応募者ゼロ」という状況になりかねない。プレーヤーである民間企業の意向を常に把握しながら、現実性のある事業の仕組みを構築する− これもPFI導入にあたっての重要なポイントと言えよう。 ■PFI市場における民間企業の戦略 前回において述べたとおり、PFI市場における民間のプレーヤーは幅広い業種にわたる。通常のPFI事業においては、公共施設の設計から建設、運営、維持管理までの「ライフサイクル」が対象となるため、民間企業は例えば設計会社・ゼネコン・オペレーターといった複数の業種でグループを構成し、事業に参画することになる。 この際に最も注意すべき点の一つは、企業間の役割分担が明確になっているかどうかである。PFI事業の実施主体に選定された民間企業グループは SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)と呼ばれるプロジェクトカンパニーを設立し、事業の遂行にあたることとなる(SPCと各企業の関係については図表を参照)。このSPCから各企業に対して個別業務のアウトソーシング(外部委託)が行われるわけだが、企業間の役割分担が不明確な状態では、トラブルの発生時に責任の所在を明確にすることができなくなるおそれがある。このことはSPCを中心とする企業グループに事業実施上のリスクを残すことを意味し、結果として事業の安定性を欠いてしまう。そのため、事業者選定プロセスにおける発注者からの評価が低くなると同時に、金融機関やスポンサーの協力を得るうえでも大きな支障となる。 従って、各構成企業の強みが十分に発揮されているかどうか、 相互の連携・協力体制が十分に確立されているかどうかを入念に チェックする必要がある。既存の取引関係や系列関係にとらわれることなく、 真にパートナーとなりうる企業同士が手を組むべきであろう。 ■ 図表 PFI事業における基本的な構造
次回はPFI市場における今後の展望について解説する。
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