「コピーコントロール CD」が問いかけるもの(2)■パソコンで音楽を聴く時代
前回述べたように、MD(ミニディスク)等のデジタル媒体の普及で増加する私的複製に対して、 著作権者やレコード会社など著作隣接権者に「私的録音補償金」 が支払われる制度が創設された。 しかし、インターネットとパソコンの普及は、音楽を音楽専用の機器や媒体で聴くという前提を崩してしまった。 パソコンのハードディスクやパソコン付属のCD-Rにデジタルで音楽を録音することが可能になると、 上記の「補償金」を取ることができなくなってしまったのだ。 MDのように音楽専用の媒体や機器であれば、その多くが著作権を伴う音楽の録音に使われるであろうから、 音楽著作権のための補償金を取ることはそれなりの正当性があった。しかし、 パソコンのハードディスクやCD-Rには音楽以外のデータも保存される訳で、 これにあらかじめ音楽著作権のための補償金を課金するという考えは受け入れられなかった。 ■ブロードバンドの普及で懸念が顕在化 そしてブロードバンドの普及は、レコード会社側の懸念をさらに大きくした。 CDからパソコンのハードディスク等にコピーした mp3 等の音楽ファイルを、 インターネットを通じてさらに他の人にコピーできるようになるからである。 これは「私的使用」の範疇を超えるもので、著作権法に違反する行為である。 音楽ファイルのサイズは比較的大きいため、 通信回線が細いことがネットを通じた音楽ファイルの流通を阻んでいた。 しかしブロードバンドの登場は、そうした状況を取り除き、 レコード会社自身による音楽ファイルのオンライン販売だけでなく、 違法なファイルの交換も可能にしてしまったのである。 米国では「ナップスター」等のファイル交換サービスの問題がいち早く顕在化したが、 日本でも「ファイルローグ」のようなファイル交換サービスが昨年登場し、 レコード会社側の懸念を一気に高めた(レコード会社による同サービス差止請求の プレスリリース)。 ■違法交換の元を絶つ そこで、対抗手段として登場したのが、コピーコントロールCDである。 消費者が入手できる音楽データは、ライブ演奏や放送からの録音を除けば、 デジタルデータとして配信された楽曲か、モノとして購入するCDに限られる。 レコード会社が手がける音楽配信データには既に複製を制限する仕様となっており、 CDからのネットへの流通を防げば、こうした違法な複製を元から絶つことが出来るという訳だ。 レコード会社は単にCDを販売しているだけではない。ヒット作で得られた利益を新しい音楽の発掘に充当し、 それがまた次のヒット作を生む、という「創造のサイクル」 (エイベックスのプレスリリース より)を担っている。違法複製の横行はこうしたサイクルを困難にするものであり、 この問題はレコード会社だけではなく、 日本のあるいは世界の音楽文化の健全な発展を考慮する上で重要な問題であると言える。 しかし、一般消費者側からすれば、こうした措置は納得のいかない面もあるだろう。 (以下次週)
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