大都市と観光の国際戦略(1) −国際戦略の基本−
21世紀を迎えて、人類の活動は、「都市」を舞台に個人がグローバルに活躍する大交流時代が到来している。もはや都市の活力は、定住人口や地価などの属地的な指標ではなく、魅力ある都市文化や都市生活などを求めて世界を移動する交流人口に、大きな期待が寄せられている。国境を超え、活発に活動する人や企業は定住型のそれらに比して、先見的に新しい力を持ち、未来への解決策を有するポテシャリティを有している。
このようなビジターが集中する都市は、人、物、金、情報などのエネルギーが自然に蓄積する世界都市として、次世紀にも持続的な成長が約束されるだろう。今後、我が国の大都市が、醜き衰退の道を回避し、麗しい再生の道へ歩むには、地球規模の視野からビジター集客に取り組まねばならない。 ■国際戦略の基本 先ず、大都市の国際観光戦略の基本について、三点を提示したい。 第一点は、「アジアの観光ビッグバン」と連動を図ることである(表1参照)。人類はこれまで1860年を起点に50年周期で三回の観光革命を経験しており、第4次は2010年代日本を含むアジアで国際観光の大爆発、観光ビックバンが予想されている(石森秀三 国立民族博物館教授)。我が国の大都市の再生には、世界からアジアに、またアジアから世界に発散されるエネルギーを吸収し、アジアと共に発展する戦略が基本となるだろう。 第二点は、「文明の磁力」の発揮に取り組むことである。世界の中心文明には世界から人々を集める磁力があると言われており、近年の発展した日本文明には、大都市に集約される形でマグネティズムが存在している。現に、アジア諸国の日本化は若者を中心にポケモン、カラオケ、ファッションなどが日常生活まで深く浸透している。このため、日本の大都市は、アジア諸国から先端技術文化都市としてひとつの憧れをつくっている。このようなマグネティズム構造の中心核をなしている豊かで魅力的な都市文化や都市生活を整備、情報発信していく戦略が必要だ。 第三点は、文化核を取り巻く「ビジター産業の創出」である(図1参照)。WTO(世界観光機関)では、観光・旅行産業が21世紀の重要な基幹産業として、世界経済の先導的な役割を担うとしている。既に、1997年で観光・旅行産業が世界の GDP の11.6パーセントを超え、世界の雇用者数の約十人にひとり相当する二億三千七百万人が観光・旅行産業で就業しているという実態がある。このような国内外からの多くの集客を迎え入れる総合的な産業群、いわゆるビジター産業の創出が21世紀の大都市にとっては重要である。以上の大都市再生に向けた国際戦略を一言で表現すると、「アジアをターゲットに、日本の先端都市文化を核にして、ビジター産業を形成せよ!」となる。 (2回目に続く)
(c) 日本総合研究所
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