e-Japanの広域展開に不可欠とされるアウトソーシングは、 従来の外部委託と、どのように違うのであろうか?
アウトソーシングの定義
outsourcingとは、「外(out)に源泉(source)を求めること」を意味する造語であり、米国ビジネス界にて1980年代後半から使われ始めた概念である。学術用語ではないため公式な定義はなく、さまざまな解釈がなされているが、ひとことで言えば、「外部の高度な専門能力やノウハウ、システムなどを有効活用し、コスト削減や業務の効率化を図ること」と言える。
これを情報システムの世界にあてはめた場合、アウトソーシングとは「企業が経営目標を達成するため自社の情報システムに関する業務領域の計画・設計・運営を外部の専門企業に委託すること」となる。
従来の外部委託との違い
- 従来の外部委託は、ホストコンピュータオペレーション、プログラム開発や受託計算といった、情報システム部門から発生する役務の補完であり、経営目標の達成に直接寄与する性格のものではない。
これに対しアウトソーシングは、大幅なコスト削減、新規事業の早期立ち上げ、リスク回避、BPR効果の加速、高度な業務効率の実現、競争優位性の獲得、さらには企業革新、生き残り等の導入目的が企業のトップ方針と密接にリンクしている。
- 従来の外部委託では、ある限られた範囲、たとえばハードウェア保守、プログラム開発、ネットワーク監視、ヘルプデスクなどに代表されるような狭い作業領域が対象であり、委託先での計画、設計に関する権限は限られたものとなる。
この点、アウトソーシングは、企業の情報システムプロセスをより大胆に広範囲に切り出すところに特徴がある。結果としてデータセンター管理、ネットワーク管理、アプリケーションマネジメント(業務システムの構築、保守、運用管理プロセスの一貫した外出し)あるいは情報システムプロセスを含んだ特定業務自体を外部化するビジネスプロセス・アウトソーシング等さまざまな形として現れることになる。こうした、まとまりを持ったプロセスの外部化により業務の計画、設計、運営に関する権限・責任がアウトソーサー側へ移行される。
- 一般に従来の外部委託で要求されるスキルは、特定の専門技術である。提供される技術に関するレベルの高低やカバーする範囲がその価値となり委託先が選択される。また、この種のサービスの購入に当たっては、情報システム部門が実質的に決定権を有しているケースが多い。
一方、アウトソーシングになると、委託先には専門技術のみならず、その業種・業務に精通したスキルやビジネス・スキルが要求される。その結果、機密情報をも含めた多くの業務上の情報がクライアント(委託企業)からアウトソーサーへ流れ込むと共にクライアントが抱える問題・課題について双方がリアルタイムに認識できるところにまで発展する。従って、アウトソーサーには、クライアントのビジネスを理解する能力が不可欠と言える。
成功要因
成功事例において共通して言える事は、クライアントとアウトソーサーの間に成立している親和的関係性である。これは、系列や親会社/子会社間に見られるような主従関係と言うよりも互いの専門性や企業文化を認め合うイコール・パートナーの関係である。ちょうど依頼人と弁護士あるいは患者と主治医との良好な信頼関係に似たものと言える。アウトソーシングに踏み切り成果を収めた企業トップが、異口同音に口にする「パートナーシップこそがアウトソーシングに不可欠な成功条件である」というコメントがこの事を裏付けている。
|
|
田崎 稔(たざき みのる)
日本ユニシス株式会社
アウトソーシング事業部長
|
提供:日本ユニシス