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2009年7月4日
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デジタル化されたデータの所有

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1. 知的財産としての所有

国民と行政の知的公共財・知的財産たるデジタル化されたデータは、排他的占有すなわち私的所有という考え方になじまない。しかしながら自由市場を建前とする産業界では、極端なフリーライダー(ただ乗り人)が知的生産の意欲を阻害することが充分にあり得るため、情報や知を物と類似したものとみなし、権利を法的に認めることで弊害を補う方法が一般に広まった。いわゆる「知的財産権」である。頭で考えて生み出すので「知的」、財産(富)としての価値が認められる権利なので「財産権」という。

知的財産権は知的所有権、産業財産権とも呼ばれ、可処分性と模倣・盗用の容易性で特徴づけられる。15世紀ベネチアの出版特許に発する概念で、現在に継承されている。日本でも17世紀に始まった。権利の存在根拠は、法律的に保護されているというだけである。

日本での知的財産権は、特許権(発明)や実用新案権(考案)、意匠権(デザイン)、商標権(商標)などの工業所有権と、著作権(著作物)や営業秘密(不正競争防止)、品種育成権(種苗)など、知的生産物に関する権利の総称となっている。

知的財産権について、例えば国の知的財産戦略本部は2003年7月8日、270項目の具体的対策と課題を盛り込んだ知的財産推進計画をまとめ、今後3年間で集中的に制度改革などに取り組むとしている。政府は規制による産業投資の保護と、公共性の高いデータに対する知る権利の保護とのバランスを、立法的保護で調整する、というのだ。

著作物であるソフトウェアの場合は制作者が所有権を有し、利用者は使用する権利を購入する。使用にあたって梱包を開封する等により「使用許諾契約」が結ばれる。所有権のない利用者に自由な複製権はない。以下、著作権保護の現状と課題に的を絞り、解説する。

2. 著作権保護の現状

ネットワーク流通に伴う問題として、不正コピーの大量配布の危険性が指摘されている。他方では技術の進歩に対応するために、著作権法には展示権や頒布権、譲渡権、公衆送信権等「新たな支分権(細分された権利)」が付け加わり、複雑怪奇の様相を呈してきた。

デジタル化されたデータについては、わが国の現行著作権法では一定の要件を満たす場合を除いて保護されない:1)電子データベースを構成する個々のデータに「創作性」がある場合にのみ、データ自体が著作物として保護される。データベースとは「論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」と定義され、「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する」とされる。 2)しかし、電子データベースを構成するデータは単に氏名や住所のような事実の羅列、「ファクトデータベース」であることが多く、こうした場合には権利の保護は求めることができない。安易に保護を認めてしまうと、結果として個々の事実の記述に著作権保護による独占を認めることになりかねない、という懸念が根拠となっている。

創作性は独創的具象物で表現されなければならない。未造形のアイディアの保護は特許法の範疇である。手段にすぎないプログラムやスクリプト、公有財産である政府や地方自治体の制作するデータベース(法令、通達、広報、公開情報等)も保護対象外である。

1996年の WIPO(世界知的所有権機関)条約はインターネットを視野に入れた権利保護の姿を打ち出した。この批准に向けた米国の Digital Millennium Copyright Act of 1998 は、以下を唱っている:1) コピープロテクトを破ること自体を禁止、2) コピープロテクトを回避するための装置の製造、販売、輸入、頒布行為、回避のための役務提供も禁止、3) 例外的に、互換性確認、暗号技術の研究、プライバシー保護、ポルノからの未成年者保護のためのリバースエンジニアリング(情報元の割出)などは許される。

3. 著作権保護の課題と方法

著作権(Copyright)は、16世紀の欧州ギルドが写本(copy)を独占するために作った「写本権」に由来するそうで、印刷術の発達が独占を困難にした結果、著者の人格権を口実にして複製行為を取り締まるしくみにした。今風にいえば「複製権」ということになる。

著作権法(ベルヌ条約)の1997年の改正では、「公衆への伝達権」として Web サーバ等にデジタル著作物をアップロードする権利を規定した。しかし著作権の考え方をデジタル化されたデータの流通に適用するのには困難が多いことは、既に解説した通りである(IT社会における知的財産権・著作権の保護:2002.7.16)。

技術的に実現可能な著作権保護の方法が、いくつかある(代表例):1) コンテンツに電子透かしを埋め込み、不正利用を摘出【実用例多数、複製防止には難】。2) 超流通【当コラムで既解説。応用事例あり】。3) Transcopyright【テッドネルソン氏による概念。引用・流用を他人の著作物を複製して利用するのではなく、埋め込みリンクで利用する。マイクロペイメント技術を組み合わせて、利用された著作物に対する課金も行える】。4) コピーマート【著作権と許諾条件が登録されている著作物市場を構築し、利用者が条件に基づいて対価を支払う=契約する、ことで希望する著作物を入手できる】。5) オープンソース【98年、Netscape社のブラウザに始めて使われた用語。それ以前のパブリックドメイン方式(著作権放棄)やフリーソフトウェア方式(GPL:GNU General Public LicenseとCopyleftで権利継承)に対して、知的所有権にもとづくソフトウェア産業との共栄を容認する】。

インターネットに氾濫するデジタル化されたデータを法的に保護・強制する制度は、経済的、社会的、倫理的に永続できないだろう。それに代わるのは、権利は制作者が自分(たち)で守り、流通はインターネットで自由に行うといったやりかただろう。法との関係でいえば、「生存という基本的権利が、仮想世界へ持ち込まれる」ということになる。

提供:日本ユニシス解決への扉

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