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動画コンテンツの流通に必要なもの 〜 CDN と DRM 〜行政サービスで扱われる災害予防のための緊急時避難連絡情報や、審議会・公開討論会実況のマルチメディアコンテンツなど、遅延が許されない、動画を主体とする大容量データの配給には固有の二つの技術が必要となる。
この種のデジタルコンテンツをブロードバンド環境で流通させる為には、利用者には快適な配信環境を、発信者にはコンテンツの身元を保証する為の環境を提供しなければならない。この課題を解決するためのIT技術、CDN(Contents Delivery Network)と DRM(Digital Rights Management)について概説する。 1.CDN(コンテンツ配給ネットワーク) 快適な配信環境を実現するには、配給側でCDNを構築するか、CDN サービスを利用することになる。 ライブ配信の場合には単純にユニキャストで配信するのでは帯域不足となるので、マルチキャストで配信するというのが選択肢の一つになる。しかし、ネットワーク環境に左右されるため、現状では多くの場合適用できない。そこで、スプリッタを各拠点に用意して CDN を構築することになる。 VOD(Video On Demand:要求があり次第ビデオを視聴できる)配信の場合には、コンテンツを安定した条件で視聴するには、より近くに事前にコンテンツを配備しておけば好い。キャッシュサーバーあるいは配信サーバーを各拠点に用意して、CDNを構築することになる。 これを突き詰めていった例として、STB(Set Top Box:ストリーミング配信された動画を受信し、TV画面に表示する装置)へ事前に配備する方式があるが、さすがに一般的ではない。また、まずファイルをダウンロードしてから視聴を開始するダウンロード型のサービスを提供している例もある。この例では、せっかくのストリーミング技術だが現実の場面では配信環境が保証出来ない、ということから採用しているようだ。 この辺りは実際には構築費用との兼ね合いで決めているものであり、技術的には環境に応じて CDN を構築すること自体、それ程難しくはない。 2.DRM(デジタル権利管理) コンテンツを保護し、権利関係を明確にすると同時に、それを守る(守らせる)仕組みは一般に DRM システムと呼ばれる。行政の場合には、知的所有権や著作権などの権利保護の側面よりは、コンテンツの発信元が間違いなく当該行政機関であり、改ざん・捏造されていない「本物のコンテンツ」であるのを保証する側面の方が強調される。 実際にコンテンツを守る技術には、電子透かし、DRM、コピーガードがあり、それらの一部あるいは全部を組み合わせて使用する。 (1)電子透かし: コンテンツと権利情報を紐付けし、不正利用を追跡・発見する為の技術が電子透かしと監視ロボットである。機能的にはトレーサビリティに属する技術だが、コンテンツの正当性の保証にも使用可能である。 電子透かしは、入っていることが分からない点が売りの技術だが、厳密に並べて比較すれば違いは分かる。特に強度を上げていくとコンテンツ自体の劣化は明らかとなる。そこで、それを逆手に取って、劣化して商品価値の低いものを見本として使い、純正品を購入して頂くという使い方がある。 また、コピーや写真からでも透かしの読み出しが可能ということから、全面ポスタに情報(例えばURL)を埋め込みで入れておいて携帯電話のデジタルカメラで撮影してもらい、そこから読み出した情報(URL)から Web サイトへ誘導するという使い方もある。 (2)DRM: 狭義の DRM で、コンテンツの暗号化によりアクセスを制限する。その際、著作権等で定義されている各種権利に応じて、利用者が購入した権利に合わせて復号の為の鍵を有効にする手段を提供する。利用開始時期、利用回数、利用期間などの設定が可能である。 ただし現状では配信方式毎にシステムを用意する必要がある。有効期限を設定することで、最新のコンテンツへの更新を確実にするという様な応用も可能である。 (3)コピーガード: Video、CD、DVD 等のコピーガードと同様に、複製を行えないようにする技術である。それらと同様の仕組みを使って、復号した後の状態での複製を防止する。ガードはずし技術とのイタチごっこだが、効果は期待できる。 3.おわりに 残念ながら CDN も DRM も、決定版というものはまだない。ただし、技術的にはほぼ出揃った観があるし、徐々に絞られて来てもいるので、遠くない将来には定まるだろう。個々の技術は他への応用ということも考えられ、暫くは注視していても好い分野である。 (注)詳しい技術内容については、筆者が「日本ユニシス技報76号」へ執筆したストリーミング配信での著作権保護(DRM)と配信ネットワーク(CDN)[PDF]をご一読下さい。
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