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2008年10月12日
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第3の産学連携を提案する

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産学連携というとき、大学等の研究機関での先進の研究成果を事業化する、または、最近では研究をしつつ起業するというケースが思い浮かぶ。これを第1の産学協同と呼ぶことにする。

しかし、大学等の高等教育機関の機能を分析すると、研究機能のほかに、教育の機能があり、この機能の方が大きいというのが現状に近いようである。これまでにも、教育の機能、人材の育成という面では、企業が必要とする人材を育成するといった意味での産学協同があった。これを第2の産学協同と呼ぶことができる。

今回提案したいのは、企業が培ってきた実学の手法を高等教育機関における教育にフィードバックしようという内容である。すなわち、インストラクショナルデザイン(ID)を高等教育機関に適用するということである。これが第3の産学協同である。

ID とは、教育を効果的効率的に行うため、科学的な手法や過去の知見を最大限に利用しようとする考え方である。ID に関する誤解はいくつかある。

よくある誤解の一つ目は、インストラクショナルデザインという言葉の「デザイン」にとらわれるもので、例えば e-Learning であれば、画面の見え方やアニメーションの使い方などのテクニックを追求するものだろうという誤解である。

次によくある誤解は、インストラクショナルデザインが e-Learning の普及とほぼ同時に知られるようになってきたために、e-Learning の教材を作るときに使うものだというもので、e-Learning でない教育には関係が無いという誤解である。

実際には、ID では e-Learning にするか、IT 技術をどのように使うか、使わないかという検討を行う。更にそれ以前の、教育という形で実施するのか、違う方法で解決するのかというところから対象領域としている。e-Learning コンテンツを作る工程は、ID のごく一部分である。

高等教育機関における教育は、全人的な教育を行う、まだ固まっていない先端技術を扱う、相互啓発による発見的内容であるなどの特徴が挙げられることがある。

しかし、それらの内容に入る前に必ず習得しなければならない知識の伝達、スキルの習得を無視することはできない。これらの2面性をもつ授業について、企業ができる支援について考えてみたい。

わかりやすい例として、後者の「必ず習得しなければならない知識伝達、スキルの習得」を取り上げる。

「必ず習得しなければならない知識伝達、スキル」として、思いつくままに挙げると、国語の力(論文が読める、書けるなど)、英語の論文が読める力、PC が使える力(情報が検索できる、論文が書ける、データ分析ができるなど)などがある。

この他、理系における数学の基礎的な知識と操作や、情報系におけるプログラミング教育など、各専門に入る前の基礎素養もそれぞれに存在する。実際問題として、これらについての授業コマは相当数に上る。

これらは、できるだけ効率よく、効果的に習得できることが望ましい。本来の専門科目の授業に早く入ることができ、充実した内容にできるからである。これらの基礎素養に分類できる授業についてはいくつかの特徴がある。

一つは、授業を受ける学生のレベル差が激しいことである。既に履修済み相当以上の力を持っている者も、全くの初心者も存在する。

二つ目は、基礎的なコースであるが故に、履修する学生数が多いということである。一つの科目を複数の教員が担当することにもつながる。

三つ目は、後続コースの前提となるが故に、到達レベルを保証しなければならないという点である。

これらの条件の上でかつ各教育機関の制約条件を考慮した上で、どのように授業を構成し、実施すればよいか、インストラクショナルデザインが適用できる場面である。

2003年度には経済産業省よりの委託を受けた「情報化人材育成プラットフォーム」事業関連として「高等教育eラーニングインストラクショナルデザインの開発および実証実験」が行われている。

実際の適用事例についても、青山学院大学の事例として2004年の教育システム情報学会第29回全国大会において該大学と筆者で共同発表しているものがある(※1)。前年度より高い目標であるにもかかわらず、より多くの学生が達成できたことを報告している。

専門的な内容の応用的、発展的な学習においても効果的、効率的に習得するにはどうしたらよいか、考えるべき点は多々ある。

この分野においてはインストラクショナルデザインという考え方を適用するとともに、先端領域での人的交流という連携があるべきであろう。企業が活力を持って活動していくためには人材が必要であり、そのためには高等教育機関を始めとする教育機関の活動が活発でなければならない。産学の成果を持ち寄ることで大きな成果を得ることができるであろう。

※1 橋本 諭、齋藤 裕、堀内 淑子、玉木 欽也
“複数年度にわたるインストラクショナルデザインを用いた授業改善の研究”

堀内 淑子

日本ユニシス・ラーニング株式会社
Wisdom ビジネス事業部
ID コンサルタント


提供:日本ユニシスユニシス

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