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e-文書法の課題

この記事のURLhttp://japan.internet.com/public/technology/20041110/1.html
著者:日本ユニシス 五十嵐 智
国内internet.com発の記事
■ e-文書法とは何か
政府は、e-Japan 戦略IIにおいて「2005年までに世界最先端の IT 国家になる」との目標を掲げ、これを達成するために IT 規制改革の一つとして e-Japan 戦略加速化パッケージおよび e-Japan 重点計画2004の中で「e-文書イニシアチブ」として電子文書保存の法整備を謳っている。これが e-文書法(案)である。

e-文書法は、民間業者が電磁的記録の保存ができるようにするための通則法と、個別の法律の一部改正によって規定する整備法から成る。

正式名称は、通則法の「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(案)」と、整備法の「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(案)」である。

現在は、もともと電子文書として作成されたものをそのまま電子的に保存することが、一部を除いて許されている。e-文書法(案)により、今まで紙での保存が義務付けられていたものが、電子的に保存することが可能になる。

■ 電子文書と電子化文書
コンピュータ上などに存在する文書を「電磁的記録」と呼ぶが、文書には二種類の電磁的記録が存在する。

一つは、作成から破棄まで一貫して電子的に存在する「電子文書」であり、もう一つは、紙やマイクロフィルムなどの媒体からの変換によって電子的に存在するようになる「電子化文書」である。

前者の「電子文書」では、電子署名などによる技術の導入が必要ではあるものの、一貫して同一であることを保証することが可能である。一方、後者の「電子化文書」では、媒体の変換が行われるため、元の文書と同一であることを何らかの方法によって保証する必要がある。

■ 電子化文書の課題
紙の文書をスキャナによって PC に取り込む場合を考えていただきたい。取り込んだ画像の解像度が低ければ、文字が判別できない場合もあり得る。この取り込んだ画像が元の文書と同じといえるかどうか、という点が「電子化文書」の大きな課題である。

つまり、元の紙の文書と電子化した文書が同一であるということを保証する「人」が介在しなければならない。介在した「人」による同一性の保証と、改ざん防止及び否認防止のために、電子署名が用いられる。

次に、文書の存在について考える。ある時点で存在していなかった書類を後から作成し、あたかも以前から存在していたかのように見せることが可能である。これを防ぐ方法が時刻認証による存在証明である。

信頼できる時刻の証明を用いることで、そこに付加されたタイムスタンプより以前に電子的な文書が存在していたことを証明できる。ある時点より以前のタイムスタンプがあれば、すくなくとも後から作られたものではないことが証明される。

長期保存の問題も考慮する必要がある。一つめは、電子署名などに使われる証明書の有効期限の問題であり、二つ目は、見読性と呼ばれる、文書の可視化の問題、三つ目は保存媒体の可用性の問題である。

証明書の有効期限が切れた場合、電子署名が付加されていても、それが有効期限内に署名されたものか、有効期限が切れてから署名されたものか不明である。そのためにここでも時刻が重要になる。

証明書が有効な時刻に署名されたものであることを保証するために、証明書の期限が切れる前に検証を行い、検証結果と共に新しい電子署名とその時点での時刻証明書を付加することで、過去において確かに電子署名が有効であったことを証明できる。時刻証明書の期限が切れる場合も同様である。

電子的に保存された文書は、そのままでは人が読むことはできない。そのため、文書を見るためのプログラムが必要になる。

文書の形式が公開されていない場合、文書を読むためのプログラムを一緒に保存する必要があり、さらに極端な場合には、プログラムを動かすためのオペレーティングシステムやハードウェアまでも保存する必要が出てくる。

このような状況を回避するためには、XML などのように文書の形式が公開されたフォーマットである必要がある。文字コードの問題なども同様である。また、機密文書などを保護するために暗号化を行う場合にも、鍵の管理について考慮する必要が出てくる。

さらに、保存媒体自身の可用性を考える必要がある。すなわち、保存媒体の保存場所や、リスク分散のための遠隔地への保存などである。

なお、最初にあげた同一性の保証以外の課題は、電子化文書だけでなく電子文書などの電磁的記録全般に言える課題である。

■ e-文書法の企業の取り組み
筆者は、ユビキタス社会の到来に向けて、IT 利活用のための次世代情報基盤をオープンソースとして公開すべく研究開発を行っている。その基盤は、物理世界の存在をサイバースペースの情報へマッピングし、サイバースペースの情報操作と物理世界への影響がリンクすることを目指す。

さらに、氾濫する情報を統括し、時刻を付加した4次元データベースとして管理することを目的としている。

紙文書を電子化することは、まさに物理世界からサイバースペースへのマッピングであり、この基盤を用いることで、電子化文書はもちろん、電子文書などの電磁的記録についても統一的に管理が可能となる。

(注)e-文書法は執筆時点で未制定。

五十嵐 智

日本ユニシス株式会社
先端技術企画部
テクノロジインキュベーター


提供:日本ユニシスユニシス


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