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2008年9月5日
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日本の製造業における全体最適化と局所最適化―PLM ソリューションのアンケート結果から―

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■ 製造業の変化
この10数年間、安くて品質の良いものを作れば売れた時代から、市場の要求にあった製品を素早く開発し市場に出さないと売れない時代へと変化してきた。この変化に対応するために、生産現場では、大量生産のために考え出された工場のラインに加えて、セル生産や屋台方式と呼ばれる柔軟な生産体制を導入して効果をあげている。

一方、経営レベルでは、製品のすべての企画、開発から設計、製造、生産、出荷後のサポートやメンテナンス、生産・販売の打ち切りまで、製品のすべての過程を一貫して包括的に管理することで、開発期間の短縮、生産の効率化、そして市場の求める製品を適切な時期に市場投入する PLM(Prodeuct Lifecycle Management)という概念が注目されている。

この概念を実現し、支援する PLM システムの導入、利用に対する関心は高いが、本格的な実運用は、これからといった状況である。

■ PLM に関する最新アンケート調査から「必要性を感じても、実施は困難」
今年夏に行われたあるアンケート調査によると、PLM 改革取り組み状況に対して、 実行中、検討中が合わせて8割以上、やらなければならないと考えている回答を合わせると実にアンケート回答者の全員が、PLM 改革に取り込組んでいる、あるいは取り組もうと考えていると回答している。

しかしその一方で、プロジェクトの実施時期に対する回答は、未定、2〜3年後、1年後の合計が6割を超え、実施が容易でない状況が見える。

■ PLM システムに求められているもの
同アンケートの「必要な PLM アプリケーションは何か」という質問に対する回答のトップは、「設計と製造のコラボレーション」で4割程度である。コラボレーション機能が要求されるということは、現状では、ラボレーションに課題があるということである。

実際、製造業では、数多くの業務プロセスが並行に、必要なときは同期をとりながら、そしてあるときは後もどりしながら進んでいく。このような業務プロセス間のコラボレーションは容易ではない。

コラボレーションを実現するためには、複雑なプロセスの管理と合わせて、部門で必要とする製品情報を、部門業務に適した形で、かつ部門を横断して有効利用できる機能が必要である。

このような機能の必要性は、同アンケートの同じ質問に対する回答の、「品目情報や BOM(部品表)の全社管理」と「設計/仕様変更管理」がいずれも約3割、「製品ごとのプロジェクト管理」が約2割という結果からもうかがえる。

すなわち、「全社的に(部門を横断して)」「設計/仕様変更のような動的に変化するデータ管理」をすることで、「部門間のコラボレーション」を可能にし、「製品に注目したプロジェクト管理」ができる機能が必要とされているといえる。

■ 何故、実施が困難か?
しかしながら現実には、全社的な部門を横断する製品ライフサイクル全体に関連する情報を動的に管理するデータモデルをつくることは容易ではなく、部門ごとに必要とするデータが異なる、必要とするデータの見え方が異なる、同じデータであっても粒度が異なるなどの状態を、系統的に表現する仕組みが、現行の PLM システムでは十分でない。

このような状態の現行 PLM システムに合わせるために、長年かかって各部門でカイゼンを重ねてきた業務システムと、そのシステムに最適なデータ形式を変更する作業は容易でない。

さらに、このような困難な作業に取り組むことの成果が定量的に見えにくい、ということが PLM システムの実施を遅らせる大きな要因となっている。

■ PLM システム導入実施成果の定量的可視化
現場の小集団カイゼン活動では、カイゼン成果を目に見えるように定量化することが比較的容易である。可視化や定量化によりカイゼン活動は推進されてきた。

また「後工程はお客様」であるという意識を徹底することで、品質を作り込み、効率をあげてきた。

このようなボトムアップ的な活動は、着実に成果をあげてきた一方で、自部門に要求されるアウトプットにのみに目が向きがちな傾向を生み出す。

PLM の導入実施にあたっては、この内向きの目を部門の外に向けて、部門をまたがる全体的な成果を可視化、定量化する仕組みを作っていく必要がある。

■ 局所最適と全体最適のバランス
カイゼン活動に代表されるボトムアップ的な局所最適化は、日本の製造業の最大の強みであると同時に、全体最適化が困難な状況を作り出している要因の1つにもなっている。

日本の製造業の強みを生かしながら、このような状況を解決する方法として2つのアプローチが考えられる。

1つめは、PLM ソリューション適用においては、生産現場の「すり合わせ」手法を、情報ソリューションの適用にも持ち込むアプローチである。現場のやり方やシステムを徹底的に理解し生かすことを念頭にソリューションの適用を行い、成果を定量的に可視化する。

2つめは、製品情報中心のアーキテクチャを実現する基盤 SW を利用して、新たな部門間の業務連携のシステムを開発するアプローチである。 ソリューションありきのデータ構造ではなく、現場のシステムやデータ形式を尊重して、粒度が揃わないデータは揃わないまま、過不足のあるデータも過不足のあるままのデータを用いる。

データを時系列で管理した上で、データ同士の関係を介して部門間の業務連携を行うことで、局所最適化と全体最適化のバランスをとるシステムを構築できる可能性がある。

宮地 恵美

日本ユニシス株式会社
先端技術企画部
テクノロジプロデューサー


提供:日本ユニシスユニシス

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