このような動きの中、医療分野への IT の適用に付いて、医療期間内での IT 化と医療機関同士の連係のための IT 化について述べる。
■医療機関内での IT 化
このような背景の中医療機関内での IT 化も重要になって来る。先に述べたように病院経営の効率化のために、一般企業と同じように、医療機器、医薬品などの管理を効率良く行うための SCM の導入や、特殊技能を持っている要員を最適に管理するためのヒューマンリソースマネジメントの導入などが考えられている。
さらには患者に対する“安心”を提供していくためには、病院経営の効率化の視点だけではなく、医療行為の透明化や医療過誤の防止を行うために、個体識別技術によるものの把握と、医療従事者の行動の把握を行うことが重要になって来る。また、インフォームドコンセントなど、患者とのコミュニケーションを IT で支えていくことも必要になって来ている。
■医療機関同士の連係のための IT 化
2003年8月に厚生労働省から「医療提供体制の改革のビジョン」が発表されたが、その中でも病院完結型の医療から地域完結型の医療への転換が挙げられている。
このような医療連係、特に IT による医療情報の基盤整備が重要となり、いくつかのモデル地区での実践がすすめられている。この地域完結型の医療の重要な点は医療機関の役割分担の明確化と医療機関の間での連係強化である。
■使う側にも意識改革が必要
筆者はこれら一連の IT 基盤導入の動きが、制度を管理する側の都合や IT を導入する側の都合ではなく、ユーザつまり患者のためになることを望んでおり、医療機関内の各システムの連係、医療機関同士の連係、さらには医療機関とそれ以外の機関との連係を行う部分は社会基盤として企業の競争論理のもとではなくオープンな環境で構築されるべきであると考えている。