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医療分野への IT の適用に向けて

この記事のURLhttp://japan.internet.com/public/technology/20041222/5.html
著者:日本ユニシス 三浦仁
国内internet.com発の記事
■IT適用へ向けて取り巻く環境
2001年に決定された e-Japan 戦略でも医療・介護分野の情報交換や遠隔医療に関して触れられていたが、e-Japan 戦略IIの先導的取り組みの筆頭にあげられたことで、医療・介護・健康分野への IT 適用の動きが一気に加速され、制度面等も含めて動きが活発化している。制度自体に関してはさまざまなところで議論されており、ここではその議論自体には触れないが、取り巻く状況を整理する。

2004年度からは国立病院・療養所が独立法人化され、技術面からだけではなく、経営面からも病院のありかたを見直す必要が出て来ており、通常の企業での取り組みと同じような IT 適用が必要になって来ている。

医療費請求制度に関しては 包括評価制度(診断群分類による包括評価)が2003年度から試験的導入がされており、2004年度から2005年度にかけて、試験的導入の第二段が行 われている。

これは、診療費の請求を従来の出来高方式ではなく、病名毎に設定した診断群分類によって請求額を決定すると言う方式である。この制度自体は先に述べたよう に試験的導入を行いながらその詳細を検討している段階ではあるが、将来に向けて医療のありかたを変える大きな流れである。

また、既にカルテ、レセプトの電子化が積極的に進められているが、2005年4月の施行を目指して検討されている e-文書法(電子文書法:バックナンバー2004年11月10日版参照)の動きと関連して、カルテの外部保存が可能になると考えられさらなる電子化がすすんでいく。

当然、電子的にカルテ等のデータを扱うためにはさまざまな面において十分な配慮が必要であり、厚生労働省の“医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会”などで 議論されている。

このような動きの中、医療分野への IT の適用に付いて、医療期間内での IT 化と医療機関同士の連係のための IT 化について述べる。

■医療機関内での IT 化
このような背景の中医療機関内での IT 化も重要になって来る。先に述べたように病院経営の効率化のために、一般企業と同じように、医療機器、医薬品などの管理を効率良く行うための SCM の導入や、特殊技能を持っている要員を最適に管理するためのヒューマンリソースマネジメントの導入などが考えられている。

さらには患者に対する“安心”を提供していくためには、病院経営の効率化の視点だけではなく、医療行為の透明化や医療過誤の防止を行うために、個体識別技術によるものの把握と、医療従事者の行動の把握を行うことが重要になって来る。また、インフォームドコンセントなど、患者とのコミュニケーションを IT で支えていくことも必要になって来ている。

■医療機関同士の連係のための IT 化
2003年8月に厚生労働省から「医療提供体制の改革のビジョン」が発表されたが、その中でも病院完結型の医療から地域完結型の医療への転換が挙げられている。

このような医療連係、特に IT による医療情報の基盤整備が重要となり、いくつかのモデル地区での実践がすすめられている。この地域完結型の医療の重要な点は医療機関の役割分担の明確化と医療機関の間での連係強化である。

このような連係は、単独の医療機関と患者とのつながりだけであった医療を地域の複数医療機関の連係により患者を面で支える医療への変革につながり、さらには面と面とのつながりにより日本全体で患者を支える医療となっていく。

例えば、e-文書法によりカルテの外部保存が可能になり、安全に個人もしくは家族のカルテを保存するサービスが可能になると、これまで個別の医療機関で保存されていたカルテが個人のものとなり、違う医療機関による重複した検査の抑制になり、複数の医師の意見を聞き、自分が信頼できる医師もしくは医療機関からの治療を受けると言うことがやりやすくなる。

これがすすみ、健康診断の情報も含めて管理が可能になると、生まれた時点からの個人の健康、治療情報が時系列に参照することが可能になり、医師も高度な判断ができるようになるばかりか、情報を正しく分析することにより、予防医療に繋げることも可能になる。

■注目すべき情報技術
さて、ここまで述べて来たような医療の変革に向けてはさまざまな情報技術が必要になって来る。医療機器や医薬品、医療従事者の動きを把握するための個体識別技術や、情報交換の為の標準化や情報連係技術などである。

医療に関する情報は最もプライバシー性の高いものであり、それを扱うためには認証技術や暗号化技術も適切に導入していく必要がある。情報によっては医療従事者等に必要な情報のみを扱えるようにし、それ以外の機密性の高い情報は見えないようにするなどのコントロールも必要になる。

さらには、患者が自分の個人情報を容易にかつ、適切にコントロールできるような仕組みも重要になってくる。

■使う側にも意識改革が必要
筆者はこれら一連の IT 基盤導入の動きが、制度を管理する側の都合や IT を導入する側の都合ではなく、ユーザつまり患者のためになることを望んでおり、医療機関内の各システムの連係、医療機関同士の連係、さらには医療機関とそれ以外の機関との連係を行う部分は社会基盤として企業の競争論理のもとではなくオープンな環境で構築されるべきであると考えている。

社会基盤として整備した上で、そこに乗るサービスによる競争を行うことが、患者のための医療が提供できると考える。但し、サービスを受ける側の患者も単純に受身でよいサービスを受けることができない。

自分の健康のためと認識し、自分の情報の管理と提供される情報を正しく使用することが、高度な医療サービスにつながる。

三浦 仁

日本ユニシス株式会社
先端技術企画部


提供:日本ユニシスユニシス


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