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2008年10月12日
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食品トレーサビリティ

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●食品への不安
ここ数年、食生活の安心・安全を脅かす様々な問題が発生している。腸管出血性大腸菌 O157 による食中毒は、1982年アメリカで最初に発見され国内では1984年頃から症例があるが、1996年の堺市の学校給食で発生した集団食中毒では被害者が6,000人、同年全国では9,000人にも達し、その危険性が広く知られるようになった。

狂牛病とも呼ばれた BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy、牛海綿状脳症)は1986年イギリスで発生して以来世界各国で発生しており、国内でも2001年以降毎年発生が報告されている。人への感染は症状の似た vCJD(variant Creutzfeldt-Jakob disease、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)が関連あると疑われており、BSE 感染が広がらないよう様々な規制や対策が取られるようになった。国内では法令化され2004年から牛の固体識別とトレーサビリティが義務付けられている。

古くから知られていた鳥インフルエンザも、発生時の影響の大きさとともに近年になって人への感染が確認されたことや2003、2004年のアジア圏での流行によって注目を集めている。

一方、2000年には雪印乳業の乳製品で過去最大規模と言われる集団食中毒事件が発生し1万3,000人を超える被害者が出た。これは工場の停電と製造工程のずさんな管理体制により増殖した黄色ブドウ球菌が毒素(エンテロトキシンA)を作り出していたためだった。雪印は2001年に BSE 対策の一つとして実施された国産牛肉買い取り事業を悪用した牛肉偽装事件も起こし、食品の偽装表示は社会問題に発展した。

このようにウィルスや病気の感染だけでなく、食品の衛生管理が原因となったケースもある。これらの問題はいずれも食生活を含め食品の生産・流通・販売に亘って多大な影響を及ぼしている。

●食品の安全と食品トレーサビリティ
このような食品に対する不安を解消し安全性を高める方法の一つとして食品のトレーサビリティが注目されている。食品トレーサビリティとは、食品を個品やロットごとに個々に識別し、生産から流通、販売まで全ての過程を通して、農薬散布や入出荷といった食品に発生したイベントを記録して追跡する技術である。

これを利用して、食品がどこで生産されどう流通してきたか、消費者側から生産者側に向かって食品の情報を遡って追跡することをトレースバックと呼ぶ。逆に、生産者側から消費者側に向かって食品がどこに流通していったか追跡することをトレースフォワードと呼ぶ。

食品トレーサビリティにより、消費者などの第三者が生産履歴や流通履歴から食品の安全性を確認したり、食品事故が発生したときにその影響範囲を正確に特定したりできるようになる。

最近では、RFID タグを利用して効率的に情報を記録したり、二次元バーコードを利用して携帯電話で情報を表示したりする食品トレーサビリティシステムが出てきている。 普及に向けて、生産活動の支援や企業内での在庫管理・物流システムへの応用、消費者に対する販売促進への応用なども進められている。

●食品トレーサビリティの今後
食品の信頼性に対する意識が高まる中で食品トレーサビリティの実証実験が行われたりシステムやサービスが提供されるようになってきた。農水省でも2001年から食品トレーサビリティへの取り組みが行われており年々拡大している。現在はひと頃のブームが過ぎてやや落ち着いてきたが、多数のシステムが乱立しつつある。

しかし、現在の食品トレーサビリティのシステムやサービスの多くは生産者や生産履歴などの生産情報を登録・表示するものが中心で、流通・販売の過程まで含めているものは少ない。

その理由はいくつかある。まず、(一次)生産者が情報を発信したい場合が多く、生産情報が内容としても豊富で消費者からも見たい・見て面白い情報である。また、流通・販売過程では複数の企業をまたがるためコスト負担を含め企業間での調整が難しいというのもある。

このようにまだ課題も多いが、応用による副次効果も期待してシステムが徐々に導入されていくだろう。それらが食品トレーサビリティとしての本来の役割を果たすためには、システム間の相互運用や連携するための標準化も必要になると考えられる。

伊田 智哉

日本ユニシス株式会社
先端技術企画部


提供:日本ユニシスユニシス

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