CGM は集合知を活用できるのか■ CGM(Consumer Generated Media)
CGM とは消費者自体が内容を作り上げていくメディアである。主に個人の情報発信をデータベース化、メディア化した Web サイトを指している。ビジネス向けの価値ある情報共有や商品サービスについてのクチコミや Q&A、日々の出来事を綴ったものまでさまざまな形が存在しており、その代表的な形態にはソーシャルネットワークサービス(SNS)や Blog、写真、映像、ブックマークなどの共有サービスがある。 従来のマスメディアが情報発信に対してコストを負担するのに対して、CGM はおおむね「ユーザー参加型のアーキテクチャ」と位置づけられる。情報操作のない生の声や体験を直接かつ膨大に集積が可能であり、良いことも悪いことも率直にフィルタされずに情報発信される。 この特性から新たなメディアの形態として注目されている一方、質については玉石混交としており、読み取りコストが比較的にかかってしまう。これは個々の情報の信頼性が総じて高いのかどうかが保障されていないためである。個別かつ膨大に「言いっ放し」が可能である以上、それが正しいかどうかの判断は読み手に委ねられる。 現状ではビジネスにおける貴重なマーケティングの場であり、ユーザにとって必要不可欠なサポート環境になりつつある。 ■ CGM の集合知 James Surowiecki は集団力学や集合知の実験研究によって「正しい状況下では皆の意見は案外正しい」と述べた。ただし「正しい状況下」とは少なくとも、意見の多様性(各人が私的情報を持つ)、独立性(他者に左右されない)、分散性(分散された検証が可能)、集約性(集計して集約するメカニズムの存在)が保障されている状態である。 CGM はこの集約性に関するメカニズムを提供しているものと捉えることができるが、他の3つの条件がそろわない場合、間違った解を生むため問題が多発する場合がある。実際に Blog や SNS でも集団内の力関係によって左右され、偏った意見になることも多い。 これは現行の CGM の持つメカニズムが、同じような考えを持つ仲間と繋がる傾向(ホモフィリー)を促進する傾向を持っているためである。つまり反対意見を聞く機会が減り、自分と同じような多数派の意見を信じ、そして同時に少数派に寛容でなくなってしまうためと考えられる(集合知における優先的選択)。 そして沈黙の螺旋と呼ばれる社会現象にもあるように、反対意見を述べることで孤立することを恐れる心理が働き、優勢意見は例え虚偽情報であっても、より優勢になっていく(集合知における成長)。このような特性を持っている以上、現行の CGM のアーキテクチャはいまだ発展途上である。 ■ CGM の今後 CGM の面白さとは「知っていることの探しやすさ」にあるのではなく「知らないことの発見」であろう。自らが知っているキーワードから検索することよりも、自らが希望する分野の新たなキーワードが知りたいわけである。その後、詳しくは検索すればよい。 従来ではマスメディアがこの部分を担っており、出版や放映後の検索頻度などに表出している。しかし検索そのものは自己組織化するまでのタイムラグがある。したがって CGM には検索よりも別のエクスペリエンスが求められており、そのひとつは信頼性のある情報パッケージの提供であろう。 集合知の活用は未だ読み解く者に委ねられている。これをシステムでサポートすることが新たな CGM となるだろう。 【参考文献】 James Surowiecki 「『みんなの意見』は案外正しい 吉村真弥 日本ユニシス株式会社 人材育成部 研究員 関連記事 最新トップニュース
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