![]() ![]() ![]() ![]() 地方自治体業務・システム最適化には法制度の見直しが必要この記事のURLhttp://japan.internet.com/public/technology/20070516/5.html
著者:日本ユニシス
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■概要
地方自治体の業務・システム最適化が、先行している国(府省)に追従して取り組まれているが、国の府省における業務・システム最適化が府省共通と個別の取り組みとして推進されている。 一方、地方自治体における業務・システム最適化については、総務省の施策事業である「自治体 EA 事業」・「共同アウトソーシング事業」を中心に進められており、個別業務システムを連携するためのシステム連携(共通)基盤の構築・導入も併せて取り組んでいる。また、先行して取り組んでいる地方自治体事例も多くなっている。 しかしながら、業務・システム最適化に向けた取り組みは、現行法制度を前提としており、情報システムを考慮していないことから業務改善には限界があると言える。 本稿では、地方自治体の業務・システム最適化に法制度の見直しが必要であることの重要性を述べることとする。 1.地方自治体の「情報システムの効率化に向けた取組(事例集)」 総務省自治行政局地域情報政策室が、平成19年1月に「情報システムの効率化に向けた取組事例集(システム効率化ベストプラクティス集)」を発表した。すでに公表されて3か月が経過していることでご存知と思いますが、地方自治体の業務・システム最適化を含む先行(先進)事例が300件以上に渡り整理されていることから、取組内容を比較検討・評価することができる。 ■事例集の概要 電子自治体が進展するにつれ、簡素で効率的な行政運営を実施していく観点から、地方公共団体における情報システムの開発・運営経費の縮減や効率的・効果的なシステムへの見直し等は重要な課題となっている。 このような状況を踏まえ、総務省では、地方自治体における情報システムの効率化に向けた取組について、各地方自治体に対して調査を実施した。 その結果、300件以上の取組が報告され、その中から、総務省自治行政局地域情報政策室において先進的な取組等を下記の類型ごとに整理し、事例集としてとりまとめた。 ここで類型化された事例の概要は、以下の通りである。 (1)EA(Enterprise Architecture)への取組事例 組織全体を通じた業務・システムの最適化を図る設計手法に取り組んでいる事例。 (2)共同化への取組事例 複数の自治体が共同で情報システムの開発・運用等を行っている事例。 (3)システムのオープン化への取組事例 汎用機を用いた情報システムの見直しを行い、オープン化へ取り組んでいる事例。 (4)調達方法の改革への取組事例 競争入札の拡大や総合評価方式一般競争入札、複数年度契約の導入など、入札方式や契約条件などの調達制度の改革に取り組んでいる事例。 (5)調達・開発プロセス改革への取組事例 情報化投資の事前・事後評価、各部局がシステム調達を行う際の情報担当部署による調達業務支援等の情報システムの調達や開発プロセスの改革に取り組んでいる事例。 (6)その他への取組事例 上記の情報システムの効率化に向けて取り組んでいる事例内容において、法制度の見直しによる効率化事例が皆無であるのが残念である。 2.法制度面からみた業務・システム最適化の課題 筆者が法制度の見直しにこだわる事由としては、長年に渡り地方自治体の基幹業務を中心とする業務システムの開発・運用・保守と、この数年コンサルティング業務に携わった経験上において、効率的実施に向け現行法制度の問題(情報システムの視点から)が多発したことからである。 (1)現行法制度の課題 地方自治体の基幹業務の大半は、コンピュータ システムが現在のように普及する以前に策定されており、法制度の所管府省が異なっていることで個別最適の業務システムとなっている。 そのため、特例処理などコンピュータ システムが不得意とする事務処理機能を実現させる必要があり、業務システムが複雑・肥大になってしまう。このことは、業務システムの開発及び運用・保守における作業工数(テスト・検証を含め)に多大な影響をおよぼすことになる。 (2)法制度改正による問題 国からの法制度改正による業務システム対応が待った無しに毎年のように発生する。その改正内容は情報システムを考慮していないと言っても過言でない。例としては、毎年のように発生する地方税法の改正が顕著である。 それも税率又は控除額の改正のようなシステム変更を軽微に止める内容では無く、控除項目の増減や所得階層の変更等については、複雑・肥大化した業務システムを更に増長することになる(特に、プログラムの品質低下を招く最大の要因と言っても過言でない)。 (3)自治体間における業務システムの差異要因 同一業務でありながら自治体によってシステム規模・機能等に差異がある。例外として筆者が知る範囲では、平成6年度に法改正された戸籍システムについては差異が無い(法務省が画面・帳票・ファイルのレイアウト等の設計書を作成し、ベンダーが開発したパッケージシステムが設計書に準拠したシステムのみの新規導入としている)。 自治体間の業務システムの差異については、自治体の規模(政令市・中核市・特例市、それ以外)によるところが大きい(業務を担当する職員の役割範囲が異なるため)。また、人口規模が概ね10万人以上の自治体においては、これまで基幹業務システムを独自開発・導入している場合が多く、独自のシステム仕様を作成しているためである。 近年、中核市レベル(人口が30万人から50万人規模)の自治体における先行事例で、独自システムからパッケージを前提としたオープン化を行い、事務処理を業務改善と称してパッケージに合わせたことにより業務運用の混乱を招いた事例も発生している。 3.業務・システム最適化のための法制度見直しの提言 理想的な業務システムの「あるべき姿」はシンプルなシステムであるべきだ。事務処理の流れとなるプロセスフローを自治体の規模別に統一・標準化する。複雑なシステム定義を排除する法制度改正を実現させると共に、例外・特例処理を業務システムから排除することである。法改正にあたってもシステム変更(改修)を必要としないマスター ファイルの設定変更に止めるようにするべきである。 また、業務システムの全体最適化を実現するためには法制度間の統一・標準化が必要である。業務・システム全体最適化の主要機能となる共通情報の一元化があり、既存の業務システムで個別に管理している住民情報を個人情報保護を踏まえ統合管理することである。 住民情報項目の属性(桁数、フリガナ等)については自治体独自で統一・標準化できるが、例えば、住基世帯管理・福祉世帯管理・国保世帯管理については法制度で、それぞれ異なる定義がされていることから統一した定義が望まれる。 以上、地方自治体の業務・システム最適化には法制度の抜本的見直しが必要であることを述べてきた。 その見直しに向けた筆者の具体的な取組提言としては、自治体業務の事務処理が法制度に基づく政省令により決まることから、この政省令を自治体が法制度に準拠して定めることができるようにすればと考える。 現在、地方分権化が推進されており自治体の独自経営が求められることからも現在の政省令を各自治体が定めることは可能になると考えている。 森山 勉 日本ユニシス株式会社 官公庁事業部 官公庁ビジネスセンター シニアコンサルタント |