地方自治体の「総合窓口サービス」のあるべき姿の実現方策地方自治体の「総合窓口サービス」のあるべき姿については、アンケート調査結果と先進事例における実現ポイントを踏まえ筆者が考える実現方策を提案致します。
1.地方自治体へのアンケート調査結果 総合窓口の在り方については、平成19年5月に日経 BP 社が Web で公開しています(自治体「総合窓口」のサービスに格差、解消には定義に基づく共通認識が必要)。公開内容は、富士通総研が平成18年7月に地方自治体への調査結果(390団体からの回答)についてのレポートとなっています(詳細省略)。 今回の調査の結果を踏まえて、総合窓口化推進のため4つのポイントを以下に定義しています。 ■「総合窓口」に関する定義を確立しよう ■「スペースの確保」は住民第一で考えよう ■費用対効果に基づく「予算の確保」をしよう ■自治体間での「情報の共有化」を進めよう である。 また、このレポートの結びとして、「現在、自治体の窓口業務の民間開放が市場化テストの導入に伴い注目されている。安易に民間開放の手法に頼ることのみをもってよしとせず、自治体が自ら窓口業務を見直し、総合窓口を推進することによって、行政サービス向上と効率化を実現させていくことを期待したい」としております。 2.地方自治体の先進事例 地方自治体における総合窓口の先進事例としては、愛媛県松山市・埼玉県鳩ヶ谷市などがありますが、ここでは鳩ヶ谷市の取り組みに中心的に活躍された鳩ヶ谷市の主席主幹である望月昌樹氏がセミナーで講演された内容から、総合窓口の実現に向けたポイントを抜粋しました。 (1)総合窓口実現への課題 ■他課業務の受理はできても、審査はできない ・チェック機能をシステムで実現できれば解決 ■申請書の各課保管 → 重複した記載 ・「どの情報が使えるか」により、記載省略を検討 ■事務所掌と担当吏員の権限 ・法令の規定ではなく、条例による規定 → 自治体の意思により対応が可能 ・所管する業務の責任所在の論議 → 市民の便利より、トラブルの心配 (2)実現への対応 ■手続き標準化論議をしない ・必要な情報は、どこかにないか ・その課だけが必要な情報を厳選 ・どこまで聞けば、どの手続きが可能か ■総合窓口の現実的な範囲 ・イレギュラーケースは対象にしない ・レアケースは、職員で対応 → ノウハウの保持 ・市民が便利で、職員の作業が軽減するやり方 (3)システムでできること(コンセプト) ■存在する情報を使って、作業を省く ・所得オーバーなら、児童手当の手続き無用 ・就学児童がいないなら、教育関連不要 ・そのために、どういう質問をするかを検討 ■業務知識やスキルのいらない利用手順 ・画面に表示された質問について、YES/NO ・存在する情報を使って、自動的に審査 ・受けることのできる手続きを「申請」 ・情報が業務間を流れてゆく“仕組み” (4)総合窓口の実現に不可欠なもの ■システムを導入すれば「実現」ではない ■トップダウンとボトムアップ ・市長の英断と職員の当事者意識 ■どうしたらできるかの視線で論議 ・市民が望むサービスを提供するために論議 ・初めてやることへの懸念は当然のこと ―絶対失敗しないことより、始めることを重視 ―後追いの電子自治体サービスは「いまごろ遅い」 ■納得できる具体案を示せる統括リーダー ・議会、幹部、職員、ベンダーの「相互協力」 以上は、「総合窓口サービス」のあるべき姿を実現するための非常に参考となるキーワードが網羅されています。 3.筆者が考える「総合窓口サービス」のあるべき姿の実現方策 筆者は、これまで住民向けワンストップ マルチ電子申請・届出等システムの調査研究・実証実験を行なってまいりました。これらの経験から申請・届出等の手続きにおいては、業務知識によるナビゲーションの活用が必須であると実感しました。 ここでは、「総合窓口サービス」のあるべき姿に向けた実現方策(段階的)を提案致します。 地方自治体の住民向け窓口業務は、申請・届出等(相談も含め)が主たる仕事であります。 これまで、庁舎の1階ロビーに総合窓口を設置し、住民サービスを少しでも向上しようとする取り組みがなされていますが、庁内の案内・担当する部署の紹介程度に留まっていました。 本来、住民が望む総合窓口とは、ライフイベントによる必要となる申請・届出等を1つの窓口で効率的に完結することであります。 このことを実現するためには、広範囲な業務・手続きの豊富な知識を必要とします。このようなスーパーマン的職員を望むことは非常に困難であります。そこで、業務・手続きの知財を IT の活用により電子化し利用できる仕組みが求められます。 まさに、「総合窓口サービス」のあるべき姿を実現するために、すべての業務・手続き知識を有するナビゲーションシステムが必要となります。 筆者は、あるべき姿を実現するために段階的に実施することが望ましいと考えます。 (1)第一段階(職員が利用するナビゲーションシステム) 第一段階としては、総合窓口職員がナビゲーションシステムを利用して、申請・届出等の受付(形式審査した受理)が効率的に完了することであります。ライフイベントによっては受給可能なサービスを案内することも可能とします。 窓口の住民に対しては、ライフイベント(申請・届出等の内容)をアンケート形式で聞き取る(セキュリティ確保)ことで、対象となる申請・届出の書類が即時に発行します。 (2)第二段階(業務システムとの連携) 第二段階としては、総合窓口システム(ナビゲーションシステムを具備した)から対象となる業務システムとの連携を実現させます。 業務システムの連携とは、申請・届出等の書類を電子化し該当の業務システムへ電子情報として引き渡すことであります。 申請・届出等の書類を電子化し該当の業務システムへリアルタイムで送付することで、申請・届出書の電子化(電子文書として保管)によるペーパーレス化、2次入力を排除した事務処理の効率化、総合窓口で証明書・保険証等の即時交付が可能となります。 (3)第三段階(電子申請、キヨスク端末から住民が利用するナビゲーションシステム) 第三段階(最終段階)としては、総合窓口まで出向かなくとも申請・届出等の手続きができるようにします。 自宅や最寄のキヨスク端末を利用して申請・届出等を行なえることにより住民の利便性向上を図ることができます。総合窓口システムのナビゲーション機能は、住民みずからが利用することになり住民向け FAQ を併せて具備します。 第三段階を実現するためには、住基カードの普及、申請・届出等に伴う添付書類の省力化などセキュリティに配慮した取り組みが前提条件となります。 森山 勉 日本ユニシス株式会社 官公庁事業部/官公庁ビジネスセンター シニアコンサルタント 関連記事 最新トップニュース
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