成熟期を迎えた自治体コールセンターの今後の在り方(第1回)自治体コールセンターの成熟度を計るには、札幌市コールセンターの現状が参考となると考えます。
なお、札幌市の現状については、平成19年12月6日に財団法人 地方自治情報センターが主催した「電子自治体 IT セミナー」で、札幌市の IT 推進課プロジェクト担当係長である金田氏の講演内容に基づいています。 札幌市は、日本初の市政総合案内コールセンターとして平成15年4月にスタートいたしました。全面的なアウトソーシングにより、札幌市の制度、手続き、イベント、施設案内などの問合せ対応を電話、FAX、Eメールにより年中無休で朝8時から夜9時までサービスしています。 開設当初は費用対効果等による批判による紆余曲折がありましたが、平成20年3月で5年を迎えようとしています。 ここではコールセンターの仕組みについては省略しますが、市民からの問合せ内容(FAQ)による業務知識、対応履歴による市民ニーズを職員が業務改善に役立てていることは言い添えておきます。 1.自治体 CRM とは 自治体 CRM は民間企業 CRM と合い異なり公的役割による市民自治の実現を目的としております。言い換えますと、自治体 CRM は市民や企業の満足度の向上を目標に、以下の定義としています。 ■市民や企業を「顧客」と位置付け、市民や企業からの問合せ・依頼・相談・意見・苦情に対して、迅速かつ誠実に責任を持って対応する。 ■多種多様な市民の疑問や意見を収集し、市民が求めている行政が抱える改善すべき課題を把握し、有効かつ適切に市民と共にサービスを改善する。 以上の定義から、先んじて取り組んでいる民間企業のコールセンターを参考とした自治体コールセンターが続々開設されてきています。この定義を念頭において札幌市事例の考察をしてみたいと思います。 2.札幌市の実績 札幌市コールセンターの平成18年度実績は、利用件数が9万6,556件で、主な内容で「問合せ」が8万5,832件(約89%)、「申請・申込」が7,106件(約7%)となっており、この2つの内容で全体の96%となっています。 一日平均の利用件数265件で、初年度の79件の3倍以上となっており、年2回の市民満足度調査において平均9.6点(10点満点)となっています。 また、セミナー講演においてコールセンター活用による効果の事例として、「情報共有で仕事が変わる:インフルエンザワクチンの在庫情報での協働事例」と「アウトソーシングによる業務効率化:私立幼稚園保育料補助に関する問合せ対応」等の紹介がありました。
以上、札幌市からの実績等資料による考察・報告でありますが、札幌市コールセンターの実態は市民・企業に根付いていること、他自治体への普及が進んでいることから成熟期であると考えます。 3.札幌市コールセンターにおける今後の目標 札幌市は、コールセンターによる行政サービスが一定の効果を上げていることで、今後の計画を以下の内容で予定しています。 (1)経営ツールとしての本格的活用 ■データ分析に基づいた戦略的広報の実現 ■アウトソーシング部門としての庁内的な役割の確立 (2)機能の拡充 ■市民接点サービスを集約化、サービスレベルの統一 ■災害時対応や専門コールセンターとの連携など (3)広域・官民連携 ■札幌圏を中心とした道内他市町村と相互利用可能なサービスの実現 ■民間企業等との連携による地域の総合的な情報提供サービスの実現 今後の目標で、広域・官民連携が実現することは、札幌を中心とする生活圏・経済圏における地域住民・企業にとって利便性を感じる地域サービスとなることが見込めることから期待する次第であります。 次回(第2回)は、広域・官民連携に着目した自治体コールセンターの今後の在り方を実現する方策を検討する予定であります。 森山 勉 日本ユニシス株式会社 官公庁事業部 官公庁ビジネスセンター シニアコンサルタント 関連記事 最新トップニュース
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