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2009年7月4日
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Webテクノロジー2004年2月13日 00:00

P2P の誤解:大容量ファイル交換とボトルネック(2)

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前回のコラムからの続き)

■大容量ファイルの乱舞

ファイル交換ソフトは、 音楽業界との著作権問題で注目を浴びていますが、 ネットアーク社の調査によると、 ファイル交換されているもののトップは「映像ファイル」で、 全体の38%を占めています(音楽ファイルは20%で、画像ファイルは17%)。

当然、これまでのインターネットでトラフィックの大半を占めていたメー ルや Web のブラウジングに比較すると、 映像ファイルのファイルサイズは飛躍的に大きくなります。

さらに Winny のようなキャッシュ型のファイル交換ソフトは、 必要のないファイルまで各メンバーのパソコンにコピーしてしまうため、 ISP にとっては耐えがたいレベルまでトラフィックが上がってしまっているのが現状 です。

現在のインターネットのトラフィックにおけるファイル交換ソフトが締める割合は40%とも60%とも言われており、 アクセス回線のブロードバンド化の進展とともに、 インターネットのトラフィックは急速に増加傾向をたどっているのです。

このトラフィック増加は当然、 ボトルネックである ISP のバックボーンや IX を直撃しています。

バックボーンを高速道路だと思ってみてください。 これまでは小型バイクかせいぜい普通自動車程度のデータが行き交っていただけの ISP のバックボーンを、 現在は超大型のトラックや規格外の巨大なタンカーが大量に行き交っているようなものです。 いくつかの ISP がファイル交換ソフトのトラフィック規制に乗り出したのも、 無理のないことだと言えます。

■報われない中間 ISP 事業者

本来は利用者のインターネット利用速度が上がっているわけですから、 それに応じて高い料金を徴収し、 その料金をバックボーンの設備投資コストにまわすことができれば、 この問題はある程度解消できます。

ただ、現在の ISP 事業者はそれができない立場になってしまっています。 確かにアクセス回線は ISDN から ADSL や光ファイバーに変わり、 大幅な高速化を遂げました。 しかし、Nifty や Biglobe などの ISDN の時代にトップシェアを占めていた ISP 事業者は、 アクセス回線高速化に応じた利用料金を利用者から追加で徴収できません。 アクセス回線の料金を得ているのはあくまで NTT 東西やイー・アクセスなどのアクセス回線事業者であって、 大抵の ISP は定額で月額2,000円程度の利用料金を得るという状況のままなのです。

つまり先ほどの自動車の例えで言うならば、 これまでは高速道路の入口が狭かったために小さい自動車しか入ってこれなかったのが、入口の拡大によって、 巨大なトラックが簡単に入ってこれるようになってしまったわけです。 しかも、高速道路自体の利用料金は変わらないという条件のままで。

本来はアクセス回線の高速化がこれだけ強調して宣伝されているのですから、 バックボーンもそれに応じて高速化して提供する義務があるはずですが、 事業者が異なることによりギャップが生まれてしまっています。 アクセス回線事業者は高速化により利用者の確保に躍起ですが、 バックボーン側の ISP 事業者は、 急速な高速化は望んでいないわけです。

■ブロードバンドコンテンツのないブロードバンド

実際のところ、 現在ブロードバンドブロードバンドと騒がれていますが、 真の意味でブロードバンドを活かしているコンテンツは存在していないとも言われています。

ADSL がこれほどまでにインターネットの利用環境を改善したのは、 もちろん 1Mbps 以上の回線速度を提供したことも大きいですが、 実は低額で常時接続できる環境を整えたことが最大の功績であり、 ナローバンドのコンテンツを有効に利用する下地を作った、 というのが正確な状況でしょう。

現在のインターネットでは実は、 100Mbps であろうが 8Mbps であろうが、 体験感覚自体はほとんど変わらないというのはよく言われることです。 アクセス回線が 100Mbps になっても、 ISP のバックボーンや IX の接続速度、 接続先の Web サーバーの接続速度などの複数のボトルネックがその速度に対応していないと、実力を発揮できません。

もし利用者全員が 100Mbps をフル活用したら、 バックボーン側の ISP 事業者は簡単に窮地に追い込まれる事業構造になっているというのが実際のところで、 ボトルネックを複数抱えている現状のインターネットの問題点が、 ファイル交換ソフトによる急速なトラフィック増加により、 予想よりも早く顕在化してきたというのが現状なのです。

そういう意味では、 現在は ISP のトラフィック問題はファイル交換ソフトの違法性だ、 というような論調がありますが、 この問題はまったく別の議論であることが明確です (もちろん Winny のような不適切なファイル交換の手法にも問題はありますが)。

逆に P2P の技術を事業者が適切に使えば、 このトラフィック問題の解決策を見出すことも可能だと言われています。

(次回のコラムに続く)

(執筆:徳力 基彦)


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