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2004年4月15日 00:00

ブラウザ戦争は終わっていない

前回の「ソーシャルエンジニアリングの脅威」はいかがでしたでしょうか。

「主に利用しているブラウザは何ですか?」といった問いかけに対して、殆どの方は Internet Explorer と答えるでしょう。このコラムを読んでいるみなさんにとって、Web ブラウザはもっとも利用している必須ソフトウェアとなっていることはいうまでもありません。

今回は その Internet Explorer を凌ぐ機能を提供し、「次世代軽量ブラウザ」として注目を集めている Mozilla Firefox についてのインプレッションを紹介したいと思います。

■ ブラウザ戦争の歴史

ブラウザの歴史を振り返ってみると、1995年8月に華々しく株式公開を行った米国ネットスケープコミュニケーションズ社は、マイクロソフトの追撃により1998年1月 Netscape Comunicator の無償配布を発表し、Internet Explorer の追撃を阻止しようとしましたがシェアは回復せず、同年 11月 America Online (現 AOL Time Warner)に買収されました。

その後、米国 Zona Research 社は「ブラウザ戦争時代の終わり」と題して Internet Explorer のシェアが Netscape Navigator を逆転した調査結果を発表(Internet Explorer 64%、Netscape Navigator 36%)しました。

現在においても Internet Explorer はブラウザのデファクトスタンダードとして君臨し続けており、2004年1月にオランダ OneStat.com 社の発表した調査結果によると、Internet Explorer は 94.4% のシェアを握ってます。

これまでのブラウザ戦争をクロニクル形式で見てみると、このようになります。

1993年
  6月 NCSA Mosaic が誕生
1994年
  10月 Mosaic Netscape 0.9b リリース
  12月 Netscape Navigator 1.0リリース
1995年
  12月 Netscape Navigator 2.0リリース
1996年
  1月 Internet Explorer 2.0リリース
  8月 Netscape Navigator 3.0リリース
  8月 Internet Explorer 3.0リリース
1997年
  6月 Netscape Communicator 4.0リリース
  10月 Internet Explorer4.0無償配布開始
1998年
  1月 Netscape Navigator と Netscape Communicator を無償化
  2月 mozilla.org 開設 Netscape のソース・コードを無料公開
  11月 AOL、Netscape Communications を買収
1999年
  3月 Internet Explorer 5.0リリース
2000年
  7月 Internet Explorer 5.5リリース
  11月 Netscape 6.0リリース
2001年
  8月 Internet Explorer 6.0リリース
2002年
  6月 Mozilla 1.0リリース
  8月 Netscape 7.0リリース
  9月 Mozilla Phoenix (現 Firefox) 0.1 リリース
2003年
  1月 オペラ・ソフトウェア社は Opera 7.0リリース
  6月 Safari 1.0リリース
2004年
  1月 Mozilla 1.6リリース
  2月 Firefox 0.8リリース

さて、前述の Zona Research 社が発表したように、1999年11月でブラウザ戦争は終結したのでしょうか。実のところ Mosaic から端を発した元祖 WWW ブラウザの血は Netscape Navigator から Mozilla へと脈々と生き続け、さらには Phoenix から Mozilla Firebird へ改名され、現在は Mozilla Firefox に受け継がれています。

■ Firefox の設計思想

Mozilla Firefoxは 2002年9月に バージョン 0.1(開発コード Pescadero)として誕生し、当時は Phoenix と呼ばれていました。

その後、商標の問題で バージョン 0.6 から Mozilla Firebird と改名されました。さらに最新リリースの 0.8 から Mozilla Firefox(開発コード Royal Oak)(以下 Firefox)に再改名され、正式版リリース前のテクノロジープレビューの位置づけとしてオープンソースのライセンス形態で公開されています。

このように Firefox は Mozilla プロジェクトの派生物として位置づけられますが、実のところ Mozilla とは似て非なるものです。その設計思想は、ブラウザのパフォーマンスを向上させ、ユーザーがオンラインで過ごす時間に得られる価値を高めることを目的としており、GUIの記述言語に XUL(XML-based User Interface Language)を採用しています。

Firefox のサイトには「ブラウジングをより直感的で便利に、そしてケタ違いに高速化します。実際、あなたがインターネットを通じて得られる価値は 少なくとも倍になる と私たちは信じています」と掲載されています。

■ Firefox インプレッション

Firefox を実際に利用してみると Mozilla あるいは Internet Explorer に比べ、そのレスポンスの早さは明らかに体感でき、ストレス無くコンテンツが表示されます。

さらにはレスポンスの向上だけにとどまらずその特徴は、タブブラウズ機能、ポップアップブロック機能、アクセシビリティの向上、標準装備の Google バー、優れたユーザーインターフェイスなどユーザーがブラウザに求める機能を装備した高機能かつ軽量なブラウザといえるでしょう。

ユーザーインターフェイスにおいて 特筆されるのはアクセシビリティです。コンテンツ中のリンクに含まれる文字を入力するだけで、そのリンクにすばやくフォーカスされる Find As You Type(文字入力によるページ内検索)と呼ばれる洗練された機能が提供されています。

実際利用してみると極めて実用的な機能であり、ショートカットキーと共に操作することにより、マウスに頼らないキーボードのみでの快適な操作性が実現されています。

また、オプション ダイアログボックスのユーザーインターフェイスも洗練されました。 Mozilla の複雑な階層の情報デザインとは異なり、極めてシンプルな構成となっているために、直感的で分かり易くユーザーが独自の環境に設定しやすくなっています。さらにメニューの階層も[メニュー]-[編集]-[設定]から一般的なメニュー階層構造の[メニュー]-[ツール]-[オプション]に変更されています。

もちろん PDF、Flash、Java などのプラグインも問題なく動作します。なんと Javaアプレットのロード時間は Internet Explorer よりも高速です。

Firefox は mozilla.org で提供されており、日本語版は「もじら組」からダウンロード可能です。

対応プラットフォームは Windows、Linux、Mac OS X が正式にリリースされていますが、Contributed builds(貢献者によるリリース)として、Solaris SPARC、Solaris SPARC、Sun Java Desktop System 2003 - Linux、OS/2が利用可能です。さらにはローカライズも充実しており英語、日本語、ドイツ語、フランス語、中国語を始め23言語が利用可能です。

■ ブラウザ戦争再び

現在、テクノロジー プレビューとして提供されており、既知の問題もありますが、それらを考慮しても快適なネットブラウジング環境を提供してくれるでしょう。

証券会社のリアルタイム株価情報やオンラインバンキングなどの金融サービスや一部の有料サービスでは、Internet Explorer を対象にしたサイト開発を行っているために Internet Explorer を利用しなければサービスを受けられませんが、ほとんどの Web サイトのブラウジングにおいては Firefox を利用する方がストレス無く利用できます。正にInternet Explorer に対して果たし状を突きつけるブラウザが出現しました。

Internet Explorer がデファクトスタンダードとなっている現在ですが、2004年上半期には Firefox バージョン 1.0がリリースされる予定です。この Firefox の登場によりくすぶり続けていた戦火は2004年再び燃え上がろうとしています。

・Mozilla Firefox
 http://jt.mozilla.gr.jp/products/firefox/
・Firefox help
 http://texturizer.net/mozilla/jp/firefox/
(執筆:後藤 康成)


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