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ITIL がネットビジネスにもたらす効果■ ネットビジネスの根底にあるもの
インターネットビジネスのエンジニアリングプロセスを大別すると「アプリケーション開発プロセス」と「サービス(システム)運用管理プロセス」に分けられます。 アプリケーション開発の新たなる方法論では「アジャイルソフトウェア開発」や「イテレーション開発手法」などのスケジュールの短縮や効率的で高品質なプログラムを開発するアプローチとしてフォーカスされていますが、サービス運用管理に目を向けるとブロードバンドの普及によりネットショッピングやネット証券などインターネットビジネスが個人レベルに浸透した現在、そのサービスの運用管理には工学的なアプローチで、サービス規模や内容に応じたオペレーションフローの確立やサービスレベルの確保といったマネジメント手法が必要とされています。 このようなインターネットビジネスの中でもミッションクリティカルなビジネスのサービス運用・管理に課されるミッションは、そのサービスの設計、開発より重要なミッションとなっており、ビジネスの収益を左右することは言うまでもありません。つまり、インターネットビジネスを展開する上でもっとも根底にあるのは、サービスの運用管理であり、サービスの運用管理をいかに効率的に行いサービスレベルの維持を行うことが必要とされます。 今回取り上げる Information Technology Infrastructure Library(ITIL)は英国商務局(OGC : Office of Government Commerce)が、ITサービス管理・運用規則に関するベストプラクティス(最良実践モデル)を調和的かつ包括的にまとめた一連のガイドラインです。もちろんこのガイドラインをインターネットビジネスのサービス運用・管理に適応することができます。 ■ ITIL とは ITIL の歴史は比較的浅く、英国政府官公庁の情報システム管理基準として、1989年に英国中央コンピュータ・電気通信局(CCTA:Central Computer and Telecommunication Agency)によって公表されました。その後、CCTA は2000年に設立された OGC に統合され、現在に至ります。 ITIL の大きな特徴は、特定の企業に依存しない非独占のガイドラインとして多くの有識者の経験を反映しているので、正にベストプラクティスであり、さらに ITIL プロセスが ISO9001 の要件に対応していることから、サービス運用管理の品質標準といえます。 また、著作物には英国の国家著作権(crown copyright)が設定され、許可なしのコピーや出版、改変はできませんが、ITIL の内容を自社のサービスに適用することに関しての制限はありません。ITIL著作物は7つの書籍として提供され、出版は OGC (The Office of Government Commerce)から分割民営化した公共刊行物出版(TSO:The Stationery Office)が行っています。 7つの書籍は以下の通りです。 1. サービスサポート 2. サービス提供 3. セキュリティ管理 4. ビジネス展望のセット 5. ICT情報基盤管理 6. アプリケーション管理 7. サービス管理の実行計画 それでは ITIL を取り入れたサービスの運用管理を行うことで得られるサービス提供管理のメリットとはどのようなものでしょうか。HDI-Japan の翻訳している英国 Pink Elephant 社の「The ITIL Story」によると以下の効果が期待できます。 1. IT サービスに関する顧客満足度を向上する 2. IT サービスがビジネス要求に合っていない危険性を低減する 3. 企業や組織で手順開発や実践をするときにコスト低減を図る 4. IT スタッフと顧客との間の良いコミュニケーションや情報の流れを作る 5. IT スタッフのためのスタンダードであり指導となる 6. 生産性を高め、スキルや経験の有効利用を図る 7. IT サービスの優れたアプローチとなる ■ITIL ガイドライン ここでは上記の7つの書籍の中で、「サービスサポート」と「ビジネス展開のセット」の一部を紹介します。 「サービスサポート」にはサービスの安定性と柔軟性に関する内容がガイドライン化されています。さらにブレイクダウンすると、「サービスデスク」は、 ユーザーグループと IT 提供者間の効率的なコミュニケーションルートを供給するサービスデスクをどう作り運営するかについてのガイドラインです。 「インシデントマネジメントプロセス」は、ビジネス運営に不都合な影響を最小化し、可能な限り早く通常のサービス提供に戻すことについてのガイドラインで、このほか、「問題マネジメント」、「チェンジマネジメント」、「リリースマネージメント」、「コンフィグレーションマネージメント」のプロセスがガイドライン化されています。 また、「ビジネス展望のセット」に目を向けると、ビジネスマネージャーが利用する IT に関連した事柄が記載されており、ビジネスプロセスに有効な IT サポート品質を維持するために、ビジネスマネージャが理解すべき役割などがガイドライン化されており、ビジネスマネージャにとって、サービス品質を維持しながら運用しビジネスを成功させるための指南役となるのではないでしょうか。 ■ ITIL の今後 ITIL は当初から一般企業での活用が奨励されており、1991年には ITIL 振興のための非営利団体 itSMF(IT Service Management Forum)が設立されました。日本においては2003年4月に NTT Com、NEC、日本HPなど8社が IT サービスマネジメントフォーラムジャパン(itSMF Japan)を設立し、ITIL を強力に推進しています。 また、ITIL をベースとしたビジネスでは、ITIL に対応した運用管理ツールやサービスもリリースされていおり、最近では ITIL のコンサルティングサービスやトレーニングを行う企業も増え始めています。今後企業への ITIL の浸透に拍車がかかるでしょう。 このように、ITIL ガイドラインをサービスの運用管理に採用することでインターネットビジネスを支える運用管理のマネジメント標準が整備され、高品質で効率的なサービスが実現できることに期待します。 参考文献 The ITIL Story(PDF)(Pink Elephant 社 HDI-Japan 訳) ITサービスマネジメントフォーラムジャパン (執筆:後藤 康成) 関連テーマ
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