オープンソースソフトウェアがもたらす興味深い変化と可能性(2)ソフトウェア産業構造変革の分岐点
前回に引き続き、OSS がコンピュータ産業に与える可能性のある、 もうひとつのインパクトについてお話ししたい。 それは、ソフトウェア産業のパラダイムシフトである。 OSS の流れは、Linux に代表される OS だけではなく、 ミドルウェアにも及びつつある。 従来は、OS からアプリケーション、運用、メンテナンスに至るまで、 プロプライエタリの製品をベースに構成して提供されるのが一般的だった。 もちろん、このモデルを否定することが意図ではないが、 OS やミドルウェアにオープンソースを選択するという可能性が現実的となった今、 オープンソースが、ソフトウェア産業を、 製造業型モデルとサービス業型モデルに分岐させるキーワードとなり、 それにより、ソフトウェア産業が新しい発展を遂げるかもしれない、 という可能性に注目したい。 自動車を例にとるとわかりやすいだろう。 自動車の駆動部分の基本的な仕組みはかなり成熟した技術として普及しており、 どのメーカーでも共通である。 だからこそ、アクセルやブレーキといった基本操作を理解し、 運転免許を持ってさえいれば、基本的にどの車でも運転はできる。 そして、どのメーカーも、特化した技術やデザイン、さらにはサービスを、 差別化・付加価値として提供するために、 研究・開発にしのぎを削り、工夫をこらしている。 共通部分の枯れた基盤技術があるからこそ、 メーカーは特化した部分に専念でき、 私たちユーザーは、さらに加速の良い車、おしゃれな車、乗り心地の良い車を、 ニーズに合わせて選択することができる。 これと同じことが、ソフトウェア産業にも当てはまり得る。 ソフトウェアベンダーや SI ベンダーにとって、 新しい形のビジネスモデルが成立する可能性がある。 つまり Linux などの OS や、オープンソースのミドルウェアが、 エンジンなどの基本的な部分に相当し、 アプリケーションや、運用やメンテナンスサービスなどが付加価値となる。 共通の基盤技術は、業界の共有財産として、 ベンダーを越えた開発者のクリエイティビティにより鍛え上げられ、 いわば製造業型の発展を遂げる。 一方、上位レイヤーは、よりサービス産業型に近くなり、 OS やミドルウェアに費やしていたリソースやエネルギーが付加価値の部分に集中されることで、 ユーザーが享受するメリットも飛躍的に増大する。 ベンダーがどのモデルを選択するか、ユーザーがどういうスタンスをとるかは、 各社の戦略、考え方によるので、 どちらが良いか一概に結論づけることはできない。 しかし、少なくとも、オープンソースという考え方は、 ソフトウェア産業に、 従来とは異なる発展の方向性をもたらすほどのパワーを持つのではないかと考える。 私の場合は、過去20余年間、従来型のモデルで、 コンピュータシステム開発の仕事に取り組んできたが、 オープンソースの持つ新しい可能性に魅かれて OSDL に参加した。 もはや、自分でコードを書くことはないが、 オープンソースで活躍するエンジニア各位にエールを送り、 良きにつけ悪しきにつけ、 これまでの経験を活かしながら、 オープンソースに係わり続け、 微力ながらバックアップすることに身を投じていきたいと考えている。 記事提供: OSDL ジャパン
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